ASUS JAPAN編
Copilot+ PC 3大ベンダーついに勢ぞろい! ASUS「あらゆるニーズに応える製品群を投入する」
9月4日、インテルは新CPU「Core Ultra プロセッサー (シリーズ2)」(以下:Core Ultra シリーズ2)を発表した。
競合となるAMDの「Ryzen AI 300」シリーズ、クアルコムの「Snapdragon X」シリーズと、マイクロソフトの掲げる40TOPS以上の演算能力を実現した「Copilot+ PC」の要件を満たすAI PCが出揃った形となる。
本連載はAI PCに着目し、それを取り扱うメーカーにインタビューしていく企画だ。第4弾はASUS JAPAN。パーソナル コンピューター、ディスプレー、マザーボード、ビデオカード、ルーター、テクノロジーソリューションなど幅広い分野を展開している企業だ。
同社はCopilot+ PCとしてSnapdragon Xシリーズ、Ryzen AIシリーズを投入済み。そして今月Core Ultra シリーズ2のモデルを発表した。いずれのモデルも数多くラインアップしており、AI PCへの強い意気込みを感じられる。
2024年~2025年以降のAI PC市場がどうなるのか同社の担当者に話を聞いた。取材を受けてくれたのはコンシューマー事業本部 プロダクトマネージャーの陳 立人氏だ。
2024年はすでにCopilot+ PCシェアは10%に達している
――Core Ultra シリーズ2が発表され、Copilot+ PCが出揃いました。来年にはWindows 10 EOSも控える中、御社の市場予測を教えてください。
三大ベンダーが揃った現状ですが、弊社としてはCopilot+ PCおよびCopilot+PC準拠のPC出荷台数が10%ほどを占めている状態です。
2025年に向けてはWindows 10 EOSもあるということで社内予測としてAI PC(Copilot+ PC)のシェアは15%くらいになると考えています。
Snapdragon Xシリーズ、Ryzen AIシリーズ、Core Ultra シリーズ2とすべてのプラットフォームでモデルを販売していくので、あらゆるニーズを満たすポートフォリオを展開していきたいです。
――市場調査では2028年にAI PCが65%を超えるという予測もありますよね。
十分ありえますね。3年後~5年後には組み込まれているパーツ自体のサポート終了を迎えるほか、40TOPSではニーズを満たせないといったことが発生するため、AI PCが市場に広がっていくかと。
一方で40TOPS以上の性能が必要ないユーザーも一定数いると思うので、今後数年はインテル第13世代やAMDの7000番台などが市場に混在していくと思います。
――Copilot+ PCについてどんなものが訴求の決め手になると思われますか?
Copilot+ PCの専用機能であるコクリエイターやビデオエフェクト、ライブキャプション、そしてリコール機能が決め手ではないでしょうか。とくにリコール機能はタイムマシン的な使い方ができるので、6月の発表でも一番盛り上がっていた部分でしたね。
そのほかにも、たとえば“旅のしおりを作る”などは今でも生成AIでできますが、よりカスタマイズできるようになったら面白いですね。これまで自分が閲覧した観光名所だったり、グルメ情報などをAIが予測してくれて提案してくれたら便利そうです。
文書作成や画像編集なども、AIが予測してくれてこういったスタイル・文章はどうですかなどを提案してくれるようになったら一般層にも使いやすくなっていくのではないかと思います。
――ハードウェアメーカーとしての側面も強い御社ですが、AI PCが出てきた中、AI専門の開発チームというのは作られたのでしょうか?
弊社は開発部門にとくに力を入れているんですが、1000人規模のAI専用部門が新設されました。というのもAI搭載の画像生成アプリ「MuseTree」や写真、動画、オーディオの管理アプリ「StoryCube」は社内で開発していますのでハードウェアメーカーとしてだけでなく、ソフトウェアメーカーとしてもユーザーの需要には応えていきたいと思っています。
――ASUSの本社は台湾にありますが、台湾ではCopilot+ PCの受け止め方はどうでしょうか?
Copilot+ PCについてはまだこれからといった感じですね。ただ、ChatGPTがトレンドになったとき、仕事でも学校でもとりあえずChatGPTに聞いてみようという流れがあったので、個人的にはAIというものは広く浸透していると思います。
AI PCは3本柱で展開
ASUSでは2024年のAI PCをCopilot+ PC、Advanced AIPC、Everyday AIと大きく3本の柱に分けて訴求していくという。
Copilot+ PCはその名の通り、マイクロソフトの定めるCopilot+ PCの定義に当てはまった40TOPS以上でメモリー16GB、ストレージ256GB、長時間の駆動時間を実現したモデルが当てはまっている。
Advanced AIPCは、40TOPS以上のNPUに加えて、GPUも搭載されているモデルがカテゴライズされている。CPUにRyzen AI(Strix Point)搭載したProArt P16とProArt PX13が該当する。いずれも有機ELタッチディスプレーを搭載し、とくにクリエイターにおすすめのモデルだそう。
Everyday AIは、40TOPSには未達だがNPUを搭載するモデルがカテゴライズされている。ASUS Zenbook 14 OLEDなどが当てはまり、担当者曰く、価格的な差別化をするほか、高い性能を必要としないユーザーためにも必要なカテゴリーだとしていた。
この中で取材で実際に触れさせてもらったのは、Copilot+ PCのカテゴリーに当てはまるASUS Vivobook S 15とProArt PZ13だ。
まずASUS Vivobook S 15は、Snapdragon Xシリーズを搭載したASUS初のCopilot+ PCとなる。ローカルAI処理は最大45TOPSで高いパフォーマンス性能を誇る。スペックとしてはCPUにSnapdragon X Elite/Plus、Qualcomm Adreno GPU(CPU内蔵)、16/32GBメモリー、512/1TB SSDのストレージから選択できる。
15.5型3Kの大型有機ELディスプレーのほか、RGBバックライトキーボードを採用。音響面でもDolby Atmosと同社独自のASUS Audio Booster + Smart Amplifierを搭載し、迫力のあるオーディオ体験を提供する。
軍用規格であるMIL-STD 810H18にも準拠しており、耐久性も高い。製品サイズは幅352.6×奥行き226.9×高さ14.7~15.9mm、重さがおよそ1.42kg。価格は17万9800円~となる。
ProArt PZ13は、同社のCopilot+ PCとしては初のクリエイター向けモデルで、タブレット型の2 in 1PCを採用している。スペックはCPUにSnapdragon X Plus、Qualcomm Adreno GPU(CPU内蔵)、16GBメモリー、1TB SSDストレージを装備。
13.3型3Kの有機ELディスプレーでタッチパネルを採用。大きな注目点としてスタンドカバー、デタッチャブルキーボード、スタイラスペンが標準で同梱されているので、タブレットとしてもノートパソコンとしても幅広い用途でつかえる。
ProArt PZ13はアウトドアでつかえることもコンセプトで薄型軽量ながらIP52定格の防水・防塵仕様を実現しており、持ち運びにも安心の設計デザインとなる。
またコンパクトなボディーにもかかわらず、インターフェースにはUSB 4(Type-C)×2、SDカードリーダーを装備。製品サイズ・重さはタブレットのみで幅297.5×奥行き202.9×高さ9.0mm・およそ850g、タブレット + スタンドカバーで幅297.5×奥行き202.9×高さ11.8mm・およそ1.127kg、タブレット + キーボード + スタンドカバーで幅297.5×奥行き211.15×高さ17.6mm・およそ1.127kg。価格は24万9800円。
今後の展開としては、フラッグシップモデルのZenbook S 14/S 16は、最高性能のCPU(Core Ultra シリーズ2)を搭載していき、どんどん進化させていくと明言。メインストリームのVivobookやエントリーモデルのEシリーズなどについてもパイが大きいため、引き続きバランスよく投入していくとした。
またビジネスモデルのExpertBookにおいてもCore Ultra シリーズ2を搭載したモデルを投入。ASUS独自のライブキャプション機能や資料漏洩などを防止するセキュリティーアプリなど、ビジネス向けにコミットした機能が実装されていくという。
あらゆるペインポイントを解決していく
レオン氏はインタビューの最後に「ユーザーのペインポイント(お金を払ってでも解決したい悩み)を解決することが弊社の使命」と語った。
室内だけでなく、どこでも持ち運んで使えることをうたうProArt PZ13や、ディスプレーをもう一台買うという概念を壊した2画面搭載のノートパソコン「Zenbook DUO」などがいい製品例だ。
Copliot+ PCについてもクアルコム、AMD、インテルと3大ベンダーのCPUを搭載したモデルを網羅するのは、あらゆるユーザーのニーズに応えるためだとしている。
ASUSはユーザーの「こういうことをしたい」を先回りして作るのが得意だとしている。もしかしたら5年後~10年後、AIをもっと効率よく使える空間コンピューターのようなデバイスを投入してくれるかもしれない。今後が楽しみだ。
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