迂回出力でグラフィック性能はどう変化する?
次は迂回出力によりビデオカードの性能がきちんと出せるのかを検証する。古の教え通り、マザーボード側の映像出力を使った場合に内蔵GPUで描画されてしまっては無意味だからだ。ここからの検証は時間の制約から、前述のRyzen 7 8700GとRTX 4070 Tiの組み合わせに限定した。検証環境は以下の通りである。メモリーはDDR5-6400(EXPO)を選び、内蔵GPUにもちょっと頑張っていただく設定とした。
【検証環境】 | |
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CPU | AMD「Ryzen 7 8700G」 (8コア/16スレッド、最大5.1GHz) |
CPUクーラー | NZXT「Kraken Elite 360」 (AIO水冷、360mmラジエーター) |
マザーボード | ASUS「ROG STRIX B650-A GAMING WIFI」 (AMD B650、BIOS 2414) |
メモリー | G.Skill「F5-6400J3239G16GX2-TZ5NR」 (16GB×2、DDR5-6400動作) |
ビデオカード | ZOTAC「ZOTAC GAMING GeForce RTX 4070 Ti Trinity OC」 |
ストレージ | Micron「CT2000T700SSD3」(2TB M.2 SSD、PCIe 5.0) |
電源ユニット | Super Flower「LEADEX PLATINUM SE 1000W-BK」 (1000W、80PLUS Platinum) |
OS | Microsoft「Windows 11 Pro」(23H2) |
描画パフォーマンスはテストにより差が出る
では定番「3DMark」から検証をはじめよう。グラフ中で「(iGPU出力)」とある方は文字通りマザーボード側の映像出力(DisplayPort)を利用した迂回出力時のデータであり、「(dGPU出力)」は迂回出力をせずビデオカード直結(つまり本来の接続法)で出力した場合のデータである。
最も差が付いたのがFire Strikeであり、迂回出力をすると9%程度スコアーが下がる。しかしその他のテストでは2~4%程度の下落にとどまった。Fire Strikeで落ち込みが激しいのは描画負荷が軽いからなのか、APIが古め(DirectX 11)だからなのかはこのデータからは判別しがたい。
ここでシステム全体の消費電力とビデオカード単体の消費電力も調べておこう。Time SpyのGraphics Test 2実行中の平均値/99パーセンタイル値/最大値を「Powenetics v2」で計測した。またアイドル時約3分の平均値も合わせて比較する。
スコアーが低い、ということは電力も使っていない、と考えるとシステム全体の消費電力が下がっているのは頷ける。注目したいのはビデオカードの消費電力のうち、アイドル時の消費電力が際立って低くなっていることだ。映像出力関係の回路を使わないことだけがこの差とは考えにくいが、迂回出力にすることでアイドル時の消費電力が抑えられているのは興味深い。ただ、高負荷時の消費電力に関していえば、迂回しようとしまいと変わっていない。
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