新MacBook Pro、M3 Maxはどれほど速くなったのか? 約110万モデルで検証した(本田雅一)
2023年11月08日 09時00分更新
極めて効果的なレイトレーシング、メッシュシェーダのアクセラレータ
「M3 MaxのGPUがどれほど速くなったのか?」と、Geekbench 6でComputeテストをしてみた。ところが、高速化されているのだが、コア数あたりのパフォーマンスにすると少しだけしか速くなっていない。
このテストはGPUをジェネラルな演算プロセッサーとして使うもので、いわゆる3Dグラフィクスやアニメーションを生成するものではないが、この結果はやや意外なものだった。
では期待はずれなのかといえば、そうではない。
アップルは3Dアニメーションのレンダリング処理能力を高めるため、ボトルネックとなる部分をハードウェアでアクセラレート(加速)させる機能と、数1000の処理が並行して走るGPUタスクがメモリー割り当てでストールしないよう効率的に管理する機能をM3ファミリーのGPUに追加した。
アクセラレータはレイトレーシング(A17 Proにも搭載されていた)とメッシュシェーダに対するもので、この効果は極めて大きい。
映画など高品位なCGアニメーションを制作するMaxonのCinema 4Dで使われているレンダリングエンジンCineRender(前述したArchicadもシーンレンダリングのエンジンとして採用している)は、極めて写実的なCGを生成できることで知られている。
そのCineRenderでのレンダリング性能を計測するのがCinebenchで、その最新版であるCinebench 2024ではGPUでのテストに対応した。Mac版はアップル純正ライブラリのMetalを通じてレンダリングをするため、M3ファミリー搭載のアクセラレータが機能する。
![](https://ascii.jp/img/2023/11/07/3634894/xl/f74be8e692f7e85b.png)
アップルはこのところゲームタイトルのMacへのポーティングに力を入れている。Unreal Engine 5を採用した「Lies of P」でも、新GPUのレイトレーシング、メッシュシェーダのアクセラレータ効果が確かめられた。UE5は建築デモや簡易的なCG制作などにも広く使われているため、UE5の新GPUへの対応の意味はM3 Maxでも小さくない
GPUコアあたりの性能はM2ファミリーとの比較でも2倍以上になるようだ。
40個のGPUを搭載するM3 Maxのテスト機では、64個のGPUを搭載するM1 Ultraの2倍以上、76個のGPUを搭載するM2 Ultraよりもおよそ30%早いスコアを出した。このスコアはレンダリングのスループットそのもので、ストレートにそのまま「3Dアニメーションがレンダリングし終えるまでの時間」が短縮されると解釈していい。
また搭載されたアクセラレータがよく効いていることの証左でもある。
おそらく将来は80個のGPUを搭載するM3 UltraがMac StudioとMac Pro向けに登場するのだろうが、MacBook Proの薄く軽量なボディでここまでの性能を実現している意味は大きいだろう。
週刊アスキーの最新情報を購読しよう
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります