週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

MMCXや2pin対応のイヤホンをワイヤレス化できる、Bluetoothアダプター

両耳に高性能DAPを入れる感覚、iFi audio「GO pod」を試す

2023年07月09日 09時00分更新

Pathfindeとの組み合わせでは音場の広さや明晰さを感じる

 GO podのデモ機を先行して使用できたのでインプレッションをお届けする。

 ケースはワイヤレス充電に対応。高価な製品らしく、宝石箱のような内装でライトアップまでするのがユニークで面白い。反面、サイズは大きめでジーンズの前ポケットにはなんとか入るというくらいの大きさだ。机の上に置いて使うのに向いている。なので持ち出して使用することもできる。

GO pod

 本体はタッチセンサーによって操作する。軽量なので耳への負担は少ない。

 いくつかのイヤホンを試してみた。もっとも音質の高さを実感できたのは、マルチドライバーのハイエンドイヤホンであるAstell & Kern「Pathifinder」だ。この組み合わせでは、ワイヤレスイヤホンで聞いているとは思えないほどの“鮮明な音”に驚く。音空間がとてもクリアで晴れ上がっていて、音楽とリスナーの間にベールのようなものがほとんど感じられない。高価なハイエンドDAPに相当する鮮明さだと思う。

GO pod

Pathfinderを装着したところ

 高域のベルの音が突き抜けるように明瞭であるのと同時に、低音のウッドベースの響きはとても重みを持って感じられる。こうしたPathfinderの持ち味が余すところなくダイレクトに伝わってくる。GO podのDAC性能の高さもさることながら、内蔵するアンプ性能がとても高く、イヤホンを十分に駆動しているのが感じられる。バランス駆動を実現しているからだろう。

 DAPで聴いていてもあまり感じられないような高いレベルの空間再現力も特徴の一つだ。楽器の音の三次元的な広がりを感じさせる包まれるような立体感にちょっと感嘆する。高性能イヤホンで聴いているので、左右の特性マッチングが高いのも理由の一つだが、GO podのPhase compensationデジタルフィルター機能が効いているのかもしれない。位相特性を向上させるものなので、空間再現力も高まるだろう。また、完全ワイヤレスイヤホンは、左右の回路が独立している。もとよりオーディオで言うところのデュアルモノの形態を有しているので、こうした高性能機材によりそうした素性の良さが発揮できているとも言える。

ケーブル選びが難しいSimphonio VR1も手軽に楽しめる

 次にシングルダイナミックの高性能イヤホンで使うためにイヤーループを2ピンに交換して、Simphonio「VR1」に交換した。

 VR1はハイエンドのシングルダイナミックイヤホンだ。セラミックを積層させて形成した14mmと大型のフルレンジ振動板という研究所レベルの技術が使われている。このイヤホンはケーブルなしで販売されていたが、実際に合わせるケーブルが難しくなかなか使う機会がなかった。その音性能を十分に発揮するようなハイエンドケーブルは8芯タイプになってしまい、太く重く嵩張って外で使用するには向いていないのだ。

GO pod

 ケーブルのいらないGO podで使用すると、手軽にその高い性能が発揮できるのが面白い。ベースの重さや深さがワイヤレス機器としてはではなく、ハイエンドDAPで聞いているような高いレベルを実現している。ここまでVR1の性能を引き出せるのはハイエンドDAPでも限られた機種になってしまうだろう。

 こうしてじっくり試してみると、ヘッドフォン祭のファーストインプレッションで書いたように「ハイエンドDAPと比べても遜色がなく、価格が10万円を超えていてもおかしくないと思えるほど」と書いたのは大袈裟ではなかったように思える。私がワイヤレスオーディオでいつも思うのは「ワイヤレス・オーディオの音が悪いのはワイヤレスだからではなく、ハードウエア側の性能の問題」ということだ。その主張の正しさをこのGO podに見た思いがする。もしかするとワイヤレスオーディオはケーブルがないことにより、さらなる音の向上が可能なのではないかとさえ予感させる製品だと思う。

 このようにGO podはまるで高性能のDAPが両耳に収まっているかのような高いレベルの再現力を持っている。ハイエンドの有線イヤホンを持ち、その性能を十分に発揮させながらワイヤレス化したいという人は、店頭に自慢のイヤホンを持ち込んで実際に試してみてはいかがだろうか。

■関連サイト

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう

この連載の記事