週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

マクラーレン史上、最も街乗りしやすい「マクラーレン GT」の快適性がクセになる

2023年10月21日 15時00分更新

マクラーレン

◆乗りやすいマクラーレンってどんなクルマ?

 久々のスーパーカー連載(いつも久々ですいません)は、これまた久々にマクラーレン。尖っているクルマが多い同社のランナップの中で、グランドツアラー的位置付けの「GT」をお借りした。

 当初はハイブリッドモデルの「ARTURA(アルトゥーラ)」を考えていたのだが、マクラーレン的なグランドツアラーってどういったものだろう? と興味を持ち、こちらをチョイスした。

マクラーレン
マクラーレン

 マクラーレンについて簡単に説明すると、イギリスの高級スポーツカーメーカー「マクラーレン・オートモーティブ」のことで、前身のマクラーレン・カーズは1985年にブルース・マクラーレンによって創業され、2010年に現在の同社が設立された。実は比較的新しいメーカーではあるものの、マクラーレンF1チームとして80~90年代のF1を席巻し、さらに今なおF1に参戦し続けている。

マクラーレン
マクラーレン
マクラーレン

 スーパーカーで知られる「マクラーレン F1」やメルセデス・ベンツとのコラボ「SLRマクラーレン」など、数は多くないが超高性能&超高額なクルマを作り上げて、現在の社名に変更後は「720S」や「570S」といったハイパワーロードカーを中心としたラインナップの自動車メーカーになった。とはいえ、一貫してミッドシップの2シーターモデルしか作ってないし、今でも限定車で1000馬力のスーパーカーなどもリリースしている、ちょっと珍しいメーカーだ。

 そんなマクラーレンがラインナップに加えたGTは、同社初のグランドツアラーとして2019年5月に発表された。グランドツアラーは「グランドツーリング(大旅行)」から発生した言葉で、ハイパフォーマンスとラグジュアリー性で長距離を快適に走れる車種のことを指す。GTというとレーシングカーやスポーツカーを思い浮かべる人もいるかもしれないが、実はスポーツカーとは違うジャンルだ。

マクラーレン
マクラーレン

 目を三角にしてとにかくスピードを求めてきたマクラーレンが放つ、初のグランドツーリングカー。まずはスペックから見ていこう。

◆高性能だが包み込まれるような乗り心地

 ボディーサイズは全長4685×全幅1925×全高1215mm、ホイールベースは2675mm、車重は1530kg(DIN)。エンジンは4LのV8ツインターボ、最大出力は620PS/7500rpm、最大トルクは630Nm/5500~6500rpm。最高速度は326km/h。0-100km/hの加速は3.2秒と、スペックだけ見たらとんでもないモンスターマシーンだ。タイヤはフロントが225/35R20、リアが295/30/R21とこちらもスポーツカーっぽい大口径。フロントリフト機能はもちろん装備済みだ。そしてお値段は2695万円と、こちらもマクラーレンらしい。

 だが、実際に乗ってみると乗り心地の良さに驚かされる。7速SSG(Seamless Shift Gearbox)は特段の変速ショックも感じさせず、気がつけばどんどんシフトアップしていく。街中での移動が快適で不快感がないのだ。以前「570S」に乗ったときは、足は硬いしパワフルだしでピリピリしながら運転していたが、GTは足周りは適度に柔らかく、ちょっとの段差は電子制御ダンパーがショックを吸収してくれるため、腰も痛くならない。ドライブモードをノーマルにしておけば、一般道では十分すぎるほど。1000~1500rpmくらいで法定速度に達する。

マクラーレン
マクラーレン
マクラーレン
マクラーレン

 ボディーが大きいことを忘れるくらい、街乗りしやすいGTだが、高速道路に乗るとマクラーレンらしさをいきなり発揮する。高速で合流のためにアクセルを踏み込むと、まだ半分くらいしか踏んでないのに、V8ツインターボがうなりを上げてとんでもない速度で加速していく。2675mmの長いホイールベースのおかげか、直進安定性が良すぎて感動した。湾岸線をビタっと真っ直ぐに走ってくれるのだ。

マクラーレン
マクラーレン
マクラーレン
マクラーレン
マクラーレン

フロントは最低地上高が110mmということもあり、そこそこ低い

マクラーレン

後ろはエアロがあるので、輪留めにピッタリつけると擦る可能性アリ

マクラーレン

フロントリフトオフの状態

マクラーレン

フロントリフトオンで約20mm上がる

 ドライブモードをスポーツに入れると、GTっぽさはナリを潜め、完全にスーパーカーになる。足周りは硬くなり、背後のエンジンがうなりをあげて、カーステの音楽が聞こえなくなる。さらにこの上には「トラック」モードがあるが、これはサーキットユースのためなので、使わなかった(怖くて使えなかった)。ぶっちゃけ、グランドツアラーにこのスピードは必要あるのか? と思ってしまった。快適性を求めるならノーマルモードで十分だろう。燃費も一気に悪くなるし。

 一般道も高速道路も非常に快適で不快感なく走れるのだが、一般道で気になるのが全幅1925というサイズ。かなり横幅が広いので、狭い道には入りづらい。なので、大通りを遠回りして目的地に行くこともあった。最低地上高は110mmとまあまあ低いが、フロントリフト機能で130mmにできるため、駐車場などの段差はあまり気にならなかった。ただ、リアには車体の下側にエアロ(デフューザー)があるため、駐車時に輪留めに接近しすぎると擦ってしまうので危険だ。

マクラーレン

ディヘドラルドアを開けるときはここに指を入れる

マクラーレン

ゆっくりと斜め上に跳ね上がる

マクラーレン
マクラーレン

意外と横側にも開くので、駐車場で隣にクルマが居るときはちょっと怖い

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

この連載の記事