3Dプリンターに行き着いたことが可能性をくれた
飯田氏によると3Dプリントを採用し、その製造をSOLIZEに依頼した最も大きな理由は「切削加工では重量がかさむ」という課題に応えることだったそうだ。金属の中では軽量なアルミでも限界があり、重量が増すと側圧も増し、快適性に影響が出る。一方、樹脂で製造する場合、金型は高コストであり、台数をあまり作れないハイエンド品では現実的ではない。
こういった状況で、軽いヘッドホンをどう作ろうかと考えた結論が3Dプリントだった。6~8年前は3Dプリンターが一般化し始めた時期で、過去金属で作ったものをそのまま3Dプリンターに置き換えて、精度が出せることを確信した。一方、3Dプリントは試作や少量生産の型として用いられるケースは多いものの、量産を手掛けているところは少ない状況がある。量産を視野に入れて製造できる会社を探した結果行きついたのがSOLIZEだったという。
3Dプリンターを今後応用していく可能性として、樹脂+ガラスビーズではなく、金属素材を使う可能性はあるかという問いについては、「検討の余地はあるが、最終製品にダイレクトできるクオリティではまだない」としたうえで、「追加工が必要になるのであれば、コストと量産性のバランス次第になる。造形の精度と、強度/コストのバランスに優れていたのが今回選択した理由。ただし、技術的には面白いので、いろいろ見て聞いて回っている」と革新性を追究するKuraDaらしいチャレンジ精神も示した。
なお、KD-Q1のQは数学において「p⇒qであるとき、集合Pは集合Qに含まれる」ことに由来するという。KD-P1の次の機種であるとともに、P1で実現したことのすべてをQ1が含み、かつそれ以上のものが得られるということを表現しているそうだ。
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