TVS REGZAは10月2日、本社ショールームで記者説明会を開催。会場にはTVS REGZA取締役副社長の石橋泰博氏と、同レグザブランド統括マネージャーの本村裕史氏が登壇、2023年のテレビ市場を振り返った。
レグザを使う全国のユーザーから収集した実稼働データも提示。消費者がテレビにどう接しているか、何を観ているかが分かる貴重なデータも示された。
リビングに75型のテレビを置く時代も遠くはない
JEITAの調査によると、薄型テレビの国内での出荷構成比は、50型以上の大画面サイズが40%を占めるようになった。同社では2022年は65型以上の構成比が2020年に比べ2倍に増えたとしている。
アナログ放送が停波し、地上デジタル放送に切り替わったのは2012年。当時の主流は30~40型クラスの液晶テレビだった。55V型のテレビは十分に大画面で満足感がありそうだが、買い替え後にはもっと大きくても良かったという意見が多く出るという。
本村氏は「ブラウン管の時代は28型が最大画面。50型のプラズマテレビが出たときも趣味の商品だと思われていた。いまは50型は小さいほう。人間の感覚は時代とともに変わっていき、75型も普通になる時代が来る」と今後も大画面化の傾向が進んでいくという予測を示した。
人間の感覚は時代とともに変わっていき、75型も普通になる時代が来ると、本村氏は語る。
テレビ離れは進んでいない、放送からネットに移っただけ
全国にある300万台のレグザを通じ、同社取得したデータによると、テレビ画面の視聴時間は1日当たりの平均は6.6時間。意外に長く感じるし、5年前と比べても大きな変化はないという。
大きく変わったのは、その視聴スタイル。この2~3年で、リビングルームでのネット動画の視聴時間が増えてきている。
注目したいのは、YouTubeや各種動画ストリーミングサービスなど、ネット動画を見る時間が右肩上がりに増えている点だ。2020年4月は70分程度だったのに対し、2023年8月時点では98分(2019年以降に発売したレグザから取得したデータ)。一日に1時間30分以上見ていることになる。また、ネット動画を見るテレビの大画面化も進んでいる。50型以上のリビングテレビでネット動画を見る時間は2021年比で120%に増えており、40型以下のパーソナルテレビを上回る時間だ。
「そのうち、ネット動画を見るためにテレビを買う時代が来る(もう来ている)」と言ってもいいだろう。
またタイムシフトマシンユーザーは、ネット動画とテレビ番組の両方から、興味があるものを逃さず視聴しているという。
通常録画を含むタイムシフト視聴とネット動画の視聴時間の比率は、タイムシフトマシンなしの場合103分+26分、タイムシフトマシンありの場合92分+68分。
「タイムシフトマシンによりネット動画を見る感覚で地上波を視聴できるので、テレビの総視聴時間は増えている」と本村氏は語っている。
Mini LED液晶が市場で高評価
数年前までは、有機ELとMini LEDを画質で選ぶなら、有機ELだと言われてたが、今はそうではないという。
液晶テレビには高輝度で鮮やかな色という有機ELテレビにはない特徴がある。有機ELは黒の締まりなど自発光デバイスならではの強みがあるが、発熱があるため高輝度化が難しいというデメリットもある。
一方、液晶テレビはMini LEDバックライトの普及によってコントラストで白浮きの少ない高画質が追求できるようになっている。暗部の階調再現が求められる映画や暗い空にきらめく花火などの再現では、以前有機ELの方が強みがあるが、スポーツ(例えば、昼間のゴルフ中継の鮮やかさ、明るさ感、リアリティ)を始めとした一般的なコンテンツでは有機ELと変わらない、もしくはそれを上回る画質が得られるという評価も聞くようになった。レグザの画質を担当している住吉氏など社内の意見もそうだという。
「65V型のMini LEDであれば、55V型の有機ELの価格で買える。やはり大画面の力はある。同じ予算ならサイズを変えてみてはどうか」と強く言いたいと本村氏も太鼓判を押す。Mini LEDパネル搭載機種の構成比は、各社とも順調に上がっているようだ。
プレゼンテーションの最後に石橋氏は「レグザはテレビの本質を追究し続けます」とコメント。放送とネット動画をまたいだ多彩なコンテンツの視聴、これまで以上の大画面化など、テレビの価値を高める製品の開発に意欲を見せた。同じ予算で画質性能が変わらないなら、少し大きいサイズのテレビを購入してみてはいかがだろうか。
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