週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Xアイコン
  • RSSフィード

Nokiaのスマホはどうなる!? HMD Globalが自社ブランドのスマホを展開か

2024年02月10日 09時00分更新

 携帯電話の世界における「Nokia」は特別なブランドだ。だが、そう思っているのはiPhone登場以前を知る人であって、スマホ世代はリアルでNokiaの全盛期を体験してない。Nokiaブランドの携帯電話を独占的に製造するHMD Globalが、Nokiaとの契約を変更し、自社ブランドを展開するという憶測が出ている。

HMD Global

Nokiaブランドの端末を提供しているHMD Globalが新たなブランドの立ち上げを予告するような情報を提供している。Nokiaブランドについても触れているため、すぐにNokiaスマホが無くなるとは考えにくいが、方向性を変える可能性は高い

元Nokiaのメンバーが立ち上げたHMD Global

 20年近く前のことになるが、この時期になると、新しい携帯電話のニュースにそわそわワクワクしていた。まだMWCが「3GSM World」というイベント名で、開催地はフランス・カンヌだった頃だ。

 当時の中心はNokiaだった。Symbian OSをベースとしたハイエンド/ミッドレンジから、途上国向けの安価な独自OS搭載の機種まで幅広いラインナップを持ち、MWCでは大規模なイベントを開いて製品を発表していた。

 そのNokiaが、2007年のiPhone登場、その後のAndroidにより、地位を失ったことは周知のとおりだろう。Nokiaは戦略を変更し、最終的に端末部門をMicrosoftに売却した。その後Microsoftのトップ交代(スティーブ・バルマー氏からサティア・ナデラ氏へ)により、携帯電話事業は再び再編の対象に。2016年にHDM Globalに売却された。金額は3億5000万ドル。ちなみにMicrosoftが携帯電話事業の取得に払った金額は約72億ドルだった。

 HMD Globalは、Nokiaの元幹部が立ち上げたフィンランドの企業だ。同社は2016年にNokiaと独占的にブランドライセンス契約を締結し、Nokiaブランドのスマホを提供することに。製造はFoxconnの子会社FIH Mobileが担当した。携帯電話のNokiaブランド復活にファンは沸いた。

 そのHMD Globalが路線変更を進めている。

エントリーのフィーチャーフォンの方が売れていた

 HMD GlobalはNokiaブランドで、Androidをベースとしたスマートフォンとフィーチャーフォン、大きく2つのカテゴリで展開してきた。後者では、2000年に発売された人気端末「Nokia 3310」のリメイクが盛り上がった(「伝説のケータイ「Nokia 3310」人気沸騰! MWC 2017のノキアブースは大盛況」)。

往年の人気携帯を復刻したようなデザインの端末もリリースしている

 HMD Globalは主として欧州に東南アジアと、Nokiaブランドになじみのある国から展開。一時は欧州で第4位のシェアを取る(「サムスン、アップル、シャオミに次ぐシェア4位の座をあのメーカーが確保!」)など健闘を見せ、2021年には初の黒字化に成功したものの、2022年に赤字に転落した。

 売上高は前年同期比12.2%マイナスの12億5700万ユーロで、7690万ユーロの営業損失を計上した。端末の販売台数は4000万台、こちらも2021年の5600万台から減少した。なお、スマートデバイスとエントリーデバイスでは、後者の方が収益性は高く、売上高はスマートデバイス(4億4100万ユーロ)の倍近くの8億1500万ユーロだった。

 それを受け、CEOを交代、それまでCEOとして同社を率いてきたFlorian Seiche氏に代わって、同じくHMD Globalの共同創業者でNokia/Vertuに在籍した経歴を持つJean-Francois Baril氏が2022年10月に就任した。

 HMD Globalは2023年8月、Nokiaと結んでいるブランドライセンス契約を変更し、独占契約から独占を取り払った。これにより、自社ブランドや他のブランドの端末の展開が可能になる。

 Nokiaとのライセンスでは、エントリー機種については2027年3月に終了する予定だったのが、2026年3月と前倒しになった。この理由は、ライセンス料支払いの年間目標に到達できなかったためと見られている。Nokiaとの契約では、ライセンス料支払いが目標に到達しない場合、Nokiaが一方的にライセンス合意を終了させる権利があったとされている。

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

この連載の記事