印南敦史の「ベストセラーを読む」
第6回
『ザイム真理教――それは信者8000万人の巨大カルト』(森永卓郎 著、三五館シンシャ)を読む
財務省はカルト教団化している 森永卓郎氏が知ってほしかった「真実」
財務均衡主義という“教義”が広く深く浸透してしまった
それは著者の目から見れば単な仕掛けであるようなのだが、なぜか多くの人にそれは伝わっていない。だから結果的には、財務省のいいなりになってしまうわけだ。
なぜか?
それは、旧大蔵省時代を含め、財務省が40年間にわたって布教を続けてきた「財政均衡主義」という“教義”が、国民やマスメディア、政治家にまで広く深く浸透してしまったためだ。
話を単純化するなら、さまざまな理由や根拠を見せられたうえで「お金がないので増税するしかありません」と言われたとしたら、国民は「だったら仕方がないかなぁ」と思うしかないわけである。だが、それが問題なのだ。それは、国民全体が財務省に洗脳されてしまったということにほかならないのだから。
すなわちそれが、昨今ネットの世界で散見されるようになったワードであり、本書のタイトルにもなっている「ザイム真理教」問題なのだ。
そこで本書では、ザイム真理教が生まれるまでの経緯、そして、それがどのように国民生活を破壊するのかということをわかりやすく解説しているのである。重要なポイントは、この「わかりやすく」という部分だ。多くの人々(私もまたそのひとりだ)にとって財務省の思惑や行動を理解することは決して簡単ではない。だから知らず知らずのうちに、多少なりとも思考停止状態に陥ってしまうのだ。
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