戦国好きを自負する方で、お茶文化にも興味がある、という方はどのくらいいらっしゃるんでしょうか? 戦国というと、武勇を馳せた武将や荘厳なお城、カッコいい刀剣や鎧といった、”戦”を中心とした事柄ばかりに目がいきがちですが、実は戦国武将と「お茶」って意外と関係が深いんですよね。
私の好きな大河ドラマ「麒麟がくる」では、吉田剛太郎さん演じる松永久秀が「古天明平蜘蛛」という茶器と共に爆死するというシーンがありました。この平蜘蛛の茶器は、信長がことあるごとに松永久秀に供出を迫ったという品で、久秀が末期におよんでこの名器を信長の手に渡すくらいならと、共に自爆したという凄まじいお話。当時の名器と呼ばれる茶器は一国に値するとも言われたほどで、「お茶」「茶の湯」はそれだけ大切な文化、茶器を所有していることが権力の象徴にもなるということを知って、とても興味深く思ったものでした。
また、茶人である千利休が、力こそがすべてと言っても過言ではないような時代に強大な権力を持っていたことからも、茶文化が当時の人々のあいだでどれほど影響力を持っていたのかが伺えます。
そんな戦国時代のお茶にまつわる逸話で一番有名なのは、関白に任命された豊臣秀吉が、正親町天皇にお茶を献じようと、黄金の茶室を作ったという話でしょう。黄金の茶室は容易に運搬可能な組み立て式の茶室で、京都や名古屋、大阪などに運ばれて披露されたそうですが、大阪城が落城した際に焼失したと言われています。
オリジナルの図面こそ残ってはいませんが、復元された黄金の茶室は、これまでにも何度か作られていて、今でも石川県、静岡県、大阪府、京都府、富山県、佐賀県、東京都の各所にあります。
そしてこの夏、7月23日(火)から福岡県大野城市で開催される夏季特別展「黄金の茶室と福岡のお茶」でもこの黄金の茶室が復元され、福岡県でも見ることができますよ!
戦国時代を象徴する「茶の湯」
7月23日(火)から9月8日(金)まで、福岡県大野城市の「大野城心のふるさと館」で夏季特別展「黄金の茶室と福岡のお茶」が開催。
展示では、芦屋釜の茶の湯釜や秀吉が作らせた黄金の茶室の再現を中心に、古代から現代までのお茶の歴史に関する資料類を見ることができます。
会場では、秀吉の「黄金の茶室」を再現し茶道具を展示。織田信長、秀吉は、名物茶道具を収集し、茶会の開催を盛んに行っていたといわれ、茶の文化は桃山時代を象徴するものの一つとなっています。
画像を見る限り、茶室はかなり金ピカでイメージ通り! 秀吉は権力のアピールのためにこのような茶室を作ったそうですが、これは確かに自慢になったでしょうね。でも呼ばれた人々は落ち着いてお茶を楽しめたのでしょうか。私だったら終始そわそわして、お茶をひっくり返してしまいそうです。
ほかに大宰府で見つかった茶碗や安土桃山時代の茶碗から、現代に近い大正~昭和時代の茶道具までが展示されます。
戦国史で意外な重要性をもつお茶の文化。茶碗から「わびさび」を感じたり、茶室から華やかさを感じたり、利休や秀吉それぞれの「美」が感じられそうです。
九州国立博物館連携企画 体験ミュージアム/令和6年度夏季特別展「黄金の茶室と福岡のお茶」
会場:大野城心のふるさと館 3階企画展示室・1階特設会場(福岡県大野城市曙町3丁目8-3)
開館時間:9:00~17:00(入場は16:30まで)
休館日:月曜日(月曜日が祝日、振替休日の場合、翌平日)
入場料:一般 ¥400(¥350) 小中高生¥100(¥50) 未就学児無料
※( )内はここふる友の会会員料金、20名以上の団体料金
※身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳、特定疾患医療(指定難病)受給者証、先天性血液凝固因子障害等医療受給者証、小児慢性特定疾病医療受給者証等を提示の場合、本人および手帳を提示した人の介護者1人は無料。
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