隠れた完全ブランニュー、MacBook Pro 14インチは幅広いユーザーにお勧め【レビュー】
10月31日(日本時間)に開催したApple Eventで発表し11月7日から発売する、MacBook Proの最下位モデルに位置するMacBook Pro 14インチ(M3)は完全に新しいモデルだ。
ラインアップ上の位置づけとしては、MacBook Pro 13インチ(M2)の後継に当たると思われるが、MacBook Pro 14インチのボディを多少変更して使っており、内部構造はまったく新しい。先行して使用する機会を得たので、このMacBook Pro 14インチ(M3)を使ってみながら、新しい製品の位置づけについて考えてみよう。
ちなみに、M3搭載MacBook Proは14インチ版のみで、16インチにはラインアップされない。
最下位モデルのMacBook Proが
やっとお勧めできる製品に
従来のMacBook Pro 13インチ(M2)は微妙な存在だった。MacBook Airと同じM2チップを搭載して、ボディやディスプレイはなんと2016年に発表されたMacBook Proシリーズの流れのものを利用。Proとは名ばかりの「古い革袋に新しいワインを入れた」製品だった。
それでも、「リーズナブルなPro」として人気だったようで、アップルは2022年のWWDCでこの製品のことを「世界で2番目に売れているノートパソコン(一番はMacBook Air)」として紹介しているが、筆者は一貫してお勧めはしてこなかった(だったら、MacBook Airを買った方がいい)。
だから、今回のMacBook Proの登場は本当にうれしい。これが必要だったモデルだと思う。
MシリーズのPro、Maxの性能は本当に凄まじいので、2次元のデザイン(エディトリアルとか)、それほどストリーム数の多くない4Kまでの映像編集、スプレッドシートを扱ったりするビジネス用途、RAWを扱わないレベルの写真編集……つまり、世の中にあるほとんどの仕事は、スタンダードラインのMシリーズチップでまかなえるのだ。
しかしながら、旧MacBook Pro 13インチ(M2)のボディには拡張性はないし、ディスプレイもオーディオも2016年のMacBook Proの流れを組むものが搭載されていたのだ。今回ようやく、スタンダードラインのパフォーマンスで十分な人も、MagSafe 3、HDMIポート、SDXCカードスロットの拡張性、最大1600ニトの輝度を持つLiquid Retina XDRディスプレイ、フォースキャンセリングウーファーを備えた6スピーカーサウンドシステムの恩恵に預かることができるようになった。
MacBook Air M2もいいマシンではあるけれど、やはりこのMacBook Pro 14インチの音質、画質は数段上のレベルにある。チップセットのパフォーマンスを必要としなくても、この拡張性、美しい映像と、音質を選択できるようになったというのは非常に素晴らしい。
ちなみに、上位モデルのM3 Pro、M3 Max搭載機とは仕様が異なる部分も確認しておこう。
まず、根本的な部分として、冷却ファンが左側1個しかない。これは、MacBook Proの下位モデルの伝統的仕様だし、M3チップの発熱の少なさを考えると何の問題もないだろう。また、Thunderboltポートが、上位モデルはThunderbolt 4ポート×3なのに対して、Thunderbolt 3/USB 4ポート×2になっている。右側のポートが省略されており、Thunderboltの仕様がひとつ古いということだ。
しかし、ここは大きな差ではないと考えていいと思う。また、外部ディスプレイはM3搭載機は6K 1台まで、M3 Pro搭載機は6K 2台まで、M3 Max搭載機は6K 4台まで制御可能となっている。このあたりはチップセット自体の性能の限界なので、いたしかたないところ。1台使えれば十分……という人も多いだろうけれど、2台以上使うという人は、上位モデルの購入を検討いただきたい。
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