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iPhone 14 Proで撮影した、プロの現場で撮影した4Kやドルビービジョン映像と違和感なくつなげる

Dolby Visionは個人でも手軽に楽しめる、iPhoneと組み合わせた活用事例をドルビーが紹介

2023年08月25日 15時00分更新

Dolby Visionはプロだけのフォーマットではない

 映画館やNetflixを始めとした高画質な映像配信で注目を集めているDolby VisionのHDR技術は、プロだけでなく個人の撮影でも身近なものになりつつある。スマホのカメラで手軽にDolby Visionの動画が撮影できる環境が整いつつあり、ライブハウスでの動画配信など、商業配信に活用するケースも出ているという。

 Dolby Visionで撮影可能なスマホの代表例は、iPhone 12以降のiPhoneだ。ほかにもOPPO、Vivo、Xiaomiなどが海外を中心に対応機種を展開中。スマホを使ったDolby Vision撮影は、中国やインドで特に人気が高い。Bilibili、Vimeo、Weibo、Naver Live Shopping、mojといった、Dolby Vision映像を高画質に保存できる動画共有サービスも登場している。

 特に中国市場は、グーグル、メタ、バイトダンスの3強が席巻するグローバル市場とは異なる6社を中心に市場が形成されている。その中でも、Weiboは5億8000万人、Bilibiliは2億8000万人ものユーザーが利用する大規模なサービスとなっている。また、韓国のネイバーはライブコマース用のプラットフォームでDolby Visionを活用しており、製品の質感やデザインを正しく消費者に伝えることに役立っているそうだ。MOJ(ShareChat)は携帯大国のインドで展開されているサービス。インドでは初めてDolby Visionに対応した。ショート動画の共有が可能となっている。

Hello 1103のお二人(左がHitomiさん)。Dolby Visionを使った配信以外にも、VRライブも定期的に開催。VRゴーグルをつけ、7.1.4chのシステムで360度のVJを楽しめる。新しい技術は表現の世界も少しずつ変えている。

 現時点では、YouTubeやFacebook/InstagramでDolby Visionの映像を投稿することはできないが、国内でも積極的に展開されているサービスとしてVimeoがある。国内の事例としては、吉祥寺NEPOでのライブパフォーマンスを収めた「Edge: Detection 2023 with Dolby Vision」を紹介。4台のiPhoneで撮影して配信する試みで、7月に実施したライブの様子などがVimeoで配信されている。

 説明会にはそのアーティストのひとつHello 1103のHitomiさんも登壇。ステージの壁面に設置した大型で高輝度のLEDパネルを前に演奏するシーンは普通のカメラで撮影した場合、パネルの部分が白トビしてしまうが、Dolby Visionを活用することでライブハウスで肉眼で見るのに近い迫力ある映像が撮れたという。音楽とVJなどの視覚効果を交えた映像は、暗所で見えにくい細かいパフォーマンスも、鮮やかな光の演出も的確に再現する。確かにDolby Visionの特性とマッチしていそうだ。インディーズシーンでのこうした実験的な試みも面白い。これを普段持ち歩いているスマホのカメラでストレスフリーで撮れる点は驚きだったという。 

iPhoneでDolby Vision撮影をする際に注意すべき設定(ドルビーのサイトから)

 なお、Dolby Visionで映像を撮影し、編集、共有する手順としては現時点では、最新世代に近いiPhoneを活用し、Macなどで編集し、Vimeoにアップロードするのが手軽だ。設定について多少の知識は必要だが、個人でも簡単に明暗差の広いシーンでの失敗が少ない魅力的な映像の撮影ができる。

 iPhoneで撮影するためのアプリは標準の「カメラ」や「Clips」のほか、「Filmic Pro」など本格的な機能を持つサードパーティ製アプリも活用できる。編集はClipsを使えばiPhone内で完結できるほか、Mac用のFinal Cut ProやiMovieなども利用できる。Final Cut Proを利用した場合は、詳細なカラーグレーディングを施した凝った映像の作成も可能となる。再生デバイスはMacBookやiPhone、iPadなどがDolby Visionの再生に対応。また、Vimeoなどを通じてDolby Vision対応テレビで再生すれば、大画面でDolby Visionの撮影映像を楽しむことも可能だ。

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