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【前編】ParadeAll 鈴木貴歩さんインタビュー

なぜ日本の音楽業界は(海外のように)ストリーミングでV字回復しないのか?

「日本はCDが突出して売れている国」と思いがちだが……

鈴木 言い方を間違えると公正取引委員会から声がかかりかねないので安易なことは言えないのですが、日本とドイツを同じくらいの単価に調整したとすると、2018年のデータで言えば、日本では1.27億人の人口に対して7160万枚の音楽CDが売れています。

 一方でドイツでは、2018年のデータを入手できなかったんですけども、2016年のデータでは8200万人の人口に対して7680万枚が売れています。このとき、日本では4割くらいがデジタルでの販売に移行していて、CDはドイツよりも売れてないことがわかります。

 また日本では、この数字に「複数枚買い」の要素も入ってくるので、自分なりに予測を立てると、「売上は横ばい、せいぜい微増では」と。

 2021年のブログで私が提言していたのは「高付加価値+高価格帯の導入」です。まず値上げをする。昨今のインフレによってグローバルで値上げ傾向がありますから、それが日本にも波及するのは当然のことです。

 そして、高音質や高付加価値による高価格帯でサービスを提供することを提言したのですが、結局Apple Musicが価格そのままで高音質の楽曲を提供したことで、高付加価値+高価格帯にシフトしていく流れも難しくなっていきました。

「日本は(世界と比べて)CDがよく売れている」と言われがちだが……(ParadeAll調べ)

まつもと 最初のお話にあった音楽ビデオはどうなんでしょう? デジタル化に対して何らかの影響があるのか、あるいは価格という部分でストリーミングコンテンツとして何かやりようがあるのか?

鈴木 そうですね……デジタルの高価格商品はやはりなかなか難しいので、今のDVDを単純にデジタルに移行するのは難しいかなと思います。

まつもと ファンにとってはコレクションアイテムになっているわけですね。だからパッケージであってほしいし、パッケージであれば高価格でも許容できて、そこに価値を感じてくれる。でもデジタルになったときにどうなるか、というところですね。

後編は明日公開

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