課題は日本語を含む他言語対応か
「今動かなければ遅れる」生成AI開発を猛烈に進める、アメリカIT大手の危機感|AIニュースまとめて解説
本連載では、ASCII.jpに掲載されたAI関連記事を中心に紹介、最近のAI事情を俯瞰していく。今回は9月下旬(9月16日から30日)の主なニュースを振り返ってみよう。
筆者は9月下旬、アメリカ各地を回って大手IT企業の発表を取材してきた。今回はその話も付け加えてお伝えする。
Amazon、Alexaに生成AIを導入した「Alexa Chat」を公開(9月20日)
9月20日、米Amazonは、バージニア州アーリントンにある新施設「Amazon HQ 2」で、秋のハードウエア新製品発表会を開催した。筆者はその場で取材していた、数少ない日本人の一人だ。「Echo Show 8」の次世代モデルやスマートグラス「Echo Frames」の第二世代モデルなど、複数の製品が発表されたのだが、ことAI絡みのニュースとなると、なによりも「Alexaへの生成AI導入」が大きい。
実はAmazonは、LLM(大規模言語モデル)自体は、昨年から「Amazon Teacher Model」(規模は200億パラメータ程度)として、Alexaなどに使われる学習ソースの「教師なしモデルによる多言語対応」に導入している。
だが今回は、Alexa上でチャットを介して色々な作業・質問をする機能に生成AIを導入した。使っているのは、Amazonが独自に構築したもので、その詳細やパラメーター数などについては未公開だ。
チャットを介してより人に近い形で対話できるようになるわけで、「チャットモードへの移行が必須」という状況ではあるが、Alexaが一歩、次の段階へ移行したことは間違いない。
ただし、テストが「英語で数ヶ月後にスタートする」段階であり、日本語への対応は少し先になるだろう。
Microsoft、Windowsを含む同社の多くの製品に「Copilot」を導入(9月21日)
Amazonの発表翌日にはニューヨークへ移動。米マイクロソフトの発表に参加した。
マイクロソフトの発表は、簡単に言えば「生成AIを使った機能を、同社の製品全体に導入する」こと。以前より同社は、その種の技術を「Copilot(コパイロット)」と呼んできたが、サービス名称もそのまま「Microsoft Copilot」となる。
特に大きいのは、Windows 11の次期大型アップデート「23H2」に「Copilot in Windows」が組み込まれることと、Microsoft 365向けの「Microsoft 365 Copilot」「Microsoft 365 Chat」が正式に導入されることだ。
どちらも、PCや企業内システムに組み込まれたデータを活用し、チャットでやりたいことを指定して作業を円滑かつ簡単に進めることが狙い。その性質上、データが少ない環境では利便性が高まりづらい……という課題もある。
そんなこともあり、特にMicrosoft 365との連携については、規模の大きなエンタープライズ顧客向けとしてスタートする。
しかしこのタイミングで、個人顧客やスモールビジネス向けライセンスでのテストが開始される、という発表もあった。より幅広い利用という意味では、個人・スモールビジネス向けでどのような効果を発揮するのか、という点も重要になる。
テストは限定顧客向けに始まったばかり。Windows 11での活用拡大も含め、実効性が高くなるにはもう少し時間が必要だろう。
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