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GeForce RTX 4070 Ti SUPERの実力を検証!RTX 4070 Tiと比べてどう変わる?

2024年01月23日 23時00分更新

文● 加藤勝明(KTU) 編集● ジサトラユージ/ASCII

AFMFも含めたアップスケーラー入りの性能は?

 ここからはアップスケーラー(DLSSやFSR 2)を併用して検証を行う。先のCoDと同様にDLSSもしくはFSR 2の設定は全て“バランス”とし、DLSS FGが付いているゲームではこれも有効とした。

 ここから先のゲームではFSR 3対応はなかったが、RX 7800 XTだけはAFMFを利用したフレーム生成も加えた時のデータも比較する。ただ現行執筆時点(1月23日)ではまだ技術プレビュー扱いであるため、RX 7800 XTはAFMFを使わない時のデータと、AFMFを併用した際のデータを併記している。

 RTX 4070 SUPERレビューの際も解説したが、AFMF使用時のフレームレートは現状Radeon Softwareでのみ増えたフレームを検知できるため、AFMF使用時のフレームレートはそれ以外のデータと微妙に“違うモノサシ”で計測している、という点に注意されたい。また、AFMF有効時の平均および最低フレームレートはRadeon Softwareが出力するレポートではなく、フレームタイムの生ログから計算している(この点はRTX 4070 SUPERレビュー時と大きく異なっている)。

 まずは「F1 23」で試してみよう。画質“超高”をベースに、DLSSやFSR 2“バランス”とした。F1 23はDLSS FGが現状使えないため、DLSS FGは使用していないが、RX 7800 XTはAFMFも使用している。ゲーム内ベンチマーク再生中のフレームレートを計測した。

F1 23:1920×1080ドット時のフレームレート

F1 23:2560×1440ドット時のフレームレート

F1 23:3840×2160ドット時のフレームレート

 CoDのようにフルHDでRTX 4070 Ti SUPERがRTX 4070 Tiに負けるようなことはなかった。ただ、F1 23では解像度が上がるほどにパーセンテージで見た両者の差が縮まるとともに、RTX 4080との差も拡がってしまう。VRAM周りのスペックを盛ってもSM数が少なく、かつTGPも285Wに抑えられているため高負荷な状況ほどRTX 4080の方が有利になると考えられる。

 WQHDゲーミングというRTX 4070 Ti SUPERのターゲットで話をすると、同じVRAM 16GBを備えるRTX 4060 Ti (16GB)とは1.7倍近いフレームレートが出せている。ただAFMFを活かしたRX 7800 XTには大差を付けられてしまう点は見逃すことはできない。

F1 23:ベンチマーク中におけるTBPの平均値(単位W)、および10Wあたりのワットパフォーマンス(単位fps)

 AFMF有効時はPowenetics v2のデータを取得できないため消費電力やワットパフォーマンスは除外している点に注意されたい。消費電力の傾向として、RTX 40シリーズは一般に解像度(=描画負荷)が低いと消費電力も下がり、解像度の上昇と消費電力は連動する。

 ただ、RTX 4060 Ti (16GB)から下のGeForceでは、解像度によって消費電力がほぼ変わらない。これはゲームの負荷に対しGPUの性能がいっぱいいっぱいであることを示唆している。その理屈でいくと、今回検証した中では最上位のRTX 4080は4Kでもわずかに余裕を残している(TGP 320W設定なのに実消費は300Wをわずかに下回る)といえるだろう。

 DLSS FGに対応した「Cyberpunk 2077」では、画質“レイトレーシング:ウルトラ”をベースに、DLSS/FSR 2の“バランス”およびDLSS FGを追加した設定を準備。GeForce環境はRR(Ray Reconstruction:レイ再構成)も有効としている。ゲーム内ベンチマーク再生中のフレームレートを計測した。

Cyberpunk 2077:1920×1080ドット時のフレームレート

Cyberpunk 2077:2560×1440ドット時のフレームレート

Cyberpunk 2077:3840×2160ドット時のフレームレート

 RTX 4070 SUPER検証時にも明らかな通り、レイトレーシングの処理が非常に重いゲームであるため、全体にRadeon系よりもGeForce系が強く、さらにDLSS FGのおかげでRTX 40シリーズはフレームレートが出しやすい。フルHDならばRTX 4060でもそこそこのフレームレートが出るが、WQHDで高フレームレートとなるとRTX 4070以上はないと厳しそうだ。

 RTX 4070 Ti SUPERはRTX 4070よりもフレームレートが上だが、解像度が上がらないとハッキリとした差が出てこない。その一方で、RTX 4080とRTX 4070 Ti SUPERの間にはどの解像度でも明確な差が出ている。RTX 4070 Ti SUPERはもう少しTGPを盛ってパワーを出せるようにするか、SM数をもう少し盛るべきだったのではないだろうか?

Cyberpunk 2077:ベンチマーク中におけるTBPの平均値(単位W)、および10Wあたりのワットパフォーマンス(単位fps)

 RTX 4070 Tiより下のGeForceではWQHDよりも4Kの消費電力が下がっているが、これは描画負荷が高すぎてGPUの処理が間に合っていないことを示している。SM数(CUDAコア数)が少ない、あるいはメモリーバス幅が狭すぎて渋滞しているといった原因が考えられるが、その傍らでRTX 4070 Ti SUPERは消費電力が落ち込んでいない。さすがRTX 4080と同じコアを使っているだけはある。

 「BIOHAZARD RE:4」では、レイトレーシングを含め画質系はすべて最高、FSR 2は“バランス”に設定。ゲーム序盤で訪れる教会のある村〜次の集落へ続く道を移動した際のレームレートを計測した。

BIOHAZARD RE:4:1920×1080ドット時のフレームレート。RTX 4070 SUPERレビュー時のRX 7800 XTのフルHDのデータ記載に誤りがあったため、ここだけピンポイントで再計測している

BIOHAZARD RE:4:2560×1440ドット時のフレームレート

BIOHAZARD RE:4:3840×2160ドット時のフレームレート

 RTX 4080〜RTX 4070 Tiまでを比較すると、フルHDでは差は小さいものの、解像度が上がるほど綺麗に差が出る。FSR 2で描画負荷を軽減しているため、RTX 4070 Ti SUPERならばWQHDでも平均170fps近くまで出せている。ただ、AFMFを併用したRX 7800 XTのフレームレートが圧倒的に高いため、費用対効果で言うとRTX 4070 Ti SUPERはかなり残念といえるだろう。

 また注目したいのは、RTX 4060 Ti (16GB)とRTX 4060の違いだ。RTX 4060はVRAM搭載量が8GBと少なくかつSM数も少ないため、フルHDでも非常にカクつきが目立つが、VRAMが16GBもあるRTX 4060 Ti (16GB)では最低フレームレートの出かたが段違いに高い点に注目したい。

 ただし、VRAMが多くてもSM数が少ないため4Kまでは狙えない。WQHDでゲームを遊ぶという目的ではRTX 4060 Ti (16GB)も十分に狙い目だが、高フレームレートという要素が加わるとRTX 4070 SUPER以上が欲しいところだ。

BIOHAZARD RE:4:ベンチマーク中におけるTBPの平均値(単位W)、および10Wあたりのワットパフォーマンス(単位fps)

 消費電力では、フルHDではRTX 4080の方がRTX 4070 Ti SUPERの消費電力を下回っているが、解像度WQHDならほぼ同じ、解像度を4Kまで上げると回路規模の大きいRTX 4080が逆転する。

 「Alan Wake 2」では画質はレイトレーシングも含めて全て最高に設定し、DLSSやFSR 2は“バランス”、DLSS FGも有効とした。プレイヤーが訪れる“ブライトフォールズ”の町において一定のコースを移動した際のフレームレートを計測した。前回RTX 4070 SUPERレビュー時はRX 7800 XT (AFMF)使用時の設定にミスがあった。この点をお詫びするとともに再計測している。

Alan Wake 2:1920×1080ドット時のフレームレート

Alan Wake 2:2560×1440ドット時のフレームレート

Alan Wake 2:3840×2160ドット時のフレームレート

 AFMF有効時のRX 7800 XTのフレームレートがだいぶ下がったが、それでもAFMF非使用時に比べて大幅にフレームレートが向上している。ただCyberpunk 2077同様にDLSS FGの威力が大きく、RTX 4070 Ti SUPERであればより高いフレームレートが期待できる。

 このゲームもVRAM使用量が大きく(WQHDで11GB前後)、エントリーに近いRTX 4060ではフルHD+DLSS FG有効であってもカクつきが酷い。グラフィック重視で雰囲気を楽しむゲームであれば、RTX 4070より上のGPUが欲しい。

Alan Wake 2:ベンチマーク中におけるTBPの平均値(単位W)、および10Wあたりのワットパフォーマンス(単位fps)

 消費電力の傾向はこれまでのゲームとあまり変わらない。RTX 4070 Tiから見るとRTX 4070 Ti SUPERの実消費電力は最大20W増えている。フレームレートが若干伸びたぶんだけ消費電力も上がったと言うべきか。

 最後に試すのは「Starfield」だ。画質“ウルトラ”に設定し、解像度はデスクトップの解像度変更で対処。DLSSは“バランス”+DLSS FGを有効に、FSR 2はレンダースケールにて58%設定(バランス相当)とした。都市マップ“ニューアトランティス”のMAST地区を移動する際のフレームレートを計測した。

Starfield:1920×1080ドット時のフレームレート

Starfield:2560×1440ドット時のフレームレート

Starfield:3840×2160ドット時のフレームレート。RX 7800 XT (AFMF)はデータを再計測している

 StarfieldでもRTX 4070 Ti SUPERはRTX 4070 Tiのわずかに上といったところ。解像度を上げても劇的に差が拡がるわけではない。だがRTX 4080と比較したときにやや開きが大きくなる点から考えると、RTX 4070 Ti SUPERはTGPやSMをやや絞りすぎている感がある。

Starfield:ベンチマーク中におけるTBPの平均値(単位W)、および10Wあたりのワットパフォーマンス(単位fps)

 消費電力傾向はこれまでとほぼ同じような結果となった。

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