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コードインタープリターの使い方

仕事に使えるChatGPT データを分析して、パワポ資料を作ってもらう

2023年08月04日 09時00分更新

ChatGPTの知識からCSVファイルを作成する

 このようにCode Interpreterを使えば、ファイルをアップロードするだけでデータ分析ができるのだが、実はデータを用意しなくても、ChatGPTが持つ知識を利用してChatGPT自身にデータを作製してもらい、それを改めてアップロードすることで、自分が作ったデータを自分で分析するといったことも可能だ。

 さっそくデータを作ってもらおう。

「歴代アメリカ大統領のリストをCSVファイルとして作ってください。
 フォーマットは以下です
 名前, 所属政党, 出身都市, 就任年齢, 退任年齢, 就任期間(単位:月), 」

 というプロンプトを入力。アメリカ生まれのAIだし、さすがにこれはできるでしょ。

 「大変申し訳ありませんが、現在のシステム環境ではインターネット接続が無効化されているため、最新のアメリカ大統領の情報を取得することができません。」

 最初にこのようなことを言われたので無理かと思ったが、すぐに作成するCSVファイルの項目をリストしてくれた。所属政党が「例:None」となっているのが気になったのでそこを指摘することにする。

 「所属政党は Democratic, Republican, otherの3つから選ぶ形にしてください」と指摘。だいじょうぶそうなのでCSVファイルの作成を依頼する。

CSVファイル完成

 「歴代アメリカ大統領のリスト(CSVファイル)」が完成したのでダウンロード。

ダウンロードしたCSVファイル

 ダウンロードしたCSVファイルをExcelで開いたところ。問題なければあらためてこのファイルをChatGPTにアップロードしよう。

 アップロードができたら「この資料を分析して可視化してください」とざっくりプロンプトを投げてみよう。

3つの図版を生成

 「就任時の年齢分布」「任期(月単位)の分布」「所属政党の分布」の3つの棒グラフと、それぞれ簡単な説明文が生成された。

出身州別の分布

 「出身都市」を反映したグラフがなかったので追加で依頼。歴代アメリカ大統領の出身地(州)を多いものから順番に表示した棒グラフが生成され、下記の分析もあわせて表示された。

 「このグラフによれば、バージニア州出身の大統領が最も多く、次いでニューヨーク州、オハイオ州が続いています。これらの州はアメリカの初期の歴史において政治的に重要な役割を果たしていたことが反映されています。一方、ハワイ州やカリフォルニア州など新しい州からの大統領は比較的少ないです」

 このリストからさらに読み取れることがないか「他にこの資料から読み取れる知見はありますか?」と聞いてみると、「政党と就任年齢」「政党と任期」「出身地と任期「就任年齢と任期」などの関係を見てみるといいとアドバイスをもらえた。

 それを元に「政党と任期について分析し、適切な図を添えて説明してください」と依頼してみる。

政党別の大統領任期

 政党ごとの平均任期をあらわす棒グラフが生成された。こちらにも結果を分析した文が表示されているが、「このグラフから、民主党と共和党の大統領の任期の平均はほぼ同じで、およそ70ヵ月(約5.8年)であることがわかります」となっている。

 実際のグラフを見ると民主党(Democratic)はおよそ70ヶ月だが、共和党(Republican)はその他(Other)同様60ヵ月弱となっているので明らかに間違いだ。

 もちろん先程のように指摘を行えばすぐに正しいものに訂正してくれるのだが、やはり現時点では間違う可能性があることは頭に入れておく必要があるかもしれない。

 最後に、ここまでに作った図表と分析テキストをまとめたパワーポイントファイルを出力してもらった。

 最初に出てきたファイルは英語で書かれているうえにせっかく作ったグラフもまったく入っていなかった。

完成版PPTファイル

 あわてずにひとつひとつ修正をお願いしていくことで、最終的に意図通りのものができた。

 以上、Code Interpreterでできることをいくつか試してみた。とにかくこれまでできなかったファイルのアップロード/ダウンロードが可能になったのはとても大きい。

 「分析して」「視覚化して」「EAD(探索的データ解析)して」といったプロンプトを与えればそのデータを分析し、次のステップの示唆までもらえる、今のところまだ正確性にやや難があるとは言え、近い将来にはサラリーマンにとって理想のツールになる可能性がある。

 とは言え仕事で使用するとなると、3時間で25回の利用制限が大きくのしかかってくる。また、扱えるデータサイズも512MBまでとなってはいるものの、100MB程度のデータでもメモリ不足で処理できなくなってしまうこともあった。

 ChatGPTを使ってデータ分析をバリバリやりたい場合はやはりMicrosoft 365 Copilotの登場を待つ必要があるだろう。

 いずれにせよこの先、ChatGPTを使いこなすことで生産性が大きく変わると考えられる。いまのうちに慣れておくことは無駄ではないだろう。

田口和裕(たぐちかずひろ)

 1969年生まれ。ウェブサイト制作会社から2003年に独立。雑誌、書籍、ウェブサイト等を中心に、ソーシャルメディア、クラウドサービス、スマートフォンなどのコンシューマー向け記事や、企業向けアプリケーションの導入事例といったエンタープライズ系記事など、IT全般を対象に幅広く執筆。2019年にはタイのチェンマイに本格移住。
 新刊:7月19日発売「ChatGPT快速仕事術」、好評発売中:https://amzn.to/3r6ASOv

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