ささやき声で話す声優さんたちを見ながらのASMR体験
イベントの後半は、ハンドマイクの電源を切り、ダミーヘッドマイクに声優さんが地声で話しかけながらの進行となった。
登壇者も来場者もその音をイヤモニで聴きながら進むという、珍しい形態でのイベント進行だ。筆者は取材中、イヤモニを着けることができなかったのだが、アナログで周囲の生音をそのまま収録する「しーん」と静まりかえった会場で、登壇者がささやき声で話しかける様子は通常のイベントではなかなか見られないものだった。
アーカイブ動画を聴くと、声優さんが実際に話している声と、来場者の声がいい感じにまざって不思議なリアルさがある。ぜひ動画でも確認してほしい。
ここでは、耳かきあとの「ふぅ」や添い寝などASMRでよくあるシチュエーションを実演。音の感触を味わうだけでなく、ふぅっと息を吹き掛けるシーンでは、通常のマイクワークにはないノイズになるぐらいのほうがいいそう。強くなりすぎると音が割れてしまうので加減が難しい。小岩井さんいわく「ティッシュペーパーがふわっと動くぐらいの息の強さがいいので、家に帰ったら練習してみて」とのこと。
ほかにも、ダミーヘッドマイクの頭やあごをなでると心地よい音が鳴るほか。耳かきASMRのシナリオによく「ぞりぞり」と書かれているが、これはマイクの少し手前に触れるといいなど、プロならではの視点で演じ方の意見交換がされていた。
綿などの小道具を使って見たり、単に声をかけるだけではなく手をうまく添えたり、触れたりしながらと、演じる側もいろいろと試行錯誤しているそうだ。このあたりのやり取りも有料版にはなるがアーカイブされているので、興味のある人は視聴してほしい。
はたから見ていても驚きと発見の連続だったASMR実演は、登壇する5人の声優さんたち全員から同時に掛けられる「お疲れ様」という声で終了。目の前にはリアルの声優さんたちがいる。来場者にとってはなかなかレアな体験となっただろう。
登壇者の5人もイベントを通じてASMRの魅力を再認識できたとコメント。最後の感想も、ASMRのささやき声で届けた。ステージからASMRの感想を聞かれた、初体験の来場者も「やばかったです」とコメントしていた。
今までにないアプローチでASMRの魅力に迫った今回のイベントは、出演者、機材、そしてシチュエーションのどれをとってもスペシャルなものとなった。
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