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Intel 3は300~500MHz動作周波数が向上する インテル CPUロードマップ

2024年08月12日 12時00分更新

トランジスタまで含めた信頼性が大きく改善

 次が信頼性周りの話。1.2V Cellの信頼性の話は連載777回で説明したので割愛するとして、通常のトランジスタまで含めての信頼性の話が下の画像だ。

もっともこれだけでは、1.2V Cellのように「10年の動作保証が可能」と言えるかどうかはまだわからない

起こり得る現象
Gate Oxide TDDB(Time Dependent Dielectric Breakdown) ゲート酸化膜経時破壊。ゲート酸化膜の耐圧電圧以下であっても、ずっと電圧を掛け続けるといつかは破壊される現象
BTI(Bias Temperature Instability) バイアス温度不安定性。チップの温度が上昇すると、特にPMOSでは閾値電圧の絶対値が段々大きくなり、特性が変動するという現象
HCI(Hot Carrier Injection) ホットキャリア注入。運動エネルギーを得た電子あるいは正孔がゲート酸化膜をトンネルしてリーク電流などになる現象

 まず最初の2つについてはこうした現象が発生するまでの時間がだいぶ改善している。またHCIに関しては、同じHCIの発生率に対してより動作周波数を上げられるようになったことが観測されている。FETもある意味、機械部品であり、ずっと使っていれば次第に劣化していくことは避けられないのだが、その劣化の度合いがだいぶ改善した、という話である。

 説明では次に1.2V Cellの話に移るのだが、これも連載777回で紹介したので割愛する。ただその1.2V Cellの断面写真が示されていたので紹介しておきたい。

1.2V Cellの断面写真。太いとしか言いようがない。CPP 100nm、Gate Length 65nmなので、通常のトランジスタの4倍程度の面積となる

 最後にIntel 3-PTの話である。先にIntel 3-Eの高性能版と説明したが、具体的な話としてインターコネクトの改良が紹介された。ただIntel 3-Eと3-PTの違いが単にインターコネクトだけなのか、ほかにトランジスタの改善なども含まれるのかは不明だ。

Intel 3-PTのインターコネクト。この写真だけ見ると、配線層の高さが詰まる方向になり、かつ配線密度も上がっているように見受けられるのだが、具体的な話がなく単にRC特性の改善としか説明されていない

 ということで、VLSI Symposiumにおけるインテルの発表を簡単にまとめてみた。問題は歩留まりや現在のウェハー生産能力なのだが、このあたりの情報は当然ながら公開されていない。Intel 3の出来具合がXeon 6の性能や供給体制に大きく関わってくるだけに、順調に生産できていることを祈るのみである。

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