Silent-Master NEO Z790/D5をレビュー
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PL1設定は標準の125Wでもサーマルスロットリング
とはいえ、ほんの一瞬なので160W設定もアリ?
まずは「CINEBENCH 2024」で、Silent-Master NEO Z790/D5のCPU性能とその温度をチェックしてみよう。CGレンダリングを実行するベンチマークソフトだ。テストは全コアを使用する「Multi Core」と、1コア運用時の性能を測定する「Single Core」の2つ。
どちらも「pts」という単位で、この数値が高ければ高いほど、性能が高いCPUとなる。デフォルトの10分間負荷をかけてからスコアーを算出するモードで、3回以上実行した。その中で最もスコアーが高かった結果が下記だ。
結果はMulti Coreが1751pts、Single Coreが133pts。Power Limit(以下、PL)の設定が無制限なら、Core i9-14900KFはMulti Coreは2000ptsを超える。ということは、Silent-Master NEO Z790/D5ではなんらかの制限がかかっているということになる。
そこで、PLを確認してみると、短時間の電力制限となるPL2は253W、定常的な電力制限となるPL1は125Wだった。これはインテルの推奨設定値なので、製品としては何ら問題のない値だ。電力効率的にも無制限設定よりいい。
とはいえ、動画エンコードなどの高負荷な作業を高速化したい場合、Power Limitの値を上げて性能アップを図りたい人もいるだろう。しかし、Silent-Master NEO Z790/D5の魅力は、あくまで静音性と性能のバランスにある。
PC自作だと、デフォルトのPower Limitは無制限設定の場合が多いが、近年のハイエンドCPUは360mmラジエーターの簡易水冷クーラーでも手を焼くことがある。必然、ポンプやファンを高回転で稼働せねばならないシーンも増え、当然動作音は大きくなる。
そういった意味では、本機のインテル推奨設定は静音動作を妨げない制限と言える。とはいえ、CPU温度がずっと上限の100度に張り付き……なんてことになっていたら困る。冷却不足ならサーマルスロットリングに入り、性能がフルに発揮できないからだ。
そこで、CINEBENCH 2024実行中のCPU温度をチェックしてみた。Multi Coreテスト終了直後の様子がこちらだ。
CPU温度(Core Tempertures)は最大96度。サーマルスロットリングも発生していた。とはいえ、これはあくまで短時間(PL2動作)の話。PL1に移行した後は平均71度とあるように、空冷CPUクーラーでもかなり余裕のある状態になっていた。
ここまで余裕があるなら、もう少しPL1の制限をゆるくして性能アップを図っても大丈夫なのでは……と考え、UEFI BIOSでPL1を160Wまで上げてみた。
なお、本機のマザーボードでは、PL1の値を上げるとCPUクーラーのタイプが水冷クーラーに自動変更された。大きな影響はないと思われるため、気にせず再度CINEBENCH 2024を実行した。
Multi Coreテストは1855ptsと、割合的には6%ほど上昇したことになる。そして、終了直後のCPU状態がこちら。
CPU温度は最大100度、平均温度は88度まで上昇した。PL1=125W設定のからかなり上がってしまっているものの、CINEBENCH 2024のスコアーは伸びているので、結果オーライといったところだろう。
とはいえ、まったく性能が変わらなかったSingle Coreテストの結果が示す通り、負荷が低いシーンではPL1の値が与える性能への影響は薄まる。サイコムの標準設定のまま使ったほうが無難だろう。
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