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空しさで泣いた孫正義、いまはAIと壁打ちする日々

2023年06月26日 08時00分更新

今回のことば

「数日間に渡って、大泣きした。悔しいとか、悲しいのが理由ではなく、空しいのと残りの人生に対する焦りが理由。私がなりたいのは、義務感に捉われた経営者ではなく、人類の未来をデザインするアーキテクトである」

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(ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長)

孫氏はめちゃくちゃ忙しい

 「反転攻勢の時期が近づいている」――。

 ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長は、2023年6月21日に開催した第43回定時株主総会において、1時間50分に渡って総会の議長を務め、そのなかで、自らがいま取り組んでいることや、過去8カ月間の心境の変化などについて説明した。

 孫会長兼社長は、「孫さんは、大赤字を出して、恥ずかしいから引っ込んでいるのではないという説があるが、私は、とても楽しく、とても活発に動いている。めちゃくちゃ忙しい」とし、「いま関心があり、仕込み中なのは『AI革命』である。『AI革命』がいよいよ爆発する予感をヒシヒシと感じており、そのための準備を着々と進めている。ソフトバンクグループはAI革命の先端を走る。そろそろ反転攻勢の時期がやってきそうだ」と切り出した。

 「めちゃくちゃ忙しい」という理由は、発明に没頭しているからだという。

 「19歳の右脳が活発な時には、1日1件ずつの発明を目指し、年間で250件ぐらいの発明をした。だが、仕事をはじめてから経営者としての責任を果たすために、左脳の働きを中心にして、45年間を過ごしてきた」と前置きし、「2022年10月から、右脳を再活動させ、8カ月間で630件の発明をした。この勢いだと、1年間で1000件弱の発明ができる。大半が駄作だと思うが、なかには自分でもびっくりするような、間違いなく人類の未来に大きな影響を与えるものを思いついた。いまは、私個人のために5つの特許事務所が活動しており、出願したり、登録手続きをしたり、あるいは公開をせずに製品を作りに行くという意思決定を行うものもある。右脳が活発に動いて、創造性を発揮でき、幸せいっぱい、忙しさいっぱいでやっている。これは、結果的にはソフトバンクの事業経営にも大きく役立つことになる」と語る。

 社長室は24時間3シフト制で、土日、祝日も稼働しているという。午前3時や4時に、起きて、思いついたものをその場ですぐに発明ノートに書き、それを撮影して、社長室に送信し、5分以内に返事がきて、すぐに特許申請の手続きに入る体制だというから、孫会長兼社長のまわりも「めちゃくちゃ忙しい」といえる。

 「ソフトバンクグループの仕事は、『後藤くん、やっておいてくれ』と言っている。経営者としては、無責任極まりないが、私は、人類の未来の本質に関わることに邁進している。それができるのは、armがあるからだ。armが持つ力を中核に据え、AIが人類の未来に与えることができる根源の発明や発案を行っている」という。

 630件の発明のテーマの大半が、「超人類」に関するものだという。「人々がまだ見たことがない、聞いたことがない、触れたことがない世界を考え、世の中にないものをイメージし、理論的に作り、具体性を持たすことができれば、それは発明になる。『超人類』の誕生が目の前に迫ってきている。だから、時間がない、手が足りない。それで私は忙しい」と語る。

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