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3人制プロバスケチーム「esDGz OTAKI.EXE」が稲作の担い手不足とプロアスリートのキャリア問題を解決!?

「農業×バスケ、ときどきニワトリの孵化(非営利)」というまったく新しい働き方を実践する団体が存在 稲刈りの手伝いがてらお話を聞いてきた

2024年10月26日 10時00分更新

文● ジサトライッペイ/ASCII 編集●ASCII
提供: 株式会社JAPANNEXT

「農業×バスケ、ときどきニワトリの孵化(非営利)」というまったく新しい働き方を実践する団体が存在 稲刈りの手伝いがてらお話を聞いてきた

 こんにちは、ジサトライッペイです。母方の実家は米農家で、幸運なことに生まれてから一度もお米で悩んだことがありません。なので、「令和の米騒動」もあまりピンときておりませんでした。というか、僕の故郷では「単なる端境期では?」という見方が大半でした。

 事実、現在は各地で新米が並び、騒動はどこへやら。焦って買いだめせず、おいしくいただける量だけ、都度買っていけば良いのです。そんな中、ディスプレーメーカーの雄、JAPANNEXTのご紹介で、同社がスポンサーをしている3人制プロバスケットボールチーム「esDGz OTAKI.EXE」(エスディージーズオオタキエグゼ)に取材する機会をいただきました。

「農業×バスケ、ときどきニワトリの孵化(非営利)」というまったく新しい働き方を実践する団体が存在 稲刈りの手伝いがてらお話を聞いてきた

ディスプレーメーカーのJAPANNEXTが、なぜプロバスケットボールチームのスポンサーになったのかも気になるところ。そのあたりの事情も詳しくうかがいました

「農業×バスケ、ときどきニワトリの孵化(非営利)」というまったく新しい働き方を実践する団体が存在 稲刈りの手伝いがてらお話を聞いてきた

esDGz OTAKI.EXEは千葉県の房総半島にある大多喜町の3人制プロバスケットボールチーム。プロスポーツ選手として「大多喜」の看板を背負って試合に臨み、スクールやイベントなどの活動を通して、大多喜町の知名度向上や価値創造に貢献しています

 同チームは3×3のプロバスケットボールリーグで参戦しながら、「デュアルキャリア」という新しい働き方を掲げ、なんと稲作にも従事しているユニークなチームなんです。一体、デュアルキャリアとはなんなのか? ちょうど稲刈りシーズンということで、お手伝いがてらインタビューしてきました。

「農業×バスケ、ときどきニワトリの孵化(非営利)」というまったく新しい働き方を実践する団体が存在 稲刈りの手伝いがてらお話を聞いてきた

お話をうかがった選手は写真左から遠藤勇一さん(183cm/30kg/25歳/9番)と成田琉晟さん(180cm/80kg/25歳/3番)

デュアルキャリアで耕作放棄地とセカンドキャリア問題を解決

――稲刈りお疲れ様でした。僕らは戦力になりましたでしょうか?

遠藤さん:もちろんです!ちょうど刈り遅れで手が足りてなかったので本当に助かりました。

――なんか僕らのペースに合わせていただいた感じで、逆に申し訳なかったなと……。ここからはインタビューよろしくお願いします。

遠藤さん&成田さん:よろしくお願いします!

――まずはesDGz OTAKI.EXEが掲げる、農業×スポーツの「デュアルキャリア」という働き方について、改めて教えてください。

成田さん:はい。大多喜町はもともと国の過疎地域にも指定されており、人口が今8000人弱しかいません。その内の6割ぐらいが高齢者なので農業の担い手が不足し、耕作放棄地と呼ばれる荒れ果てた田んぼが多いんですね。そうした田んぼは野生動物のすみかになり、ほかの耕作地に獣害が出て困っているという課題があります。

――耕作放棄地は全国で問題になってますよね。

成田さん:そうなんです。一方で、プロアスリートにもキャリアが短く、だいたい30代後半ぐらいでその後のセカンドキャリアをどうやって生きていくのかっていうような課題があります。その両方の課題を解決するための1つの試みとして、農業×スポーツ、私たちの場合は稲作×バスケットボールのデュアルキャリアを実践しております。

「農業×バスケ、ときどきニワトリの孵化(非営利)」というまったく新しい働き方を実践する団体が存在 稲刈りの手伝いがてらお話を聞いてきた

稲作に本気で取り組み

「農業×バスケ、ときどきニワトリの孵化(非営利)」というまったく新しい働き方を実践する団体が存在 稲刈りの手伝いがてらお話を聞いてきた

プロバスケの活動も並行するデュアルキャリア

――なるほど。セカンドキャリア問題もよく聞く話ですよね。

成田さん:プロアスリートが引退後になにか新しい仕事を覚えるのは結構厳しいのが現状でして、スポーツしかしてこなかった人が35歳からまったく別の仕事を始めるのはやはり難しいと感じます。しかし、プロアスリート活動と並行して農業に従事するデュアルキャリアという方法なら、引退後もスムーズにセカンドキャリアに移行できます。

――キャリア形成プランとしては効率が良さそうに聞こえるのですが、どちらも並行することは簡単ではないと思います。片方がおろそかになったりとかしないのでしょうか?

成田さん:確かにメリットばかりではありません。デメリットで言うと、例えば一般的な社会人だと1日8時間労働をフルで1つの仕事に使えますが、僕たちは2つの仕事でそれぞれ半分ずつになるので、効率化を真剣に考えないとどちらもうまくいかないなと実感しています。

――逆に、シナジーというか、両方やってて良かったなと思うことはありますか?

成田さん:そうですね。今日稲刈りを体験していただいて実感していただいたと思うんですけど、この炎天下の外作業は結構体力や根性が必要になります。僕らがやっている3人制のバスケットボールは屋外試合が多くて、夏なんかはほかのチームの選手よりもよく動けていると思います。そこはすごくマッチしてると感じます。

――屋外でも試合をするんですね!

成田さん:基本、試合は屋外が多いですね。5人制だったらアリーナとか体育館でやることが多く、入場もチケット制がほとんどになりますが、3人制は公園の駐車場とかでもやるので、たまたま公園に遊びに来た人もチラっと見に行けたりとか、広くバスケを知ってもらうにはいい環境かもしれません。

「農業×バスケ、ときどきニワトリの孵化(非営利)」というまったく新しい働き方を実践する団体が存在 稲刈りの手伝いがてらお話を聞いてきた

当日の気温は33度。炎天下の中の稲刈りはすごく大変でした。運動不足の僕(写真手前)は、1時間ぐらいの作業でへとへとに……。しかし、この写真。ドウェイン・ジョンソンのような肉体美の遠藤さん(写真右)と比べると、より僕のへっぽこぶりが際立ちますな……

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