今後AIタレントの活用予定はなし
── 一方、先ほど「様々なコメント」とおっしゃっていたようにネガティブな声も出てきていたかと思います。そっくりさんを含む権利に絡む問題など。
まず法的な観点では、我々としてもAIに初めて取り組むので、肖像権の問題などのリスクを制作会社さんから聞いていました。法的にこうした解釈で問題ないと考えているという文面を、制作会社さんから文書でいただいています。また、ここはノウハウにかかわってしまうので難しいんですけれども、生成過程でいろいろなデータを活用して作っているので、意図的に「似せない」とか、そうしたポイントは制作過程で確認しながら進めていきました。
── 「似てるんじゃない?」という造形が出てきたらはじくと。
そうですね。クリエイティブの皆さんも含めて業界の方なので、「明らかに似てるね」というものははじいていました。
── 他方、タレントさんの技術的失業につながるんじゃないかと不安視する声もありました。
アニメーションであったり、タレントさんを使わないCMはいくらでもあるものですから、(AIタレントが)タレントさんに取って代わったという認識はありません。実際のモデルさん、アニメーション、そのほかという、広告の手段のひとつにAIが加わったという風に考えています。
── あくまでもクリエイティブ表現方法のひとつということですね。
我々としては今後もバンバンAIでやっていく、ということは考えていなくて。先ほどお伝えしたように、今回のCMに限っては、そのほうがお客さんに伝えたいことが伝わるんじゃないかということで採用したということです。
── 今後、AIタレントの活用予定はないんですね。
予定はありません。ただ、ピンポイントで描きたい目的を描けるというメリットは非常に感じました。パッケージも同様ですが、人の意見を組み込んで、というフィードバックが速いんです。今後こういう企画があったとき、選べる手段のひとつに加わってくるのではないかと。一方、デメリットは、言い方がむずかしいんですが、実際のタレントさんは「人のぬくもりがある」という意見が結構ありました。実際、AIだとわかってCMを見ると、確かにあたたかみが感じられないという印象をもってしまうので、一長一短があるなと感じます。
── そうすると彼女の姿を見られるのはCMだけになるのですか。
そうですね。CM自体も長く流すという感じではありませんが、YouTubeに上げているCMは再生回数は68万回になっています。今後も大きくCMで露出させていこうとは考えておらず、粛々とやっていこうと思っています。
書いた人──盛田 諒(Ryo Morita)
1983年生まれ。6歳児と2歳児の保護者です。Facebookでおたより募集中。
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