3Dグラフィックスのベンチも最速でした!!
バッテリーは実測20時間超え!! ついに発売となったCoreUltra2搭載ノートPC「Zenbook S14」 実機レビュー
ASUSは、インテルの次世代プロセッサーLunar Lakeを搭載したCopilot+PCである「Zenbook S14」(UX5406SA)を10月3日に発売した。
本製品が搭載するのは、インテル「Core Ultraプロセッサー シリーズ2」(CoreUltra2)だ。最大47TOPSのNPUを内蔵しており、AI処理を高速に、省電力で実行できる。x86系アーキテクチャーを継承しているので、互換性も確保されている。
今回、日本で発売となる「Zenbook S14」の最上位モデルをASUSから借用したので、スペックや使い勝手をチェックしたうえで、初代インテルCore Ultraプロセッサーだけでなく、ライバルである「Ryzen AI 9 HX 370」や「Snapdragon X Elite X1E-78-100」ともベンチマークでじっくり比較してみよう。
搭載するCoreUltra2プロセッサーは3種類
ディスプレーはタッチあるなしを用意
「Zenbook S14」はOSに「Windows 11 Home 64ビット」、プロセッサーは3種類だ。
☆「Core Ultra 5 226V」
8コア[4P+4LPE]、8スレッド、4.5GHz、17W、
インテルArcグラフィックス130V、インテルAIブースト[40TOPS]
☆「Core Ultra 7 256V」・「Core Ultra 7 258V」
8コア[4P+4LPE]、8スレッド、4.8GHz、17W、
インテルArcグラフィックス140V、インテルAIブースト[47TOPS])
Ultra 7の256Vと258Vの違いは、内蔵メモリー量だけで、16GBと32GB(LPDDR5X-8533)だ。ストレージは512GB/1TB(PCIe Gen4 x4接続SSD)を搭載している。ボディーカラーはズマイアグレーとスカンジナビアンホワイトの2色で、258V搭載モデルではディスプレーのタッチとノンタッチがあるので、全部で4種類となり、8モデルがラインナップされている。
価格は、21万9800円、23万9800円、25万9800円、29万9800円だ。
ディスプレーは14型OLEDで2880×1800ドット、16:10、リフレッシュレート120Hz、応答速度0.2ms、Dolby Vision、グレアを採用。サウンド機能は1W×2、0.8W×2のDolby Atmos対応クアッドスピーカー、アレイマイクを内蔵。ディスプレー上部には207万画素ウェブカメラ(赤外線対応)を内蔵している。
インターフェースはThunderbolt 4(USB Type-C、映像出力、Power Delivery対応)×2、USB3.2 Gen2 Type-A、HDMI、オーディオコンボジャックを用意。ワイヤレス通信はWi-Fi7、Bluetooth 5.4をサポートしている。
本体サイズは310.3×214.7×11.9~12.9mm、重量は約1.2kg。72Whのバッテリーを内蔵しており、バッテリー駆動時間はJEITA 3.0で約13.1時間(動画再生時)/約19.7時間(アイドル時)、JEITA 2.0で約23.3時間、充電時間は約2.2時間と謳われている。
CoreUltra2ならWindowsアプリとの互換性と
Copilot+PCのAI機能を享受できる
「Zenbook S14」はx86系プロセッサーを搭載したCopilot+PCだ。従来のアプリケーションが動作する互換性と、Copilot+ PCに先行して搭載されるAI機能の両方のメリットを享受可能だ。
ディスプレーは、「ASUS Lumina OLED」と名付けられた14型OLEDを搭載。色の忠実性を保証する「Pantone認証」、HDR性能を示す「VESA Certified DisplayHDR True Black 500」、ブルーライトの放出が少ないディスプレーに付与される「SGS Eye Care Display」と「Low Blue Light TÜV Rheinland」が取得されている。
また水平170度/垂直170度の広視野角が確保されており、広い範囲で鮮やかな画像、映像を鑑賞可能だ。リフレッシュレートは120Hz、応答速度は0.2msが確保。クリエイティブワークにも、ゲームにも申しぶんなしのディスプレーである。
キーボードは84キーの日本語配列。キーピッチは実測19mm前後、キーストロークは実測1.2mmが確保されている。
打鍵感は良好で、しっかりとしたクリック感を備えつつ、タイピング音も低めだ。一部キーは密着しているが、\キー以外の文字キーは等幅に揃えられている。慣れれば軽快にタイピングできるはずだ。
207万画素ウェブカメラの画質は下記のとおりで、室内灯下でも明るく撮影できる。なおWindows11の「カメラ」アプリで撮影した場合、HDR proをオンにしたほうがノイズは低減するが、HDRオフのほうが質感は記録される。個人的にはHDRオフがお勧めだ。
CoreUltra1、Ryzen AI、Snapdragon Xと速度比較
CPU部はコア数のわりに善戦、内蔵GPUは爆速だ
バッテリーの持ちは驚異の20時間超え!!
最後にパフォーマンスをチェックしてみよう。今回は、Core Ultra 7 258V搭載のASUS「Zenbook S14」を、以下のノートPCと比べている。
Core Ultra 5 125U搭載:Lenovo「ThinkPad X1 Carbon Gen12」
Core Ultra 7 155H搭載:Acer「Swift Go」
Ryzen AI 9 HX 370搭載:ASUS「Zenbook S16」
Snapdragon X Elite X1E-78-100搭載:ASUS「Vivobook S15」
Snapdragon X EliteのみARM系プロセッサーで、ほかはすべてx86系プロセッサーだ。
「Core Ultra 7 258V」のベースパワーは17W、最小は8Wで、最大ターボパワーは37Wである。下記のFFベンチを最高画質で実施中のCPU電力は、34Wまで上がったので、「Zenbook S14」は、モバイルノートながら、CoreUltra2をかなり上まで回しているマシンである。高性能の冷却システムを搭載しているおかげだ。
まずCPU性能について、「Zenbook S14」は「CINEBENCH 2024」のCPU(Multi Core)は599、CPU(Single Core)は115、「CINEBENCH R23」のCPU(Multi Core)は10607、CPU(Single Core)は1582となった。
CPU(Multi Core)についてみると、
Core Ultra 5 125Uの109%相当
Core Ultra 7 155Hの67%相当
Ryzen AI 9 HX 370の60%相当
Snapdragon X Eliteの55%相当
となる。
CoreUltra2は8コア8スレッドなので、CPU性能は今回のなかでは高いとは言えないが、12コア14スレッドの「Core Ultra 5 125U」より高いスコアを記録していることは注目に値する。
GPU性能については、Core Ultra 7 258V搭載の「Zenbook S14」は非常に優秀だ。3DMark、FF XIV、FF XVのすべてで、トップのスコアを叩き出した。
特にFF XIVでは、
Core Ultra 5 125Uの174%相当
Core Ultra 7 155Hの114%相当
Ryzen AI 9 HX 370の142%相当
Snapdragon X Eliteの139%相当
と大きく引き離している。
Core Ultra 7 155H のIntel Arc graphicsより速く、Ryzen AI 9 HX 370のAMD Radeon 890Mの1.5倍近い速度は大きな魅力だ。
Core Ultra 7 258VがモバイルゲーミングPC「ROG Ally」の後継機に搭載されることを楽しみに待ちたい。
ストレージはPCIe Gen4 x4接続SSD「WD PC SN560 SDDPNQE-1T00-1102」が搭載されており、「CrystalDiskMark」のシーケンシャルリード(SEQ1M Q8T1)は5016MB/s、シーケンシャルライト(SEQ1M Q8T1)は3437MB/sとなった。トップスコアではないものの、リード、ライト性能のバランスはいい。
バッテリー駆動時間については、「MyASUS」で動作モードを「スタンダード」、ディスプレー輝度とボリュームを40%に設定して「PCMark 10 Modern Office Battery Life」を実行したところ、20時間14分も動作した。実時間でテストするのが苦痛なくらいのバッテリーの持ち具合で、CoreUltra2の省エネぶりがよくわかる。軽量モバイルノートPC向けのCoreUltra2最大の魅力は、このスタミナ性能といってもいい。
Zenbook S14は待ちに待った
Copilot+PCの大本命ノートPCなのだ
Zenbook S14の魅力は互換性と3Dグラフィックス性能、そして驚異の省エネ性能だ。
x86系プロセッサーということで利用するアプリケーションに制限はない。そして、3DMarkではHプロセッサーを上回る3Dグラフィックス性能を発揮。リフレッシュレート120Hz、応答速度0.2msのOLEDディスプレーを搭載しているので、ゲーム用ノートPCとしてのポテンシャルも高い。
そしてバッテリー駆動時間は、実ベンチマークで20時間超えを記録した。約1.2kgのボディーでこのスタミナ性能は非常に魅力的だ。
もちろんCopilot+PCならではのAIアプリケーションを利用できるのも大きなアドバンテージだ。Zenbook S14は、Copilot+ PCの大本命である。
週刊アスキーの最新情報を購読しよう
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります