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718 ボクスターは、最も走りにストイックなポルシェだった!

2024年02月03日 12時00分更新

文● 栗原祥光(@yosh_kurihara) モデル●新 唯(@arata_yui_)編集●ASCII

意外とスパルタンな走りのボクスター

 911 カレラ カブリオレはイマドキ珍しい硬派な1台で、運転中はともかく助手席に座ると路面状況によっては言葉を失ったものです。718 ボクスターは兄貴に負けず劣らず、いや、さらに上を行く硬派ぶり。「スタイル・エディション」というナンパな名に騙されてはいけません。911をプリミティブというなら、718 ボクスターはスパルタン。「ヤンチャな弟」という言葉すら生易しい、手に負えないほどの悪ガキなのです。

 夜の首都高やワインディング、そして峠道では話が一変。ヤンチャな弟は水を得た魚のごとく、ドライバーに最高の歓びを与えてくれます。正直申し上げて、911より楽しいのです! それは全長が200mm短いことによる取り回しのよさや、ミッドシップゆえの高い旋回性が寄与しているのかもしれませんが、端的に言えばゴーカートフィールな楽しさです。さらに唯さんが「これは間違いなくポルシェですね」と仰るように、剛体でありながら精密さを感じさせるフィール。動き始めれば「俺、ポルシェに乗っているんだ」という気持ちにさせてくれるのです。

 718 ボクスターは、虚飾を配し走りを追求していったという点において、911を上回る魅力があるクルマ。硬い足も、やかましいエンジン音も、ワインディングや首都高でスポーティーな走りを始めた途端、最高の味付けとなり、刺激的で至福のひと時が味わえるのです。過去、色々なクルマで首都高を周回しましたが、718 ボクスターほどエキサイティングな気持ちになったクルマはない、と断言させていただきます。

 スパルタンでストイックがゆえ、ドライバーの操作ミスに対して、クルマはあまりリカバリーしてこないのも事実。その点においては911の方が寛容ともいえそう。逆にいえば「正しい操作をドライバーに教えてくれる先生」で、911に夢見る人は、まず718に触れ、慣れるというのがいいのかも。なるほど、ポルシェはそういうすみ分けをされているのかと。

 憧れということもあり、ポルシェを買うなら911一択だと仰いながらも「ポルシェであることに変わりはないのですけれど、911とは違う魅力のあるクルマだと感じました」という唯さん。「ホントに楽しいクルマでした。ポルシェって楽しいですね」と、サラリとおそろしい事をおっしゃいます。そして「これで1000万円と言われちゃうと、頑張って911という気になっちゃいますね」と、金銭感覚が崩壊しつつあるようなことも。

 ちなみに、911 カレラ カブリオレとの車両価格の差は500万円以上で、さらにオプションやら何やらをつけるとその差は広がっていきます。

 最後に。718系のことを「プアマンズ・ポルシェ」とか「911の入門機」と言う方がいますが、とんでもない! プアマンズといいながらも1000万円をはるかに超える(オプションを入れたら1500万は軽く超える)高額なクルマですし、何より911を上回る操る楽しさに溢れた魅力機であることを再度お伝えします。

 試乗前と試乗後で大きく718のイメージが変わりました。「この人、ホントにクルマで走るのが好きなんだな」という目で、オーナーとクルマを見るようになったことを告白します。

モデル紹介――新 唯(あらた ゆい)

 10月5日栃木県生まれ。ファッションモデルとしての活動のほか、マルチタレントを目指し演技を勉強中。また2022年はSUPER GTに参戦するModulo NAKAJIMA RACINGのレースクイーン「2022 Moduloスマイル」として、グリッドに華を添えた。

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