ファーウェイが3月29日に年次報告書を発表した。売上高は7041億人民元(約14兆9000億円)、純利益は869億人民元(約1兆8400億円)。売上高は前年比で9.6%増、純利益はなんと144.5%増となった。安価なスマホとクラウド事業が牽引したという。
すべての事業で対前年比増
コンシューマー事業と中国でシェア2位のクラウド事業が好調
ファーウェイの2023年決算は、同社が1月に出していた見通しから大きく変わらない内容となった。
2023年通年の売上高は、前年比9.6%増の7041億7400万人民元、営業利益は1044億人民元で、純利益は869億5000万人民元。純利益は2022年から144.5%増となった。
事業別の内訳を見ると、通信インフラ機器を含む主力のICTインフラ事業は3620億人民元、前年から2.3%の増加となった。同社売上のほぼ半分を占めていることがわかる。
スマホを含むコンシューマ事業は2515人民元。こちらは前年から17.3%増となった。
対前年比で21.9%増と最も成長したのは、中国で展開するクラウドコンピューティング事業。売上高は552億9000万人民元。全体に占める比率はまだ低いが、中国国内ではAlibaba Cloudに次ぐシェアと言われている。以前から計画的に事業多角化を図ってきたファーウェイにしてみれば、想定どおりに育ってきているというところだろう。
残るは新しい事業であるデジタルパワーとインテリジェントオートモーティブソリューション事業で、それぞれ前年比3.5%増の526億人民元、同128.1%増の47億人民元と報告している。
2024年は2023年のスマホ出荷台数の倍を狙うが
ピーク時の台数にはまだまだ及ばない
5つの事業のうち、コンシューマ事業の17%増はシンボリックに見える。ただ、同社は5Gを中心とした通信インフラ機器とスマホの両方において欧米では苦しい状況にある。特にチップ供給を絶たれたスマホは大きな打撃を受けた分野だ。
これまでは中国市場での引き続きの需要、「Honor」の売却などで凌いできたが、2023年は米国の制裁が2020年に本格化して以来、初となる5Gスマホ「HUAWEI Mate 60」を発表した。米国の制裁を受け、台湾TSMCの関係が絶たれるなど5Gチップの入手が困難だった同社が、中国の半導体ファウンドリSMICと手を組み、7nmプロセスで製造したKirin 9000Sを搭載している。
HUAWEI Mate 60の発表は市場を驚かせた。販売台数は最初の1ヵ月で150万台と言われている。
昨秋、ファーウェイは2024年に6000〜7000万台の出荷を狙っていると報じられている(https://asia.nikkei.com/Business/Tech/Semiconductors/Huawei-aims-to-double-smartphone-shipments-to-70m-next-year)。それに向けて、レンズ、カメラ、基板などの部品のストックを構築しているとのこと。6000〜7000万という台数は2022~23年の約2倍。だが、同社のスマホ事業のピークには2.4億台以上を出荷していたのだから、まだまだカムバックとは言いがたい。
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