90℃制限設定でも14900Kに対し強みが出せた
ではCore i9-14900KSを90℃制限(+LLC レベル6)で運用した状態で、既存のCore i9-14900KやCore i9-13900KSにも同じ90℃制限をかけた状態で比較する(従来モデルだけBIOSデフォルトでは比較にならないためだ)。まずはCINEBENCH 2024のスコアーを比較してみよう。
今回の環境では無制限運用時よりもスコアーが下がるのは仕方ないところだが、90℃制限をかけたことでCore i9-14900KSはマルチスレッドテスト10分完走が可能になった。シングルおよびマルチスレッドのスコアーにおいてCore i9-14900KSはほんの僅かだがCore i9-14900Kを上回れている。
Core i9-14900Kは先頃のレビューの時よりもスコアーが伸びているが、これはメモリー整合性を無効化した影響である。Core i9-14900KSも同条件(メモリー整合性無効)で検証しているため、筆者がいつも使うやり方(メモリー整合性有効)ではやや下のスコアーが出るだろう。ただ前述した通り、本検証は安定性に欠けるBIOSを使用しているため、あくまで参考値として捉えていただきたい。
続いては「Handbrake」を利用したCPUエンコード時間の比較だ。再生時間約3分の4K@60fpsの動画を用意し、Handbrakeプリセットの「Super HQ 1080p30 Surround」および「Super HQ 2160p60 4K HEVC Surround」を利用してMP4形式で出力する時間を計測した。
CINEBENCH 2024のマルチスレッドスコアーとほぼ同じような傾向が得られた。すなわち90℃制限下ではCore i9-14900KよりもCore i9-14900KSのほうがわずかに高速。Core i9-14900KSと13900KSを比較すると14900KSのほうがやや処理時間が短い。これはCore i9-14900KSのほうがEコアの最大ブーストクロックがわずかに高いことが影響していると考えられる。
では、このHandbrakeの「Super HQ 1080p30 Surround」を実行中におけるシステム全体の消費電力やCPU単体の消費電力を比較してみよう。計測には「Powenetics v2」を利用し、ATX/EPS12V/12VHPWR/PCIe x16スロットを流れる電力を直接計測した。エンコード中に消費された電力をPowenetics v2で追跡した。また、アイドル時は3分間の平均値を採用している。
ごく短時間に限り、CPU単体の消費電力が400Wを超えることもあるが、消費電力が非常に大きくなる局面は約3分半の処理時間の中では10%未満、つまり20秒程度しか続いていない(99パーセンタイル点の値が平均値に非常に近い点に注目)。
わざわざ90℃設定で運用することに費用対効果があるのかという議論は別として、消費電力の大きなCore i9を90℃制限で使うことには一定のメリットがあると言ってよいだろう。Core i9-14900KSよりも14900Kのほうが瞬間最大値が大きい点については、コアの出来(SP値に関係する)が影響しているものと思われる。
最後にゲームを2本検証する。まず1本めは「Call of Duty」だ。画質は“最低”、レンダースケール100%に設定。ゲーム内ベンチマーク再生中のフレームレートを計測した。
ここではCore i9-14900KSがわずかだが他のCPUにフレームレートで下回ってしまった。まだ安定性の確保されていないBIOS環境では、Core i9-14900KSはゲーム向けと素直に言えない状態であるといえる。これが今後のBIOSでどう変わるかに期待したい。
もう1本は比較的CPU占有率の高い「Cyberpunk 2077」を使用する。画質“低”、FSR 2はオフに設定。ゲーム内ベンチマーク再生中のフレームレートを計測した。
Core i9-14900KSの値がないのは、GOGのランチャーからゲーム本体を起動する際に失敗するからだ。90℃制限設定とLLC レベル6で割と安定していると思ったが、このようにまだ不具合が出るのだ……。
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