週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

Meteor Lakeを凌駕する性能のQualcomm「Oryon」 Hot Chips 2024で注目を浴びたオモシロCPU

2024年09月09日 12時00分更新

シングルスレッド性能はMeteor LakeとEmerald Rapidsを凌駕

 最後に、Qualcommが示したベンチマーク結果が下の画像だ。

ベンチマーク結果。比較は、GeekbenchはWindowsのものを、SPEC CPU 2017はLinuxのものを利用した

 これ、比較がすごく難しいというか、比較対象がないのだが、例えばGeekBench 6.3.0ではMicrosoft Surface Laptop 6 for Business(Core Ultra 7 165H搭載)の結果と比較してみると、下表のようになり、確かにシングルスレッド性能はMeteor Lakeを凌駕するものになっている。

Core Ultra 7 165Hとのベンチマーク結果
  Core Ultra 7 165H Oryon
File Compression 2222 2313
Navigation 1992 2362
HTML5 Browser 2272 3331
PDF Renderer 2325 2977
Photo Library 2294 2885
Clang 2212 3451
Text Processing 2286 2688
Asset Compression 2415 2782
Object Detection 2363 2983
Background Blur 2884 2760
Horizon Detection 2932 2986
Object Remover 2001 2633
HDR 2260 3482
Photo Filter 2241 3504
Ray Tracer 2301 2417
Structure from Motion 2528 2826
Single-Core Score 2319 2868

 もっと難しいのがSPEC CPU 2017の結果で、公式のリザルトデータベースはサーバー向けCPUでの結果ばかりで比較が非常に難しい。一応Emerald Rapidsこと第5世代Gen Xeon ScalableのXeon Platinum 8592V(60コア/120スレッド)を使った結果と比較してみると、下表のようになる。

 公平な比較かどうかは議論が残るが、PコアベースのEmerald Rapidsを上回るシングルスレッド性能を出しているとは言えるわけで、確かに言うだけのことはある結果になっている。

Xeon Platinum 8592Vとのベンチマーク結果
  Xeon(全スレッド) Xeon(1スレッド換算) Oryon(1スレッド)
500.perlbench_r 905 7.54 10.08
502.gcc_r 867 7.23 13.98
505.mcf_r 1580 13.17 10.63
520.omnetpp_r 639 5.33 7.20
523.xalancbmk_r 1570 13.08 11.55
525.x264_r 2360 19.67 26.43
531.deepsjeng_r 831 6.93 8.92
541.leela_r 788 6.57 8.10
548.exchange2_r 2330 19.42 16.89
557.xz_r 575 4.79 4.61
CPU Rate 1100 9.17 10.54

 現状Snapdragon X EliteはCPU性能よりもむしろGPU性能の方がいろいろ足りないなどと言われているが、なるほどCPUに関しては相応に自信があることを物語る結果になっているのは興味深い。問題はここからQualcommはどこまで継続的に内部を改良して性能を上げていけるか、というあたりだろう。

 当然Armとの訴訟合戦もここには絡んでくるので、それもあってか今回特に今後のロードマップなどは示されなかった。インテルやAMDが怖いのは、毎年のよにアーキテクチャーを改良して性能を上げてくる点で、Qualcommがこれに負けずにOryonを今後も改良し続けられるかどうかがポイントになりそうだ。

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

この連載の記事