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「いびき防止枕」など優秀賞受賞製品もあわせて紹介

CES 2024でARグラス「Xreal Air 2 Ultra」を体験、高いデザイン性と完成度

2024年01月08日 22時20分更新

文● 貝塚/ASCII.jp

10minds co. ltd.の「motionsleep」

肉体にデジタルの力をインストール

 10minds co. ltd.の「motionsleep」はCES 2024 INNOVATION AWARD PRODUCTで「Best of Innovation」を受賞した製品。

 いびきが多かったり、睡眠時の呼吸に不快感がある人に向けた製品で、いわば「いびき防止・睡眠体験向上スマート枕」である。

 motionsleepを使って眠ると、いびきの音を検出し、血中の酸素飽和度も測定してくれる。これらのバイタルデータに基づいて、内蔵している7つのエアバッグを作動させ、頭と背中の位置を調整してくれるというのが、その機能だ。

 快適な呼吸環境を作り出すことで、いびきや呼吸の不快感を軽減できるのだという。大きさは一般的な枕と遜色ないし、見た目も高級な低反発枕のようでクセがない。環境を選ばずに使用できるのも魅力だろう。

 そういえば、CES 2024の見どころを実行委員たちが紹介するセッションで、「ヘルステック分野も、今回見逃せないテーマのひとつだ」といった旨を実行委員が話していた。

Afferenceの「Phantom」

 神経工学者が設立したAfferenceの「Phantom」は“神経系に直接的に接続して(原文を引用)”指に精密な触覚フィードバックを感じさせるという製品。手首と5本の指それぞれに電極入りのバンドを装着して使用する。これらのバンドが神経系に電気信号を与えて、触覚を擬似的に再現する。例えば、ARディスプレー上で仮想的な物体に触れた時に、その場に実際に物があるかのような感触を与えるといったことができる。

 開発者キットも提供されていて、接続デバイスはARデバイスやスマートフォン、パソコン、ゲーミングデバイスなどに対応。公式サイトでは「映画」も接続できるもののひとつとして挙げられているが、劇中の刺激を擬似体験させる用途を意図していると思われる。

 「神経系に直接接続する」という考え方、SFの文脈では遠い昔からさまざまな作品で用いられているが、もうファンタジーではなくなり始めているようだ(SFの「神経系に接続」は「脳」であることが多いが)。

WIRoboticsの「WIM」

 WIRoboticsの製品「WIM」は「Lightweight Walking Assist Robot」として紹介された。「軽量型歩行支援ロボット」といったところか。

本体ユニットを腰に巻くようにして装着する

 収納されている状態だと、何に使うものなのかわからない(収納されていなくても、意見しただけでは何に使うものなのかわからないが)。WIMは本体ユニットと、そこから伸びるアームとに分かれていて、本体ユニットを腰に巻くように、アーム部を大腿に巻くようにして装着する。

 大腿を動かすと、その動きや方向を本体ユニットが検知して、動かした方向へアダプティブに力を加えてくれるという仕様。人間は、筋肉の収縮と弛緩によって体を動かしているが、モーターの力で、その筋肉の動きをサポートしてくれるとも言い換えられる。装着してみた感じでは、筋肉には普段の7割程度しか力を入れていないのに、10割の力を入れているのと同じような動き方をする。

 ブースでは、WIMを装着した人が列になって山を登っているビジュアルが用いられていたが、確かにWIMを使えばハイキングは楽になりそう。ちなみに、反対に動かした方向に対する抵抗を増やすモードもあって、これは、いつもの動作が2割程度重くなる体感。面白い製品である。2300USドルで販売予定とのことだった。

本体から伸びるアームを、大腿に固定する

 さて、ここまでで紹介した製品に共通する要素がある。それは、人の肉体や感覚に対して直接的に働きかけているという点だ。Xreal Air 2 Ultraは視界に、motionsleepは眠りの質に、Phantomは神経系/触覚に、WIMは筋肉に影響を与えており、それぞれ、デジタルの力で身体の機能を向上させたり、新たな機能を付加したりしている。

 COVID-19のパンデミックが起きた際、メタバースやリモートワーク、空間コンピューティングといった概念が急速に広まり、オンラインとオフラインの垣根が調和していく雰囲気があった。現在の私たちは、その後の世界に生きている。ここから、デジタルはどのように進歩するのか? それは誰にもわからないが「現実の空間でデジタルとフィジカルが融合していく世界」は、ひとつの現実的な方向性かもしれない。

 もちろん、私自身がそうした分野に興味を持っていて、これらのブースを積極的に取材したという点は否めないが、世界最大規模のテックの展示イベントで、これらの製品が多くの人から注目を集めていたというのも事実なのだ。

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