◆尖ったデザインに多数のセンサーやカメラ
◆インテリアは環境に配慮した部材を使用
また、ロータスのブランドのコアとなる価値は「For The Driver(ドライバーのためのクルマ)」というもの。「ハンドリング・バイ・ロータス」という文言が有名なように、優れたハンドリングと走りの楽しさがロータスの魅力です。それを実現するシャシー関連も「エレトレ」は、非常に凝った内容となっていました。
前後のサスペンションにはデュアルチャンバー式エアスプリングと電子制御ダンピングシステム(CDC)、それにアクティブ・リア・ホイール・ステアリング・システム、ブレーキ式のトルクベクタリング、インテリジェント・アクティブ・ロール・コントロール(IARC)が組み合わされており、それを6D統合シャシー制御(ICC)が、アクティブ・エアロダイナミクスと合わせて統合制御します。
つまり、バネと車高、ダンパー、スタビライザー、トルクベクタリング、後輪操舵、可変エアロが一括で制御されているのです。また、統合制御を活用し、航続距離優先からスポーツ走行、オフロード走行、サーキット走行などの、状況にあわせたドライブモードも用意されています。
エクステリア・デザインにも走りを重視するロータスらしさを見ることができます。全体的なフォルムは、ノーズの短いキャビンフォワードのSUVクーペといったもの。ポイントは、非常に優れた空力性能を備えていることにあります。直近のほかのロータス車と同様に「空気によって創られた」を謳う理念から開発されています。ドラッグ係数(空気抵抗)はわずか0.26Cd(最大値は1.0)。フロントのグリルは、三角形の弁を備えた開口部があり、冷却と空力のバランスを調整します。ボンネットやフェンダー、バンパーに穿かれたスリットは飾りではなく、空気の通り道としての役割を果たします。テールゲートには、3つのポジションに動くアクティブ・リア・スポイラーが備えられ、コーナーリングや加減速時などの姿勢安定に貢献します。また、オプションとして、カメラ式のサイドミラーが用意されており、これも空力特性向上のアイテムとなっています。
「エレトレ」の外観で目を引くのが、ルーフの最前部にある楕円のスリットです。ここには、ポップアップ式のLIDARセンサーが収納されています。同様に左右のホイールアーチの上など、なんと4個の展開式LIDARセンサーを備えているのです。ほかにも6個のレーダー、7個のHDカメラ、12個の超音波センサーなど、合計34ものセンサーを装備。これら充実のセンサーと、2個のNVIDIA Orin-Xチップ(1秒間に500兆回の演算が可能)、無線通信アップデート機能を使い、最新の運転支援機能を実現します。
市場の規制が許せば、いわゆる自動運転と呼ばれる「レベル4」の自律走行も可能とするというから、驚くほかありません。
室内を覗けば、洗練された無駄のないデザインから「エレトレ」の先進性を感じることができるでしょう。ドライバーの前のメーター部は、左右に細長いスタイリッシュなデザインが採用されています。フロントウインドウに情報を表示するヘッドアップ・ディスプレイには、前方の景色にグラフィックを重ねあわせる半拡張現実(セミAR)機能が備えられています。ナビゲーションやクルマのセッティングなどは、センターコンソールにある15.1インチのタッチスクリーンを使用します。
室内レイアウトは5人乗車を標準としますが、オプションで4人乗車を選ぶことも可能です。また、2種類のプレミアムオーディオや、10段階に透過する光の量を調整できるパノラミックガラスルーフも用意されています。
インテリアの内装材として採用された「リ・ファイバー(Re-Fiber)」もトピックのひとつ。ファッション業界の廃棄物から作られたテキスタイルで、コットンの柔らかさ、シルクの光沢、ヘンプの滑らかさ、優れた通気性など、持続可能性なラグジュアリーという価値観を提案するものです。
◆これまでのロータスとは異なった価値観と顧客層のSUV
EVとしての性能だけでなく、優れた運動性能、最新の運転支援システム、洗練されたインテリアなど、細部をチェックするほどに「エレトレ」の魅力が見えてきました。ただし、「エレトレ」はこれまでロータス車とは異なる、ワンランク上の価格帯のモデルです。
クルマの内容も、これまでの「サーキットに特化したスポーツカー」というロータスの個性とは、異なるものとなっています。当然、顧客層も、これまでとは違ったものになります。
新しい製品を武器に、新たな市場に挑戦するロータスに注目しましょう。
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