Unreal Engine 5.2でも爆速
続いて、最新版ゲームエンジン「Unreal Engine 5.2」(UE5)使用時の性能を検証していきます。
UE5を使ったゲーム開発で頻繁に利用する機能として「ライトビルド」という機能があります。これはゲーム中に登場させる物体(オブジェクト)にどのようにライトの影響を受けるのかを計算するもの。物体の配置を変更するたびに再計算をしないと正確なライトの影響を受けた画像にならないということもあり、必ず必要になる機能です。
ライドビルドの品質は「プレビュー/中/上/プロダクション」と4段階に分かれていて、品質が高いほどライトのデータは正確に生成されますが、計算時間も長くなります。ゲーム開発が後半になってくると、製品版と同等の高品質なライトビルドで確認する必要が出てきます。そのころには全体的なデータサイズも大きくなっているため、ライトビルドが速いかどうかは、ゲーム開発の効率に大きな影響を与えます。
ライトビルドは基本的にCPUが計算処理をするため、CPUの性能が計算速度に直結します。それぞれのマシンでどんな違いが出てくるのか、「プレビュー/中/上/プロダクション」それぞれで検証しました。
ビルド対象にしたデータは、UEマーケットプレイスで販売されているアセットの「Tropical Jungle Pack」のサンプルマップ。プレイヤーキャラクターと仮定してVRM4Uプラグインを使い、開発時のチェック用に使っているキャラクターデータ「QuQuオリジナルアバター “U”」を読み込んでいます。マップに登場するオブジェクトは60種、合計308個。335万ポリゴン、約200メートル四方のジャングル空間です。感覚的には一般的なロールプレイングゲームの1ステージ分程度のサイズです。
結果としては、Ryzen9/4090機とi9/4090機はほとんど差がないということになりました。CPU性能がそのまま出ている印象です。ただ、あらためて驚かされるのは計算速度の爆速さ。プレビューが40秒台であることは言うまでもなく、プロダクションでも3分という速さです。
Ryzen9/4090機 | i9/4090機 | i7/A6000機 | |
---|---|---|---|
ライティング品質 | 生成時間(秒) | ||
プレビュー | 46 | 51 | 49 |
中 | 66 | 64 | 80 |
高 | 106 | 101 | 129 |
プロダクション | 185 | 182 | 239 |
ライトビルドは時間がかかるので作業を中断させる要因にもなりやすい機能です。しかし、クオリティが中/高であっても1~2分で生成できるため、普段の制作時にも、気軽に使える速度です。開発チームが殺気立ってくる開発後半、CPUパワーの高さにはかなり助けられることになるでしょう。
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