日本のテクノロジーの功績がきちんと記録されていない
「オーラル・ヒストリー」(oral history)という言葉は聞いたことがあると思います。「口述歴史」と訳されますが、当事者・関係者にインタビューして記録としてまとめた歴史のことです。世界的に注目が集まってきている歴史資料の手法ですが、企業や学校の関係者でやってみたいと興味をお持ちの方もいるのではないかと思います。
世代を超えて、その組織で蓄積されてきたノウハウや培われた文化を残して伝えていくことは簡単ではありません。社内資料や雑誌記事などとして掲載されたものもありますが、内容的にも文字量的にも限定的です。製品など最終成果物は残っていても、どうやってそれが生み出されたかが残っていない。それこそが、その会社なりの貴重な財産でありアイデンティティであるはずなのにです。
そうしたときに、その仕事のようすを記録する有効な手段がオーラル・ヒストリーというわけです。歴史資料といっても、そんなに大げさなことではありません。ただし、ここが重要なのですが、いきなり話を聞けばよいというわけではありません。オーラル・ヒストリーは、一定のメソッドにしたがって準備、実施することで真価を発揮するものなのでした。
2025年4月に開校するZEN大学に「コンテンツ産業史アーカイブ研究センター」(以下HARC)という研究所があり“オーラル・ヒストリー”のプロジェクトに取り組んでいます。デジタルアーカイブの構築と研究が専門の細井浩一氏を所長に迎え、2024年11月までに、IT、マンガ、アニメ、ゲーム、ネット文化の5分野について、すでに40名以上の方々にインタビュー調査を実施してきました。このプロジェクトに、この記事を書いている私も参加させてもらっていて、IT(コンピュータやデジタル全般)を担当、それからネット文化についてもお手伝いさせてもらっています。
いま世界中の人たちが日々使っている製品には、日本のIT、エレクトロニクス企業とその関係者が世に送り出したものが少なくありません。1980年代から1990年代のパソコンの中身は日本製の部品ばかりという印象でした。プリンタやデジカメなど周辺機器、電子楽器やゲーム機、モバイル機器や通信技術、3.5インチフロッピーや光ディスク、PCカードやSDカードなど、文字どおり枚挙にいとまがないといってよいでしょう。リチウムイオン電池、フラッシュメモリ、カラー液晶パネルなどの基礎技術やその製品化も忘れてはいけません。
この歴史的事実は、学校で教える社会科の教科書の1 章になるべきだと思います。そして、いまも市場で存在感のある分野もさることながら、役割を終えた製品もただ消滅したわけではありません。それを生み出した人たちの功績は、その分野で受け継がれそれが新たな製品となっている。モノを作り出す人たちが、それを感じずに仕事をするはずはありません。
また、日本のマンガ、アニメ、ゲームといったコンテンツと、それが生み出す文化も、世界に広がっているのはご存じのとおりです。そうしたものと、我々の日々の生活に溶け込んだテクノロジーのかなりの部分。モバイル機器(アップルNewtonはシャープ製)、実用的なモバイルインターネット(iモード)、携帯電話で写真を撮ること(Jフォンの写メール)が日本で始まりました。スマートフォン全盛のいま、世界中の人々のライフスタイルは、日本が先行していた部分が大きい。21世紀には、そうした部分に限っては“日本化”が起きたのです。
テクノロジーの世界で、大きなイノベーションを起こした組織として知られるのが、1970年に米ゼロックス社が設立したパロアルト研究所です。デジタルの世界に画期的な変化をもたらしたGUI、イーサネット、レーザープリンタ、オブジェクト指向言語(Smalltalk)が、この研究所で生まれました。ところが、このパロアルト研究所はけして大きな予算で運営されていたわけではないことが指摘されています。研究室を率いたロバート・テイラーのもと研究者の情熱と自主性によって生まれたのです。
日本は、パロアルト研究所という1つの研究所と比べたらはるかに多くのものを世界中に送り出してきました。太っ腹の部長がいて部下を自由に遊ばせていたようなところから製品が生まれる。戦後のなにもないところから大企業を作り上げたトップが、自分の目の黒いうちはと信念だけで取り組んだプロジェクトもある。今回のオーラル・ヒストリーでも信じられないような新事実をお聞きしたりしています。
ところで、オーラル・ヒストリーという比較的新しい手法には、完全に決められた手順はないようです。この記事では“私たちのプロジェクトではこうやっている”という具体例を紹介します。
雑誌などのインタビューとオーラル・ヒストリーの違いはなにか?
まず、オーラルヒストーリとは実際にはどんなものなのか? 雑誌やウェブサイトに掲載されるインタビュー記事とはどう違うのかについて触れておきたいと思います。IT、コンピュータ分野でよく知られているものとしては以下のようなものがあります。
・情報処理学会 コンピュータ博物館
https://museum.ipsj.or.jp/library/ronbun.html
・IEEEのオーラル・ヒストリーコレクション
https://ethw.org/Oral-History:IEEE_Oral_History_Collection
・Computer History Museumのオーラル・ヒストリーコレクション
https://www.youtube.com/playlist?list=PLQsxaNhYv8daKdGi7s85ubzbWdTB36-_q
情報処理学会 コンピュータ博物館(ウェブサイト)のオーラル・ヒストリーは、学会誌『情報処理』に掲載されたものです。メーカーなど関係者の協力のもと東京電機大学の山田昭彦教授がとくに積極的に取り組まれている。日本のコンピュータの最初期にエレクトロニクスに電子技術という訳語を与えた和田弘さんはじめ20人以上の貴重なインタビューが収録されています。
米国のIEEE(電気電子技術者協会)のオーラル・ヒストリーコレクションは、Engineering and Technology History Wikiというテクノロジーに関する総合的な歴史サイトに収録。シリコンバレーにあるコンピュータ歴史博物館のオーラル・ヒストリーコレクションは、431本の動画を掲載。ちなみに、HARCのオーラル・ヒストリーも動画にて収録しています。
ところで、私は、日本のコンピュータの黎明期に活躍した26人のパイオニアたちにインタビューしたことがあり、『計算機屋かく戦えり』という本になっています。また、私と編集部で、2004年に国立科学博物館で開催された『テレビゲームとデジタル科学展』、2016年に日本科学未来館で開催された『GAME ON』といった歴史展の図録をまとめました。GAME ON展に関しては、展示全体の企画・監修も担当させていただきました。
この中でも、とくに『計算機屋かく戦えり』は、オーラル・ヒストリーに近い内容のものだと思います。その企画段階でヒントになったのが、1980年代の流行通信社が発行元の頃の『STUDIO VOICE』でした。歌手の三波春夫さんの記事などブッとぶような内容。そんな中で、猪瀬直樹氏の「日本凡人伝」という連載に、旧国鉄の運行ダイヤを温泉旅館の大宴会場にテーブルを並べて作っていた時代の話がありました。みんなが知っていることには舞台裏があって、過去の仕事を語るものは面白くなると思ったのでした。
『STUDIO VOICE』は、米国の『Interview』誌や『Rolling Stone』誌の影響を受けて作られたのだと思います(『Interview』の提携誌)。私は、神田神保町の源喜堂書店で見つけると買っていましたが、有名アーチストだけでなく、ヨーグルト会社の社長から死刑囚まで幅広い人たちに語らせている。インタビューという手法自体が、非常に面白いジャンルだと思っています。日本でまだやれることも多いでしょう。
しかし、ここで強調しておかなければならないのは雑誌やWeb記事のインタビューとオーラル・ヒストリーは違うものであるということです。私が、はじめてオーラル・ヒストリーというものを意識したのは、2016年に文化庁メディア芸術連携促進事業連携共同事業の企画委員をやらせてもらったときでした。そのときに、オーラル・ヒストリーについて説明されたのが、ZEN大学 コンテンツ産業史アーカイブ研究センターの細井浩一所長だったのでした。
ひとことでいえば、雑誌などのインタビュー記事が、コンテンツであり著作物の一形態であるのに対して、オーラル・ヒストリーは研究のための「一次資料」ということです。
記事などのインタビューは、聞き手が対話的に引き出すようにして、1つの読み物にすることを目的としています。記事として読まれること、番組として見られることが重要。それに対して、オーラル・ヒストリーは、それを歴史資料として後世の人が探求する、何が本質だったのかを学ぶための材料です。対象者(interviewee)の発言がそのまま記録されることが大切であり、そのために一定の手順にしたがって実施することで、学術利用に耐えうるように作るものなのでした。
準備――オーラル・ヒストリー収録の体制と機材
チーム体制
コンテンツ産業史アーカイブ研究センターのITのオーラル・ヒストリーでは、聞き手として私と東京理科大学近代科学資料館の学芸員の大石和江さん、センター研究員の権藤千恵さん、宮田悠史さん、事務局の奥村良磨さんというメンバーがメインで進めています。
大石さんの東京理科大学近代科学資料館では、世界的に2台しかない稼働状態の微分解析機のほか、黎明期のコンピュータや計算具を多数収蔵。大石さんは、ミュージアム展示と科学的思考力に関して研究されています。権藤さんは、映画史の研究をされてきた“聞き書き”という手法にもお詳しい。ハワイ大学に留学されていたそうですが、欧米の大学には“Center for Oral history”を持っているところが実に多いそうです。宮田さんは、映像のデジタルアーカイブを専門とされています。
以下、権藤さん、宮田さんに取材して機材などについて、そのあとの“進め方”についてお聞きしながらまとめています。
収録場所は柔軟に
東京都中央区銀座の歌舞伎座タワーにある株式会社ドワンゴの会議室で行っています。ただし、オーラル・ヒストリーの対象者が指定した場合には、その方の会社に出向いてオフィスや会議室で収録させていただくことも多いです。記事冒頭の写真は、萩野正昭さんへのオーラル・ヒストリーを渋谷区神宮前のボイジャーで行ったようすです。また、記事最後の写真はPostPetの八谷和彦さんを東京藝術大学 芸術情報センターの会議室に訪ねていったようすです。手元に資料をおいてのインタビューは、よいことが多いように思いました。
録画・録音は高品位に
録画・録音は、アーカイブとして長期に保存・利用するのに耐えるため可能な範囲で高品位なことが望ましい。動画撮影は、ソニーがCinema Lineとブランドしているカムコーダー「FX30」で4K解像度で行っています。レンズは、F値2.8の「SEL1655G E 16-55mm F2.8 G」と「E PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSS」を使用中。リラックスして喋ってもらうためには「GoPro」なども考えられますが、長時間の収録でも熱暴走しないようにしなければなりません。
メモリカードは、通常のSDカードやMicroSDではなくCFexpressで、1枚あたり相応の時間撮影できるようにソニーの「CEA-G160T」、「CEA-G320T」を使用。なお、照明は、通常は使わないものの条件によって必要なケースが想定されるため機材としてはNEEWER製の調光可能な176 LEDビデオライトを用意。リラックスして喋ってもらうには照明なしのほうがよいという考え方です。
音声は、無線ピンマイクのソニー「UTX-B40」と受信機「URX-P41D」を使用。カメラとの組み合わせから放送用の電波帯で録れるものを選択。基本的に1人1個ずつ付けてもらい、インタビュアの2個とあわせて4個を用意している。また、同時に、バックアップの意味で指向性のある音声レコーダーTASCAM「 DR-100MK3」でも録音を行っている。これ以外に、バッテリー、ヘッドフォン、充電器、ケースなども適宜用意しています。
動画の収録自体は、いまはiPhoneなどスマートフォンが1台あればできるはずです。なのでユーザーによってはその選択肢もあってよいでしょう。しかし、歴史資料として多くの映像を確実に収録、長期間にわたって使ってもらう品質を求めた場合には、この構成は答えの1つ。大学などで行う場合にも目安になるスペックとのことです。4K映像は大容量となりますが、高品質かつ高い圧縮率の規格(コーデック)を採用しており、1時間の収録で約50GBとなっています。このデータは、機器やデータの破損対策として、東京と京都にハードディスクを置いていて同じものを保有・管理しています。
実施――オーラル・ヒストリーの進め方
テーマと対象者の選定
HARCでは、「大テーマ」「中テーマ」「小テーマ」と、出来事を絞っていくなかで対象者や設問を設定していきます。まず、その分野の歴史的なターニングポイントや発展の契機となったことがらを「大テーマ」として設定。これは、ZEN大学のシラバスと対応するものになります。ITの歴史の場合、たとえば「1990年代の国内PC市場の変化」などが考えられます。次に、テーマに含まれるさまざまな側面、具体的な製品やサービス、競合や社会情勢との関係から「中テーマ」をあげていきます。
1990年代の国内PC市場の変化なら、「ノートPCブーム」、「DOS/V」、「Windows 95」、「Compaqショック」、「FMV」など、製品名や業界のトピックになります。中テーマが決まると、インタビュー対象者の候補をあげる作業に入れます。それぞれの製品担当者、流通や量販店の関係者などもあると思います。
対象者の候補が決まったら「オーラル・ヒストリー インタビュー調査のご協力のお願い」というA4で2枚程度の文書をメールにして送付しています。このインタビューの実施者の紹介、目的、お聞きしたいテーマ、場所やスケジュール、謝礼、公開方法、聞き手などからなります。メール本文では、別途承諾書をお送りすることなど失礼のないようにお知らせします。無事お話いただけることが決まったら日程等を調整、テーマに関連する資料を可能な範囲でお持ちいただくようお願いします。なお、対象者は最大でも2名程度としています。
コンセプト会議
インタビュー実施に先立って、それぞれ過去の雑誌記事や論文などによる調査を行いSlack上で情報交換を行います。権藤さんは、年表を作ることから始めてポイントとなる記事を絞って提示してくれています。私の場合は、雑誌バックナンバーなどできるだけリアルな情報を引っ張りだして、マーケティング分析の3C、4Pの視点で見るようにしています。ここでやるオーラル・ヒストリーが、ITやネットがテーマなので、具体的な製品やサービスの話となることが多いという特殊性があるからです。
続いて、HARCの細井所長、関係者が集まって「コンセプト会議」なるものが開催されます。ここでは、そのまま収録時の話題設定や質問項目となる「小テーマ」というものを設定します。これは、事前に対象者にも送付するとともに、当日も、これに沿ってインタビューしていくことになります。
参考までに、J-PHONEで、2000年に世界初のカメラ付きケータイとメールサービス「写メール」を担当された高尾慶二氏へのオーラル・ヒストリーの場合の「中テーマ」、「小テーマ」(設問)は、以下のようなものでした(読みやすくするため書き直してあります)。
・中テーマ「カメラがモバイル機器に入った」
設問:ご自身のキャリアや技術的な背景を教えてください
当時の画像圧縮、ケータイの技術、シャープ製「J-SH04」について
・中テーマ「モバイルによるライフスタイルの変化」
設問:消費者、市場や競合の状況、社内の考えはどうだったか
何がきっかけとなって商品化したのか?
ターゲットやプロモーションについて
こんなに簡単なものなのと思われるかもしれませんが、資料を検討してコンセプト会議から導きだしたものなのです。リアルタイムで業界にいたとか取材したことがある人には、10分もあれば小テーマまで書き出せるようなときもあります。しかし、これはさまざまな知見や考え方を持ち寄ることで簡潔で答えやすい質問と構成を設計するためにやるものなのです。このプロジェクトでは、Slackを有効に使っているので会議は1回で済んでいますが、細井所長によるとコンセプト会議は必要に応じて重ねて行うものだそうです。
これをもとに、対象者には思うところからひたすら語ってもらいます。お話がストップしたときは、流れに沿った質問をはさんだりはしますが、いわゆる対話ではありません。対話を重視するオーラル・ヒストリーの手法もあるようですが、無理なく頭にあるものを順番に出してもらう感じです。古いプログラマならご存じのデバッグ手法、コアダンプ(記憶メモリの内容をまとめて出力すること)のようなプロセスといえないでしょうか。
また、全体を総括するような質問も最後に用意していて、高尾さんの場合には「新しい市場を作ることの大切さ」、「日本が先行したものがスマートフォンに集約された理由」の2つを聞くこととしました。これは、「大テーマ」に立ち返ることでもあり、大学のシラバスに関係してくるものにもなっています。
歴史の一次資料としてのインタビュー
収録自体は、3時間を目途に途中に適宜休憩をはさみながら行います。基本的に、小テーマにあたる設問にそってひたすら語ってもらうようにしています。重要なことは、オーラル・ヒストリーは、語られた内容が事実かどうかを検証するものではないということです。記憶をもとに語られるわけなので、ときには勘違いもあるかもしれないし、感情によって歪められていることもあるかもしれません。しかし、“誰がどう語ったか?”が、重要であり一次資料たるゆえんです。
すでに触れたとおり、コンテンツ産業史アーカイブ研究センターのプロジェクトでは、映像により収録しています。これにより、対象者の表情や語気など、文字や図版だけのオーラル・ヒストリーとは比べようもない情報量を得ることができます。学術的な利用、論文や著作などでの引用ができるように作るのがオーラル・ヒストリーだと述べましたが、いまではいつでも動画を再生してみる環境があります。
収録の最後には、お持ちいただいた資料などをビデオと写真で撮影しています。個人的には、製品や試作品などはもっと撮りたいところですが、オーラル・ヒストリーとしては、当日持っていただける範囲となっています。記念写真を撮り、ご足労いただいているので手土産(お菓子)をお渡しして収録は終わります。
編集と公開
収録後の映像は、不要な部分はカットして文字起こしと校正を行います。この作業は、WhisperやClaudeなどのAIの助けも借りることができるようになってきています。その上で、関係者および対象者の承認を受けたうえでオーラル・ヒストリーの本体が出来上がります。このとき、対象者が「公開してほしくない」という部分はカットする作業も行います。事前の文書でも、回答できない場合は拒否できること、公開内容を事前に確認して一部を非公開として指示できること、映像収録をするが公開時のメディアを選択できることなどを伝えています。
これからの作業となりますが、このオーラル・ヒストリーの本体に、メタデータなどの情報を用意してやることになります。メタデータとは、オーラル・ヒストリーの場合にはインタビューの属性や特徴を表すタグになる文字情報です。あえて付け加えておくと、こうした参照や引用の手段については、これからAIを活用していくようなことも考えられるのでしょう。オーラル・ヒストリー自体が言語モデルのようなものだからです。
公開は、HARCの場合、大学以外を含む研究者や学生たちが自由に閲覧できることを前提としています。センターとして独自のアーカイブを構築することも想定していますが、まずは文科省が指定する国際共同利用・共同研究拠点に認定されている「日本文化資源デジタル・アーカイブ国際共同研究拠点」で公開予定としています。この研究拠点は「ジャパンサーチ」や「Cultural Japan」などの海外からのアクセスの入り口でもある横断検索型の連携機関にもなっているものです。
オーラル・ヒストリーをはじめよう!
先日、HARCの細井所長にお話を伺っていて印象的だったのは「自分たちのプロジェクトだけですべてはできっこない」ということでした。日本には、数えきれない企業や大学があり、エンジニア、コンテンツのクリエイターたちがいるからです。インタビューすることで、何かを作り出すときに共通のあまり顕在化していない約束ごとだったり、日本だから可能だったことがあったり、組織論ややりがいや人生観のようなものも浮き上がってきます。オーラル・ヒストリーを検討してみてはいかがでしょう?
関連リンク
・ZEN大学
https://zen.ac.jp/
・コンテンツ産業史アーカイブ研究センター(HARC)
https://zen.ac.jp/harc
遠藤諭(えんどうさとし)
株式会社角川アスキー総合研究所 主席研究員。MITテクノロジーレビュー日本版 アドバイザー。ZEN大学 客員教授。コンテンツ産業史アーカイブ研究センター 研究員。プログラマを経て1985年に株式会社アスキー入社。月刊アスキー編集長、株式会社アスキー取締役などを経て、2013年より現職。趣味は、カレーと錯視と文具作り。2018、2019年に日本基礎心理学会の「錯視・錯聴コンテスト」で2年連続入賞。その錯視を利用したアニメーションフローティングペンを作っている。著書に、『計算機屋かく戦えり』(アスキー)、『ジェネラルパーパス・テクノロジー: 日本の停滞を打破する究極手段』(野口悠紀雄氏との共著、アスキー新書)、『頭のいい人が変えた10の世界 NHK ITホワイトボックス』(共著、講談社)など。
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