AIでよみがえる、創業者・早川徳次氏
SHARP Tech-Dayの開催初日に行われたオープニングセレモニーでは、シャープの呉柏勲社長兼CEOが登壇し、興味深い演出が行われた。
それは、シャープ創業者である早川徳次氏のCGアバターがステージの大型スクリーンに登場。早川氏は、呉社長兼CEOに、「シャープの技術で世界に貢献してください」と呼びかけながら、シャープペンシルを手渡すという演出が行われたのだ。
実は、シャープペンシルは、創業期に早川氏が開発したもので、最初は早川式繰出鉛筆と呼ばれていた。これを、「エバー・レディー・シャープ・ペンシル」として商標を登録。その後、「シャープペンシル」、「シャーペン」の名称で親しまれ、現在に至っている。そして、シャープの社名も、このシャープペンシルに由来している。
大阪・堺のシャープ本社の多目的ホール前には、小規模の歴史展示エリアが常設されており、今回は、そこで展示されているシャープペンシル(レプリカ)を会場に持ち込むという力の入れようだった。
早川氏は、シャープペンシルを製品化する前に、好みの位置にベルトを止められるバックルである「徳尾錠」を開発するなど、アイデアマンとしても知られていた。また、技術に対しても強い関心を持ち続け、ラジオ放送の開始とともに製品化したシャープラジオは、受信感度の高さが評価されてヒット商品になるなど、創業期から技術に裏づけられたモノづくりがシャープの強みであった。
シャープペンシルを手にした呉社長兼CEOは、「シャープは111年前に創業し、ほどなくしてシャープペンシルを発明した。このペンシルは、革新の精神を真に象徴するもので、素晴らしい世代から継承したものである。この間、シャープは数多くの技術を開発してきた。この責任を私の手で、未来につないでいけることは、私の喜びであり、特権である」と語った。
また「SHARP Tech-Dayでは、新たなイノベーションを数多く見せることになるが、新たな技術が生まれる時代の始まりのイベントとして、今後の多くの革新につながるものになると考えている。私が目指したいのは、シャープのゲームチェンジをもたらす技術が、人々の生活や働き方を、より簡単に、より安全にしていくことである。そのためには、スピードと決心が、技術進展を後押しする重要な要素になると考えている。未来に向けて、誠意と創意の信条をもとに、邁進していく」と述べた。
厳しい経営環境のなかにあるシャープだが、SHARP Tech-Dayでみせた技術は、同社の底力を感じさせるものであったといえる。
シャープの種谷CTOは、「シャープは技術の会社であり、技術に根ざした独自性が、これまでの111年間を支えてきた。シャープが反転攻勢に打って出るタイミングに入るなかで、まずは技術で狼煙(のろし)をあげ、新たな技術が新たな価値を作り、シャープが元気であることを伝える場にしたかった」と、SHARP Tech-Dayを位置づける。
次は、技術をベースにした反転攻勢の成果が試されるフェーズに入ることになる。
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