機器/システムを自ら開発してきた経緯はデータ収集の際にもメリット
「データ活用」においては、2020年度から島根富士通独自のデータ分析基盤の構築に着手したのを皮切りに、2022年度までに、設備ログの収集や、作業時の映像データの蓄積、作業の変化点管理、部品ピックアップ作業のヒートマップなどの各種データ収集に注力。2023年度からは、これらのデータを活用、分析、予測することで、工場全体のスマート化を図っているところだ。
また、カメラ映像をもとに、より効率的な作業環境に改善したり、工具や設備のメンテナンスも一斉に行うのではなく、データをもとに使用回数や不具合の発生件数をもとに、対象となるものを優先的にメンテナンスし、メンテナンスコストや工数の削減につなげたりしているという。
もともと工場内で利用する機器やシステムは自ら開発してきた経緯があり、これが、データ収集の際にもメリットを生んでいる。2020年度には約100台だったカメラを250台にまで増設しているが、2023年度中には400台にまで増加させるほか、各種ツールの導入により自動化できる範囲を拡大している。たとえば、新機種の生産開始時に行う工程設定作業はツールを活用することで、約6時間かかっていたものを4.1時間に短縮でき、33%の作業削減が可能になるという。
「1週間に一度しかデータ集計ができなかったものが、リアルタイムでの収集、分析ができるようになることで、カイゼンの質を高めることができる。ダッシュボードを通じて、課題が可視化され、それをもとに多くの社員から新たなアイデアが生まれているというメリットもある。今後、多くのデータを収集、分析することで、新たなアクションにつなげることができ、これまでにはなかったカイゼンが進むことになる。生産品質の向上にもつなげていく」(島根富士通の吾郷執行役員)と期待する。
島根富士通の神門社長も、「データをもとに見える化、可視化が行えるようになったことで、これからは、それを活用するフェーズに入っていくことになる。スマートモノづくりの実現を一歩進めることができる」と意気込む。
今後は生成AIの活用も視野に入れていく考えだ。
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