毎日暑いですね。ジサトライッペイです。昼日中にベランダの物干し竿を触ったらやけどしそうになりましたよ。それで思い出したのですが、そう言えば最近CPUで目玉焼きを作る類の記事。全然見かけなくなりましたよね。
昔のPC自作業界では「定番ネタ」の1つでしたが、コンプライアンスで自重してきた結果なのでしょうか。いつの頃からか、IT系メディアが積極的に扱うネタではなくなりました。
自らを振り返ると、少なくとも2009年までは、半導体で料理をする記事に携わっていた形跡が残っております。特集タイトルは「GPUで朝食を!PCパーツクッキング」。
今や黒歴史というか、デジタルタトゥーのようなもので気が重いです。編集部の若手が手を出そうとしたら、「いろんな意味で大変だからやめとけ!」といさめることでしょう。
黒歴史が気になる方はこちらからご覧ください
2009年の週刊アスキー自作PC増刊号に掲載した、特集記事「GPUで朝食を!PCパーツクッキング」をアレンジ転載した、2015年のウェブ記事になります。
きちんと食べたことをわかりやすく伝えることが肝心
実際、当時も「やるならきちんと食べること」、「食べたことがわかりやすいように作ること」と、上司にきつく釘を刺された記憶があります。そこで、僕が記事で最もこだわったポイントは、「おいしそうに見せること」です。
仕上がりが汚いと、「どうせ食べてないだろ!」とか、「食材を無駄にするな!」とか、そういったクレームは必至だからです。きちんと食べていたとしても、その真偽はなかなか伝わらないもの。したがって、見た目で勝負するほかなかったわけです。それがこちら。
ランチョンマットを購入し、それなりの見た目になるように配慮。取り分けると断面が汚くなりそうだったので、あえて料理は調理器具に入れたまま並べました。ちなみに、この調理器具はそのまま食器として活用しております。
食レポも交えて、徹底的に食べたことを伝える
で、仕上がった記事(2ページ特集)がこちら。
GPUの状態はさておき、どのように調理すればおいしくなるのかに終始してますね。この情報が一体誰の何の役に立つのかはなはだ疑問ではありますが。味も5つ星で評価しているあたり、「きちんと食べてますよ」感を強めているのでしょう。ここまでやったおかげか、当時のクレームはゼロで、おおむね好意的なアンケートが多かったと記憶しています。とはいえ、今の感覚だといかがでしょう?
僕は制作者なので正当な評価はできないのですが、今見ると鼻につく部分も。当時観たこともなかった「ティファニーで朝食を」という映画をもじった特集タイトルに、若き日の背伸びをした自分を見つけて、顔面真っ赤です。それっぽいことを、それっぽく飾り立てることにやっきだったのでしょう。恥ずかしいですよ、ほんと。
体感できる「学び」を得る実験を伝える名目ならアリなのでは?
というわけで、今の僕にとっては黒歴史に等しいPCパーツクッキングですが、製作が無茶苦茶大変という事情も、この手の記事を見かけなくなった大きな要因かと思います。クレーム対策の配慮もさることながら、単純に火加減(負荷と冷却のバランス)も結構難しいんですよこれ……。
もちろん、「食べ物で遊んではいけない」という至極まっとうな思考も理由の1つでしょう。しかし、理科のべっこうあめ作りのように、そこになんらかの知見が得られるわかりやすい実験方法を伝える記事と考えれば、そう悪い行為でもないとも思うのです。
「半導体は演算すると熱が発生し、その放熱部品であるヒートスプレッダーの表面温度は、料理ができるほど熱くなる」、という学びがそこにはあるわけですから。机の上で学ぶこともすごく大切ですが、実際にその現象を目で見て触って体感することもすごく重要です。炎天下の物干し竿で記憶を呼び覚ますことがあるほど、身体の奥底に刻まれる学びになりますゆえ。
だから、「やるなら食べろ、食べないならやめろ」を合言葉に、教育目的にコンテンツを作るぶんには今でも「アリ」だと僕は考えています。あと、こういった実験をマネする場合、最悪パソコンが壊れても保証外の行為になりますので、そこは自己責任でひとつよろしくお願いします。
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