結局のところは「地道な努力」か
もうひとつ、ソフトバンクにあって、NTTドコモにないのが「寄せ集め」という歴史だろう。
ソフトバンクはボーダフォンを買収、さらにウィルコムを救済したり、イー・モバイルを傘下に収めてきた。
ボーダフォン時代、基地局の数は数万程度だったが、PHSのウィルコムは20万近い基地局を展開しており、ソフトバンクはこの「立地」を手にしたのが大きかった。
またウィルコムは次世代PHSを準備していたのだが、これがいつの間にか、TD-LTEと呼ばれるデータ通信に特化した規格に変わっていた。2.5GHzでデータ通信に特化したTD-LTEを展開できたことも、ソフトバンクのネットワーク安定性に寄与しているようだ。
また、イー・モバイルが国際的に普及している1.7GHz帯を持っていたのも大きかった。
ソフトバンクがイー・モバイルの親会社であるイー・アクセスを買収しようとした背景にあるのは、当時、ライバルであるKDDIがiPhoneを導入し、ソフトバンクでは提供していなかったテザリングを始めようとしていたからに他ならない。
ソフトバンクのネットワークはひっ迫しており、大量のデータが流れるテザリングは導入したくでもできない状態であった。しかし、KDDIがテザリングを始めると言いだし、焦った孫正義社長(当時)は、イー・モバイルをサクッと買収。テザリングを実現し、ユーザーの流出を食い止めたのだった。
iPhoneが普及し、ネットワークのトラフィックが増える度に、上手いことライバルを救済、買収することで、ソフトバンクのネットワークは強くなっていった。
ただ、関和氏は「(ネットワーク品質向上には)飛び道具はなく、地道に基地局を設置して対策していくしかない」とも語る。
ソフトバンクに限った話ではないが、ネットワーク品質を維持、向上させるには、日々の地道な努力が必要というわけだ。
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