今回はソニーの最新ワイヤレスイヤホン「WF-1000XM5」と、最大のライバルになりそうなアップルの第2世代「AirPods Pro」を比べながらWF-1000XM5(以降、1000X)の特徴を解説します。
第2世代のAirPods Proは価格が3万9800円と、ソニーの1000Xシリーズと価格が近い(直販価格は4万1800円)ことからも、ノイズキャンセリング機能を搭載するワイヤレスイヤホンのライバルとしてよく並び称されます。
サウンドはウォーム系の1000X、クール系のAirPods
はじめに音質から聴き比べます。ソニーの1000Xはハイレゾワイヤレス対応であることから、比較する条件をなるべく揃えるために音楽プレーヤーはiPhone 14 Plusを選択、BluetoothオーディオのコーデックはAACに統一して聴きました。DSEE Extremeはオフにしています。楽曲はApple Musicで配信されているEGO-WRAPPIN'のベストアルバム「満ち汐のロマンス」から『Crazy Fruits』を試聴しました。
ソニーの1000Xはやはり音の密度が濃く、情報量に富んでいます。ボーカルは声の質感がとてもきめ細かく、目の前でボーカリストが歌っているような真に迫る力強さがあります。ピアノやホーンセクションは楽器の音色が鮮やかに響き、消え入り際まで濃厚な余韻を楽しませてくれます。ギターのカッティングは粒立ちが揃い、軽やかなリズムが心地よく鼓膜を刺激します。どっしりとした肉厚なウッドベースのリズムとのコントラストは、立体的なステージの情景を彷彿とさせます。
たくさんの楽器の音は分離感も明瞭。熱量にあふれる音が、クリアで見晴らしの良い音場にゆったりと満ちていくような、バンドの演奏は何度も繰り返し聴いても飽きがきません。ライブステージのようなリアリティを身近に感じさせるイヤホンです。
1000Xと比べながら聴くと、AirPods Proのサウンドもまた音のバランスがとてもよく、特に中高域の切れ味は1000Xに引けを取っていないことがわかります。爽やかな余韻の後味がAirPods Proの魅力。
一方でAirPods Proは、ボーカルの音像が1000Xに比べてわずかに痩せる印象もあります。中低域の情報量の豊かさは1000Xが優れており、ボーカルや楽器のメロディがさらに一歩前に迫るような距離感に違いが表れます。AirPods Proはドライなクール系、1000Xはしっとりとしたウォーム系なサウンドがそれぞれの持ち味です。
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