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流通のあり方、共通価格や量販店の実需に合わせた生産

メーカー主導で価格をコントロールすれば、価格の安定性を取り戻せる、パナソニック

2023年06月19日 08時00分更新

結局求められる強い商品力

 このように、パナソニックは、国内トップの白物家電メーカーとして、様々な形で、流通改革に取り組んでいる。とくに新販売スキームは、消費者、流通、メーカーの「三方良し」を目指した大掛かりな流通改革となる。

パナソニック品田CEOのひとこと

「日本は、少子高齢化の時代を迎え、内需が減少してくるのは明らかである。しかも、日本の家電業界はオーバーストアになっており、グローバルに見ても特殊な競争環境にある。パナソニックは、国内家電市場のトップメーカーとして、業界全体の発展を考え、需要が縮退したときに、過当な競争が起きないように備えをしなくてはならないと考えた。その問題意識をもとにスタートしたのが流通改革である。価値があるものを、価値に見合った価格で流通させたい。新販売スキームは、短期的な収益改善が目的ではなく、中長期的な視座での取り組みである」と大儀を語る。

 そして、「新製品の発売直後の値段と、ライフエンドに購入する値段とに、極端な差があるというのは、お客様を裏切っているのではないか。購入した2カ月後に、その商品の価格が5万円下がっていたら、がっかりするだろう。これはやってはいけない。商品の価値に見合った価格で、いつでも買い求められる時代がくることを目指している」とする。

 こうした新たな流通施策を下支えるするのは、行き着くところ、強い商品力ということになる。

 現在、パナソニックでは、商品力の強化に向けて、顧客インサイト起点で実用化価値を絞り込む「引き算の商品企画」を実践しているほか、2023年度からは、商品コンセプト構築から開発、市場投入までを、職能横断の1チーム体制で取り組むME(マイクロエンタープライズ)制度による商品が市場投入されることになる。また、グローバルの競合企業と対峙できる原価力やスピード力を持った普及価格帯の商品も強化。子供がいないノンファン世代や、Z世代、高齢者向けの多様なニーズに対応したモノづくりも推進している。

 新販売スキームの浸透は、商品力の強化との両輪が大切になる。強い商品を継続的に投入することが、新販売スキームの定着を速めることになりそうだ。

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