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簡易水冷はもう必要ない!? 漆黒のbe quiet!製空冷CPUクーラーがスゴすぎた

2024年05月28日 11時00分更新

さすが静音性のbe quiet! Pモードのファン全開以外はかなり静か

 ここからはCore i7-14700Kでテスト環境を組み、Dark Rock Elite、Dark Rock Pro 5の動作音、冷却性能を検証する。

検証機の主なスペック
CPU インテル「Core i7-14700K」(20コア/28スレッド、最大5.6GHz、MTP:253W)
CPUクーラー be quiet!「Dark Rock Elite」
(空冷、135mmファン×2、サイドフロー)、
be quiet!「Dark Rock Pro 5」(空冷、120mmファン+135mmファン、サイドフロー)
マザーボード ASRock「Z790 Steel Legend WiFi」(インテルZ790、ATX)
メモリー Corsair「VENGEANCE DDR5 DRAM 5200MHz C40 メモリキット CMK32GX5M2B5200C40」(16GB×2、DDR5-5200 CL40-40-40)
ストレージ Crucial「T500 2TB PCIe Gen4 NVMe M.2 SSD CT2000T500SSD8」(2TB M.2 SSD、PCIe4.0)
電源 Cooler Master「MasterWatt 750」(750W、80PLUS Bronze)
OS Windows 11 Pro(64bit)

 まずはbe quiet!の特徴である「静音性」で両製品をチェックしよう。PWMコントロールを0~100%まで10%刻みで調整し、それぞれの製品の動作音を計測した。回転数は、ファンのスペックから導き出した回転数の理論値を基に設定している。

Dark Rock Eliteは、Pモードの回転速度100%で46.2dBAと比較的静か

 Dark Rock Eliteは、スペック上の回転数はPモードが最大2000rpm、Qモードでは最大1500rpmだが、実測値はPモードが1931rpm、Qモードは1459rpmだった。最低回転数はおよそ400rpm付近で、回転速度の値が0%でもファンの回転が止まることはなかった。

 Pモードで回転速度を100%にした際の動作音は46.2dBAと、このクラスの超大型CPUクーラーの動作音としては比較的静かといえる。ただこれは、同様の計測の場合、50dBAを超える空冷CPUクーラーが多いなかでは静かな部類という捉え方をしていただきたい。

 さらに回転速度を下げたところ、みるみる静かになった。70%まで下げると40dBAを切り、かなり静かに感じるようになる。40%まで下げて32dBAを切ったころからは、周囲の環境音とさほど変わらないかすかな音といった印象だ。

be quiet!「Dark Rock Elite」
Performance(P)モード 動作音(暗騒音31.2dBA、室温23度)
回転速度 回転数(計測時) 動作音
0% 396rpm~ 31.6dBA
10% 396rpm~ 31.6dBA
20% 404~409rpm 31.6dBA
30% 601~608rpm 31.7dBA
40% 797~806rpm 31.8dBA
50% 987~999rpm 32.6dBA
60% 1185~1200rpm 34.2dBA
70% 1397~1400rpm 37.2dBA
80% 1599~1601rpm 41.3dBA
90% 1819~1821rpm 45.2dBA
100% 1906~1931rpm 46.2dBA

 一方Qモードは、回転速度が100%の状態でも38.2dBAとかなり静かだ。回転速度を下げるにつれより静かになり、表の通り50%以下では暗騒音(31.2dBA)とさほど変わらない数値まで下がる。回転速度をマザーボード側で自動制御してもQモードでは動作音の変化は小さく、最大回転数が抑えられているぶん快適に感じられた。

be quiet!「Dark Rock Elite」
Quiet(Q)モード 動作音(暗騒音31.2dBA、室温23度)
回転速度 回転数(計測時) 動作音
0% 399rpm 31.5dBA
10% 399rpm 31.5dBA
20% 399rpm 31.5dBA
30% 449~454rpm 31.5dBA
40% 596~601rpm 31.6dBA
50% 745~753rpm 31.8dBA
60% 898~900rpm 32.1dBA
70% 1047~1060rpm 33.2dBA
80% 1189~1202rpm 34.3dBA
90% 1341~1356rpm 36.6dBA
100% 1445~1459rpm 38.2dBA

動作音を気にする人なら、Dark Rock Pro 5のQモードはかなり快適

 続いてはDark Rock Pro 5だ。回転速度の値はどうやら中央ファン(135mm)から取得しているようだ。スペック上での回転数はPモード時が最大1700rpm、Qモード時は最大1300rpmで、実測値は最大Pモード時1650rpm、Qモード時1247rpmだった。また、最低回転数はおよそ350rpm付近で、回転速度の値が0%でもファンの回転が止まることはなかった。

 次のPモードの表の数値のように、Dark Rock Pro 5はDark Rock Eliteよりも静かだ。135mmファン×2基のDark Rock Eliteよりも、120mmファン+135mmファンのDark Rock Pro 5のほうがトータルでの動作音は小さい。Dark Rock Pro 5の120mmファンは、135mmファンと比べてサイズが小さいためそのぶん動作音が大きくなりそうなので、多少意外な結果だ。

be quiet!「Dark Rock Pro 5」
Performance(P)モード 動作音(暗騒音31.2dBA、室温23度)
回転速度 回転数(計測時) 動作音
0% 346rpm 31.7dBA
10% 346rpm 31.7dBA
20% 342~342rpm 31.7dBA
30% 502~507rpm 31.8dBA
40% 674~681rpm 31.9dBA
50% 852~859rpm 32.2dBA
60% 1019~1028rpm 33.5dBA
70% 1182~1193rpm 36.1dBA
80% 1360~1376rpm 39.4dBA
90% 1524~1542rpm 42.6dBA
100% 1626~1650rpm 44.7dBA

 回転速度を下げてもDark Rock Eliteよりも静かな傾向にある一方、最小回転数ではDark Rock Eliteのほうが静かという計測値になった。数値上の差は0.1dBAなので人間の耳で聞くかぎりでは判別が難しく誤差の可能性はあるものの、ファンの位置付けが異なるためこうした結果は起こりえる。

be quiet!「Dark Rock Pro 5」
Quiet(Q)モード 動作音(暗騒音31.2dBA、室温23度)
回転速度 回転数(計測時) 動作音
0% 345rpm 31.6dBA
10% 345rpm 31.6dBA
20% 345rpm 31.6dBA
30% 391~394rpm 31.6dBA
40% 519~521rpm 31.7dBA
50% 647~653rpm 31.8dBA
60% 774~781rpm 31.9dBA
70% 905~913rpm 32.5dBA
80% 1040~1048rpm 33.8dBA
90% 1173~1175rpm 35.8dBA
100% 1234~1247rpm 36.7dBA

 Qモードにすると、回転速度が100%のときでも36.7dBAとなり、Dark Rock Pro 5はさらに静かなことが分かるはずだ。回転速度を60%にすると動作音の数値は31~32dBAに収まり、周囲の音と聞き分けることが難しくなる。動作音を気にする人なら、Qモードはかなり快適に感じるだろう。

 なお、一般的な騒音の目安は、50dBA台が家庭用エアコンの室外機や静かな事務所、40dBA台が昼間の閑静な住宅街や図書館内、30dBA台が深夜の郊外などといわれる。

 今回計測を行なったのは郊外で深夜。暗騒音31.2dBA程度と静かだった。回転速度が0~50%付近の31dBA台はかすかな音、30dBA台後半~40dBAははっきりとファン音が聞こえる印象で、40dBA台半ばでエアコン(室内、温度が安定したアイドル的な状態)よりも少し大きく感じた程度だ。Dark Rock EliteのPモードにして回転速度100%で動作させた場合、動作音は46.2dBAのため、エアコンを強めの風で動作させたときよりは静かだろう。またDark Rock Pro 5をPモードおよび回転速度100%で動作させた場合、動作音は44.7dBAだ。こちらは昼間であれば静かに感じるはずだ。

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