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3人制プロバスケチーム「esDGz OTAKI.EXE」が稲作の担い手不足とプロアスリートのキャリア問題を解決!?

「農業×バスケ、ときどきニワトリの孵化(非営利)」というまったく新しい働き方を実践する団体が存在 稲刈りの手伝いがてらお話を聞いてきた

2024年10月26日 10時00分更新

文● ジサトライッペイ/ASCII 編集●ASCII
提供: 株式会社JAPANNEXT

稲作の農閑期は竹林整備やタケノコの収穫
そのかたわらでニワトリとヤギも飼育

――稲作の農閑期はほかの作物を育てたりするのでしょうか?

遠藤さん:稲作以外だと竹林整備をしてますね。大多喜町はもともとタケノコが特産品でして、秋頃から春までの稲作農閑期は竹林を整備して、春にタケノコを収穫してます。

――ニワトリが放し飼いにされていてびっくりしたんですが、畜産もやられてるんですか?

遠藤さん:いや、あのニワトリとかヤギに関しては、事業にする意志とか志向はまったくなく、ただ放し飼いにされてるっていう状態なんです。

――え!?ヤギもいるんですか?

遠藤さん:ええ、あちらの小屋に親子で2匹。ニワトリは3匹飼っています。玄関にいた2匹は卵から孵化させて、ひよこから育てました。別のもう1匹はその親だったりします。

「農業×バスケ、ときどきニワトリの孵化(非営利)」というまったく新しい働き方を実践する団体が存在 稲刈りの手伝いがてらお話を聞いてきた

玄関ではニワトリがお出迎え

「農業×バスケ、ときどきニワトリの孵化(非営利)」というまったく新しい働き方を実践する団体が存在 稲刈りの手伝いがてらお話を聞いてきた

敷地内にはヤギの小屋もありました(写真奥)

――なぜ孵化させようと思ったんですか?

遠藤さん:ニワトリはここに来た当初からいまして、普通に卵を産んでいたので、せっかくだから孵化させてみようっていう、ただ単純な発想でやってみて、生まれてきたのがあの2匹になります。

――これからは畜産もやっていきたいとか、耕作地の拡大とか、事業拡大の計画はありますか?

成田さん:畜産に関しては、何か事業にしようとは現時点では思っていないのですが、人が増えれば耕作できる面積は増えると思います。大多喜町はまだまだ耕作放棄地がたくさんあるので、まずはそういったところをどんどん再生できればいいなと思ってます。でも、やっぱり人員とかいろんな問題で、現状だと今の範囲内がマックスですね。人が増えたり、何か効率化できたりすればまた変わっていく可能性はあるのかなとは思いますが。

チームメンバー全員が房総地域移住者

――ウェブサイトの紹介では、外国人選手も2人いらっしゃいましたが、もともとこのあたりに住まれている方なんでしょうか?

成田さん:2人とも数年前に来日したんですが、1人は去年まで別の地域の3人制チームで活動しておりました。もう1人は去年から加入したんですが、一昨年までは5人制の金沢のチームでプレイしていました。

――なるほど。もともと大多喜町に住んでた方ではないんですね。日本人選手はどうでしょう?

成田さん:今チームメンバーは全部で12名なんですが、房総地域の出身者は1人もいないですね。基本的には東京のほかだと、習志野とか千葉でも房総地域以外の出身者が多いです。あと、ほかのチームからの移籍ではなく、新卒で入ってきたメンバーもいます。

――過疎化地域は賃貸物件が少ないイメージがあります。みなさんは大多喜町に住んでいるんですか?

成田さん:そうですね。ここから車で10分ぐらいのアパートに住んでいます。ただ、今はまた賃貸の空きがちょっと難しくなってきたようです。時々断ったりすることもあるようなので。

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校舎の左手には体育館があります

――バスケの練習は校舎の横にある体育館でやっているんですか?

成田さん:以前はそこの体育館でやってたんですけど、今は「大多喜町B&G海洋センター」っていう大多喜町から委託されて我々のグループ組織が管理している施設で練習しています。ここから車で10分ぐらいのところにあります。気温が上がる前に農業をやって、夜間空いている施設でバスケをするって感じです。

――理にかなってますね。そういった仕事の仕方だとかは、みなさんで話し合って決めているんですか?

成田さん:それぞれ担当があって、農業だったら遠藤がメインで稲刈りの段取りだとかいろいろしてまして、バスケのほうはまた別の考える人がいてっていうような感じで、役割が分かれてますね。

5キロ・3200円でも安い今年のお米事情

――「令和の米騒動」についておうかがいしたいのですが、このあたりの地域でも米不足になりましたか?

遠藤さん:なりましたね。このあたりのイチバン大きなお店で「オリブ」っていうところがあるんですが、そこのお米もなくなってました。

――お米を作っている立場からすると、「もう少し待てば新米が出るのに」って思いませんでした?

遠藤さん:そうですね(笑)。

「農業×バスケ、ときどきニワトリの孵化(非営利)」というまったく新しい働き方を実践する団体が存在 稲刈りの手伝いがてらお話を聞いてきた

インタビュー中にいただいた、新米でにぎったおにぎりの差し入れ。新米はやっぱりおいしいですね

――8月末にはesDGz OTAKI.EXEのSNSで収穫を報告していたじゃないですか。反響はありましたか?

遠藤さん:僕らはInstagramをメインで運用しているんですが、そっちでは値段に関しては「安い」という反応が多かったですね。5キロで3200円と去年よりも高くなってしまったんですが、今年はスーパーのお米でも5キロ・3000円ぐらいしたので、この値段にしました。僕らはバスケチームが作ったお米っていうブランディングもあり、ちょっと高くしていこうっていう流れではあったんですけど。それでも今年は5キロで3200円は安いっていうお声が大きくて、あとはやっぱり「待ってました!」っていう声もすごい多くてうれしかったですね。

「農業×バスケ、ときどきニワトリの孵化(非営利)」というまったく新しい働き方を実践する団体が存在 稲刈りの手伝いがてらお話を聞いてきた

esDGz OTAKI.EXEが作ったお米「籠米」(かごめ)の直販サイトでは、2キロパックも5キロパックもすでに売り切れ。大好評だったようです

――ちなみに、JAPANNEXTへのスポンサー営業は選手の方が行かれたんですか?

成田さん:はい。僕が事務局長の近藤といっしょに。で、もともとJAPANNEXTさんがスポーツチームのスポンサーを考えていたタイミングだったようで、地元の飲食店などに僕らのポスターが貼ってあってご存じだったというご縁もありました。

――なるほど、JAPANNEXTの本社があるいすみ市と大多喜町はお隣ですもんね。では、そのあたりの事情は事務局長の近藤さんにおうかがいいたしますね。本日はお話ありがとうございました。

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