素の性能も3DMarkと同傾向
では実ゲームでのベンチマークに入ろう。今回はGPUの限界を知るのが目的であるため、画質は基本的に最高設定、レイトレーシングが使えるならそれも使用した。解像度はフルHD(1920×1080ドット)/WQHD(2560×1440ドット)/4K(3840×2160ドット)の3通りとする。まずはアップスケーラーやフレーム生成を使わない、ドットバイドット表示時のパフォーマンスを観察することとしよう。
ゲームのフレームレートは基本的に「CapFrameX」を利用して測定するほか、ベンチマーク中のGPUのTBP(Total Board Power:実消費電力)やそれを元にしたワットパフォーマンス、さらにシステム全体の消費電力を「Powenetics v2」を経由して取得している。
まずは「Overwatch 2」から始める。画質“エピック”をベースにレンダースケール100%、フレームレート上限600fps、さらにFSR 1/2はオフに設定。マップ“Eichenwalde”におけるBotマッチを観戦中のフレームレートを計測した。
RTX 4070と4070 Tiの差が非常に大きかった(RTX 4070基準で最大33%程度上)ところに、RTX 4070 SUPERが滑り込んだ感じになっている。RTX 4070から見るとフルHDで12%程度上の平均フレームレートとなっているため、順当なパワーアップといえるだろう。今回RTX 4060 Tiはテストに含めていないが、RTX 4060 Tiという下があるからこそ、RTX 4070はこのような性能に絞らざるを得なかったと考えることができる。
このゲームでは割とRTX 40シリーズが有利なので、AFMFを使わないのであれば、RTX 4070 SUPERの方が圧倒的にRX 7800 XTに対し優位性がある。VRAMの消費量はフルHDなら5GB前後、4Kでようやく6〜7GBであるため、VRAMの多さは特別なメリットにはならない。
そして上記フレームレートのデータが観測された際に、各GPUが実際に消費した消費電力(TBP:Total Board Power)の平均値、ならびにTBPと平均フレームレートから求められるTBP 10Wあたりのフレームレート、即ちワットパフォーマンスを比較してみよう。言うまでもないがTBPの値は低いほど好ましく、逆にワットパフォーマンスは高いほど好ましいということになる。
Ampere世代のRTX 3070 Tiの消費電力がダントツで高く、続いて性能の高いRTX 4070 Ti、RX 7800 XTと続き4番手にRTX 4070 SUPERが入る。RTX 4070との差は約11〜13Wで、公称スペックのTGPの差よりも若干小さい。
そしてワットパフォーマンスに関しては、消費電力の上昇を最小限に抑えつつフレームレートを大きく伸ばしたRTX 4070 SUPERの圧勝である。RTX 4070もワットパフォーマンスではかなり優秀なGPUであったが、RTX 4070 SUPERはさらにそれを上回った。
「Call of Duty」でもアップスケーラーやAFMFを使わない状態でのパフォーマンスを見ておこう。こちらはRadeonに対する最適化が非常に進んでいるタイトルである。画質は“極限”とし、レンダースケール(RS)は100%に設定。「Modern Warfare III」についてくるゲーム内ベンチマーク再生中のフレームレートを計測した。
Radeon有利なタイトルであるためRX 7800 XTは本来の仮想敵RTX 4070を上回り、RTX 4070 Tiに迫る平均フレームレートを達成。また最低フレームレート(の下位1パーセンタイル点の平均:1% Low)ではどの解像度においてもGeForce勢を圧倒している。
一方RTX 4070 SUPERに目をむけると、ここでもRTX 4070 TiとRTX 4070の中間に着地。アップスケーラーを使わないとゲームの性質的にフルHDがいいところだが、DLSS FGにも対応しているため、これを利用すればもっとフレームレートを伸ばすことができるだろう(が、これはRX 7800 XT+AFMFでも同じことだ)。
ベンチマー中のTBPやワットパフォーマンスを見ると、フルHDからWQHDまではRX 7800 XTがRTX 3070 Tiに次ぐ消費電力を出していることが分かる。高フレームレートを出しているぶん消費電力も増えているということだが、解像度を変えてもTBPがほぼ変動しないというRadeonの設計的なデメリットも出てしまっている。
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