第788回
Meteor Lakeを凌駕する性能のQualcomm「Oryon」 Hot Chips 2024で注目を浴びたオモシロCPU
シングルスレッド性能はMeteor LakeとEmerald Rapidsを凌駕
最後に、Qualcommが示したベンチマーク結果が下の画像だ。
これ、比較がすごく難しいというか、比較対象がないのだが、例えばGeekBench 6.3.0ではMicrosoft Surface Laptop 6 for Business(Core Ultra 7 165H搭載)の結果と比較してみると、下表のようになり、確かにシングルスレッド性能はMeteor Lakeを凌駕するものになっている。
Core Ultra 7 165Hとのベンチマーク結果 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
Core Ultra 7 165H | Oryon | |||||
File Compression | 2222 | 2313 | ||||
Navigation | 1992 | 2362 | ||||
HTML5 Browser | 2272 | 3331 | ||||
PDF Renderer | 2325 | 2977 | ||||
Photo Library | 2294 | 2885 | ||||
Clang | 2212 | 3451 | ||||
Text Processing | 2286 | 2688 | ||||
Asset Compression | 2415 | 2782 | ||||
Object Detection | 2363 | 2983 | ||||
Background Blur | 2884 | 2760 | ||||
Horizon Detection | 2932 | 2986 | ||||
Object Remover | 2001 | 2633 | ||||
HDR | 2260 | 3482 | ||||
Photo Filter | 2241 | 3504 | ||||
Ray Tracer | 2301 | 2417 | ||||
Structure from Motion | 2528 | 2826 | ||||
Single-Core Score | 2319 | 2868 |
もっと難しいのがSPEC CPU 2017の結果で、公式のリザルトデータベースはサーバー向けCPUでの結果ばかりで比較が非常に難しい。一応Emerald Rapidsこと第5世代Gen Xeon ScalableのXeon Platinum 8592V(60コア/120スレッド)を使った結果と比較してみると、下表のようになる。
公平な比較かどうかは議論が残るが、PコアベースのEmerald Rapidsを上回るシングルスレッド性能を出しているとは言えるわけで、確かに言うだけのことはある結果になっている。
Xeon Platinum 8592Vとのベンチマーク結果 | ||||||
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Xeon(全スレッド) | Xeon(1スレッド換算) | Oryon(1スレッド) | ||||
500.perlbench_r | 905 | 7.54 | 10.08 | |||
502.gcc_r | 867 | 7.23 | 13.98 | |||
505.mcf_r | 1580 | 13.17 | 10.63 | |||
520.omnetpp_r | 639 | 5.33 | 7.20 | |||
523.xalancbmk_r | 1570 | 13.08 | 11.55 | |||
525.x264_r | 2360 | 19.67 | 26.43 | |||
531.deepsjeng_r | 831 | 6.93 | 8.92 | |||
541.leela_r | 788 | 6.57 | 8.10 | |||
548.exchange2_r | 2330 | 19.42 | 16.89 | |||
557.xz_r | 575 | 4.79 | 4.61 | |||
CPU Rate | 1100 | 9.17 | 10.54 |
現状Snapdragon X EliteはCPU性能よりもむしろGPU性能の方がいろいろ足りないなどと言われているが、なるほどCPUに関しては相応に自信があることを物語る結果になっているのは興味深い。問題はここからQualcommはどこまで継続的に内部を改良して性能を上げていけるか、というあたりだろう。
当然Armとの訴訟合戦もここには絡んでくるので、それもあってか今回特に今後のロードマップなどは示されなかった。インテルやAMDが怖いのは、毎年のよにアーキテクチャーを改良して性能を上げてくる点で、Qualcommがこれに負けずにOryonを今後も改良し続けられるかどうかがポイントになりそうだ。
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