6月に開始された楽天モバイルの新プラン「Rakuten最強プラン」は、auローミングでの接続時もデータ通信が無制限になったのが目玉だが、名称とおりに“最強”になったのだろうか。実際に使ってみての使い心地を検証する。
少なくとも「Rakuten最強プラン」で
以前から悪くなった部分はない
楽天モバイルの料金プランが、「Rakuten UN-LIMIT VII」から「Rakuten最強プラン」に既存ユーザーも含めて変更された。料金が3GBと20GBと無制限の3段階で切り替わるなど、主な内容はこれまでと基本的に変わらない。
その上で「パートナー回線」と呼称している、auとのローミング(auのネットワークを利用すること)について、従来は段階的に止めていくとしていた方針を今後も積極的に活用すると転換した。そのため人口カバー率では、楽天モバイルの自社ネットワークのみの98.4%ではなく、auローミングを含めた99.9%という数字をアピールしている。
加えて、これまで月5GB以上使うと最大1Mbpsになったauローミング時の制限を撤廃した。たとえば、地方在住でauローミングのエリアしかない場所を中心に使っているユーザーでも、すぐに速度制限がかかるということはなくなる。さらに、これまで楽天モバイルとauのネットワークが切り替わるときに途切れるなどスムーズに行かなかった点を改善するとしている。
auとまったく同じ通信条件ではないが
それは必ずしもデメリットではない
ここまで紹介したような楽天モバイル側のアピールポイントだけを紹介すると、6月以降は楽天モバイルのユーザーは、auと同じエリアで使え、しかも月3278円でデータ無制限に使えると感じるかもしれないが実際は少し違う。
au(UQ、povoを含む)やauのネットワークを使ったMVNOでは、4G LTEでも複数の周波数帯でサービスが提供されており、条件がよければその周波数をまとめる「キャリアアグリゲーション」でより高速、かつ安定した通信が利用できる。しかし、楽天モバイル向けのauローミングではこうした機能は提供されない。
楽天モバイルの契約者は、基本的には楽天モバイルが独自に整備したネットワークを使い、まだエリカが進んでいなかったり、電波が届きにくい場所の一部で、楽天モバイルが借りたauのネットワークに接続する。そして楽天モバイルユーザー向けに提供されているのはプラチナバンドとも呼ばれる800MHz帯のバンド18/26だけ。5Gや他の周波数は貸し出されていない。つまり電波は繋がっても、必ずしも快適な通信ができるとは限らない。また、人口が希薄な地域では、auではエリア内だが、楽天モバイルにはローミングが提供されていない場所もある。
そうは言っても、楽天モバイルが「Rakuten UN-LIMIT VII」から「Rakuten最強プラン」に変わり、マイナスにはなっていない。auのネットワークのすべてを使えるわけではないことをデメリットと主張する人もいるが、それ自体はこれまでと変わらないなので、従来と比べて悪くなっているわけではないのだ。
自分にとって楽天モバイルはかなりいい感じになってきた
では実際のところはどうか。筆者の行動範囲では、以前からauよりも楽天モバイルのほうが電波状況が言いケースが多く、auでは圏外にならないまでも電波が弱く、通信が途切れがちになることが見られた。そんな状況で楽天モバイルで圏外になってしまう場所をauがカバーしてくれるとなると、筆者にとってもは楽天モバイルのほうがauよりも上となる。
実際、今まで楽天モバイルで圏外になりそうなところで、少し待つとアンテナの本数がパッと多くなる。auのローミングでサポートしてくれるようになったのではないかと感じられ、明らかに圏外となるケースが減っている。
筆者のメイン機はドコモMVNOと楽天モバイルの2枚のSIMを挿しており、主にドコモMVNO側で通信していたが、6月からは楽天モバイルをメインに変更しても、圏外にならないので不安が減った。昨今の都市部におけるドコモネットワークの不安定さを考えると、楽天モバイルのほうが快適なときもあるくらいだ。
つまり、筆者の行動範囲では割と安定して通信できていた楽天モバイルが、圏外になるところが減って、さらに使いやすいものになり「最強」に一歩近づいたと言えそうだ。
ただし、楽天でもauでも圏外になるところは使えない。そこでドコモMVNOがサブ回線にあれば、自分にとって最強クラスの組み合わせになっているとも言える。
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