ゲームの市場規模は減少。そのなかで市場がさらに伸びる鍵は?
2022年はゲーム市場が初の減退!?その実情とゲーム業界の未来を浜村氏が語ったオンラインセミナーレポ
動きが加速するメタバースとVR
巣ごもりの時期に大きく注目されたメタバースとVRだが、この時期に仕込まれた施策がいよいよ始動しているという。PS VR2が発売されるなど、VRで動きはあったものの、まだ一般に普及したとはいえない状況。これからメタバースの発展にともなってVRデバイスも普及していくだろうと浜村氏は期待を込めた。
一方、各社のメタバースへの動きは急になりつつあるという。とくに国内においては携帯キャリアの動きが早く、NTTドコモやKDDI、ソフトバンクがそれぞれメタバースのサービスを開始し、さまざまなコンテンツでの集客をしている状況だとのこと。
どのプラットフォームも大きな課題になるのは“集客”だろうとも。そんな中、ゲーム開発会社や大手金融機関、大手ICT企業、商社など9社が協業し、“ジャパン・メタバース経済圏”創出に向けた基本合意書が締結。これは集客のしやすいゲームに目を付けたところが良いと浜村氏は感想を述べた。
また、セガ エックスディーと電通がRobloxプラットフォームを活用してメタバースによるブランディングサービスを開始するという動きも。セガが作るので楽しい空間になるだろうと、浜村氏は期待しているという。
Robloxは、2022年のDAUは前年比で2.3%増の5600万人になったという。Roboloxは子どもに人気とのことで、小学館のコロコロコミックが賞金総額100万円の「ROB-1グランプリ」を開始。浜村氏は法人でも個人でも、メタバースを楽しむ時代が来たのだと感慨深げに語った。
サイバー空間だけはなく、ARを使ったメタバースのアプローチこそ本流と言っているのがNiantic。同社をはじめ、さまざまなIPが、ARへの挑戦を表明しているという。
『モンスターハンター』や『信長の野望』といった家庭用ゲーム機のトップIPもARになった点。浜村氏は、ARもMRも、メタバースの1つの潮流として、今後も注目していきたいと述べた。
また、メタバースの個人参入も簡単になりそうとも。『Unreal Engine for FORTNITE』が発表され、Unrial Engineで『FORTNITE』の拡張ツールが作れるようになったという。
これで公開したコンテンツを収益化できるとのことなので、法人だけでなく一般クリエイターにも大きな魅力になるのではないかと浜村氏は語った。
まさにゲームの民主化に大きな役割を果たしそうだと、自身の想いを述べた。
一般の人がゲームを作るとなると、ゲームを作るのが簡単になるための工夫が必要になると浜村氏。Roboloxでは、AIを使った仕組み作りが進んでいるという。また、ユービーアイソフトがAIで脚本を補助するツールを発表している。
こういったツールの登場のおかげで、インティ―ゲームがより盛況になって来たとのこと。まさにゲーム制作の民主化が進んでいると感想を述べた。
ゲームのムーブメントをさらに支えるeスポーツ
世界のeスポーツの市場規模は、コロナが開けてリアルイベントが開催されるようになり一気に数字が上がって来たという。
サウジアラビアで大規模な大会が開催されたり、DAZNがeスポーツの配信を開始したり、さらには100 Thievesというeスポーツの強豪チームがゲームを開発したりしている。
コロナ後のeスポーツの大きな飛躍が期待されているのが、国内市場。'24年には150億を超える数字が期待されているという。国内でも大きな大会が開催されるようになり、有料観客の大参加型イベントも盛り上がりを見せるようになってきた。
今年復活したEVO Japanの来場者は3万5000人、配信の同時接続者が10万人以上いたということで、一般参加型のイベントも盛況を呈するようになってきている。さらにIPホルダーが開催する大会に大きな賞金が出されると発表され、参加者は目の色を変えているという。
ほかにもeスポーツの大会運営をする会社が東証で上場を果たすなど、日本のeスポーツを取り巻く環境も変わってきていると浜村氏。IOCがeスポーツ大会を開くことを発表したり、さまざまな国際大会が開催したりするなど、世界でもeスポーツが活性化するとも語った。
市場初の減退を経験したゲーム産業の未来は?
コロナ開けによって巣ごもり需要が減少し、ウクライナ進攻から始まった経済状況の悪化により、世界のゲーム市場は7%縮小。ゲーム産業の歴史の中でこんなことは初めてだったという。
そんな中、各社や各プラットフォームはそれぞれのビジネスモデルを展開しており、ここから徐々に盛り返していくだろうと浜村氏。
ただ、これだけでは市場の底上げにはならないという意見も。浜村氏は、そこで起爆剤となるのは「ゲームの民主化」でないかという。個人クリエイターを支援する環境も増えているので、これがゲームの民主化のフェイズを押し上げていく。
これにより、メタバースやゲーム関連のコンテンツが増え、結果として各プラットフォームを支える大きな力となり、再び成長曲線を描くのではなかと浜村氏は希望を込めて語った。
※参考資料提供:アスキー総合研究所
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