せっかくなのでOCメモリーをしばらく動かしてみた
せっかくOCメモリーをお借りしたので、ベンチマークもとってみた。一般的に高クロックのDDR5メモリーの優位性としてクリエイティブ用途でエンコード時間が短縮できることは皆さんもご存じのことと思うが、そのほかにOCメモリーを使うと「おいしい」ことがあるのだろうか。
通常、 ⾼クロックで動作させるOCは、パフォーマンスを引き上げると捉えられる。ただしよく考えてほしい。たとえばOCモデルのビデオカードも、ゲーム時などでは効果があるが、2Dのデスクトップアプリケーションまで速くなるかと⾔えばそんなことはない。効果のあるシーンというのは、それを使用する時、酷使する時だ。
メモリーは常時使⽤しているとはいえ、酷使すると⾔うほど頻繁にアクセスするアプリケーションは限られる。その上、全体的に⾒ればCPUやGPUパフォーマンスの影響のほうが⼤きいので、メモリーの効果を数値や体感で得るのはなかなか難しい。
特に今どきのCPUやGPUにはブーストがあるので、これのブレ幅も考慮しなければならない。各テストを3回ないしは5回計測して平均化することでブレを抑えているものの、計測結果およびグラフはかなり判断の難しいものとなっているので注意深くご覧いただきたい。
まずはPCMark 10(3回計測の平均)。たとえばOverallではいちおうメモリークロック順でDDR5-7200が最速、それに続くのがDDR5-5600といったように見える。ただしその下のシナリオ別で見ると、たしかにEssentialsとProductivityはクロック順だが、Digital Content Creationについては逆クロック順だ。PCMark 10も複数回計測すると各テストで100ポイントくらいはブレる。
ここを踏まえつつ各テストの中でこれは高クロックのメモリーほど高スコアが出る傾向にあるだろうと言えるのはSpreadsheetとWritingの2つ。シナリオ的にはProductivityだ。これは意外かもしれない。
レンダリング系のベンチマークでBlender Benchmark(3回計測の平均)。CPU処理のベンチマークに関しては、3つのシーンともクロック順の結果だった。とくにJunkshopはDDR5-4800を100%とするとDDR5-5800が1%アップ、DDR5-7200が2%アップと、かなり明確な差が出ている。高度にマルチスレッドに最適化されたアプリケーションにおいて、CPU性能を引き出すためにはメモリー帯域幅が重要になると言われる。
ワークステーションなどではメモリーも4チャネル以上がサポートされるが、メインストリームプラットフォームではデュアルチャネルどまり。こうしたデュアルチャネルの制限がある場合、OCメモリーで転送速度を引き上げることが有効と言える。
ではゲームには効果があるだろうか。まずはRainbow Six Siege(5回計測の平均)。GPU負荷が比較的軽いため、高性能ビデオカードを搭載していればむしろCPU処理でフレームレートが左右されると言われるタイトルだ。
とはいえフルHDで計測した最高画質設定時、低画質設定時とも誤差の範囲。CPUが重要という点ではBlender Benchmarkにも近いものの、Blenderはマルチスレッド、Rainbow Six Siegeはどちらかと言えばシングルスレッドであり、メモリーの読み書き頻度はそこまで高くないのかもしれない。
次に比較的グラフィックスに凝った重めのタイトルであるFINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク(3回計測の平均)。こちらもそもそものブレ幅が180ポイント程度あり、それを踏まえるとOCメモリーの効果があると言い切れるほどのスコア差ではない。
ただし、フルHD最高品質設定時、DDR5-5200環境は3回中2回が9,000ポイント台だったのに対し、DDR5-5600とDDR5-7200環境はいずれも3回すべて10,000ポイント台を出した。FINAL FANTASY XVも比較的CPU性能による影響が大きいと言われるタイトルなので、そこまで高クロックである必要はないかもしれないが、OCメモリーにすることで若干の性能向上が見込める可能性があるだろう。
最後にBIOHAZARD RE:4(5回計測の平均)。ビルトインベンチマークがないため手動計測となり、そこを案じて5回計測の平均とした。グラフはむしろ逆クロック順になっているくらいだが、均した平均で1fps程度差なのでこれは誤差の範囲だろう。
ベンチマークに関してはこのような具合で、OCメモリーを導入することで効果が得られそうなのがビジネスアプリケーション、レンダリングアプリケーション、ゲームでは映像品質重視でCPU負荷の高いタイトルといった結果だ。
ただしビジネスアプリケーションも、一般の方がベンチマークのように矢継ぎ早に処理を行なうことはないので、実際の業務でどこまで効果があるかは疑問だ(あくまでOCメモリーであり、定格以下のクロックでは悪影響が出るだろう)。
また、あまり効果が見られなかったゲームも、たとえばテクスチャパックやシェーダーパックを導入して楽しむ場合、メモリー使用量が増え、アクセス頻度も高まると思われるので、ひとえに効果が小さいとは言い切れない。
いちおう、Sandraが示すとおりOCメモリーのほうが速いことは事実だ。ミリ秒、マイクロ秒単位では間違いなく速いが、それがスコアに現れたり体感できたりするものかと言うと難しいだけだ。
その瞬間で考えるのではなく、1日単位や月間、年間単位で換算すれば秒単位での時間短縮が生じていると思うしかない。今回の計測結果では大きな差は出なかったが、今後のゲームタイトルによってはDDR5メモリの最適化も進むので、今から準備をしておくのもよいだろう。
コスパよくても安心、安全も大事にしたい方にオススメのマザーボード
さて、写真レビューパートのとおりB650 Pro RSはかなりコスパのよいAM5マザーボードだ。価格に対してVRMの設計が1つ上のクラスであり、インターフェースも2.5GbEやUSB 3.2 Gen2x2など最新のものに対応している
Ryzen 9やX3D、OCメモリーの購入を検討しているユーザーにとって、B650マザーボードを選択するのは少数派かもしれないが、B650 Pro RSはRyzen 9までフルでサポートされており、さらに⾼クロックのOCメモリーまで扱える。また、コスパがよいので、少し余った予算をOCメモリーのようなロマンアイテムに回すことも可能になるだろう。
(提供:ASRock)
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