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「遊んでみたい!」メタが狙うのはバーチャルな遊び場だ(本田雅一)

2023年10月04日 07時00分更新

米カリフォルニア州メンローパークで開催された基調講演に登壇するメタ創業者、会長兼CEO マーク・ザッカーバーグ氏

 メタは6月に予告していたVR/MRヘッドセットの「Meta Quest 3」を発表した。すでに発表の詳細や日本での体験会については、アスキーでも紹介しているが、製品発表の場となった米カリフォルニア州メンローパークでの基調講演や幹部への取材、製品体験などを通じて、メタが提供しようとしている製品、サービス、アプリケーションについて掘り下げてみることにしたい。

キャラクター化されたAIチャットボット

 新製品としてはQuest 3のほか、米国・カナダ・英国在住者の予約を受け付けている「Ray-ban Meta スマートグラス」やキャラクター化されたAIチャットボット、生成 AIを使ったチャット用ステッカー(スタンプ)なども発表されている。どこか統一感のないバラバラな発表に思えるが、実はひとつのストーリーに繋がるものだ。

 そんな話をしていきたいが、まずはメインキャストであるQuestについての率直な評価から始めることにしよう。

ヒット作の確実な改良版、隙は少ないが……

 正直にいえば、実際に使う直前までQuest 3に関して、あまり大きな期待は抱いていなかった。筆者はQuest 2が登場したばかりの頃に購入し、まだ手元に持っているが初期の頃はよく使っていたものの、数ヵ月後には使わなくなってしまったからだ。

 理由は何度かエリートストラップが折れてしまいそのたびに交換してもらっていたが、結局諦めて標準ストラップで使っていたものの、装着感を含め少しばかりの不満が蓄積していたからだった。VR酔いしやすい体質ということもある。

Meta Quest 3の価格は128GBモデルが7万4800円、512GBモデルは9万6800円

 そんなVRゴーグルに対しては後ろ向きな筆者だが、MRデバイスも含めて将来への期待は大きいとも感じてきた。アップルのVision Proのような汎用的なコンピューティングへの発展も将来的にはあるだろう。しかし、ゲーム機としての可能性も大きい。

 エンターテインメントデバイスとして捉えた場合でも、高解像度、高画質、高フレームレート、定レイテンシー、より広いオープンスペースでのプレイなど、一直線に高性能化が進んできたコンピュータゲームの世界とは別の進化軸があると思うからだ。

 PCゲームやゲーム専用機でのゲームを遊ばなくなった人、あるいは興味を持っていない人でも、VRゲームは新鮮に感じるものだ。そこにMRという要素が加われば、さらにアイディアの幅は広がる。

 Quest 3ではストラップの改良で安定性が増し、以前ほど強く締め付けなくとも揺れなくなった。これにはゴーグル本体の光学系が40%薄くなったことも大きいだろう。アダプターを使わなくとも調整だけでメガネに対応でき、フェイスプレートの快適性は確実によくなっている。

 解像度はQuest 2より30%向上。画素のメッシュ感が全くなくなったわけではないが、視野が左右方向に110度まで広がったこともあり、画質面での不満はほとんど感じない。ディスプレイデバイスは変わらず液晶パネルだが、コントラストも高くなった印象で、何より解像度の高いカラーのパススルー映像が、現実空間と仮想空間の間をうまく繋いでくれる。

 他にも改良点はたくさんあるが、大ヒットした製品の不満点を確実に進化した改良版のため、実に隙のない作りだ。5倍以上も価格が違う、まだ世の中に登場していない製品と比べるといった無粋なことをしないのであれば、誰も文句は言わないだろう。

 日本での価格はQuest 2登場時のおよそ2倍になる。円安の影響もあり、日本市場で爆発的に広がるかどうかは疑問もあるが、グローバルではかなり盛り上がるだろう。そうなれば、もともとVRゲーム機としては最も多くのタイトル(およそ500タイトル)を擁するだけに、この手のエンターテインメント端末が欲しいなら、まず最初に検討すべき定番であることは間違いない。

 ただしMRの応用という点では、まだ始まったばかりという印象もある。

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