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オフィスから紙が消えつつあるなか、リコーと東芝テックのジョイントベンチャー設立へ

2023年06月12日 08時00分更新

今回のひとこと

 「今後、複写機・複合機はさちっていく。リコーとのJVによって、グローバルトップのソリューションパートナーを目指す。これは、5年後、10年後を見た上での総合的な判断であり、日本を元気にすることにもつながる」

東芝テック 錦織弘信社長

(東芝テックの錦織弘信社長)

複合機向け共通エンジンの開発と生産で提携

 リコーと東芝テックは、2024年第1四半期に、複合機向け共通エンジンの開発と生産をするJV(ジョイントベンチャー)を設立すると発表した。

 リコーが85%、東芝テックが15%を出資。今後、数年をかけて共同エンジンを開発し、リコー製コントローラと東芝テック製コントローラにそれぞれ搭載。リコーブランドおよび東芝ブランドの複合機を、両社が継続的に販売する。

東芝テック 代表取締役社長の錦織弘信氏(左)と、リコー 代表取締役社長執行役員の大山晃氏

東芝テック 代表取締役社長の錦織弘信氏(左)と、リコー 代表取締役社長執行役員の大山晃氏

 コントローラやアプリケーション、ワークフローの構築においては差別化しながら、それぞれのチャネルを通じて、それぞれの顧客に販売。リコーが持つ中小企業からグローバル大手顧客までのオフィス用途の強みと、東芝テックが持つ流通業や製造業などの特定業種での強みを生かすことができるため、それぞれに補完できる関係だという。両社をあわせるとA3複合機の世界シェアでは20%超になるという。

単なるベンダーからの脱却を目指す、東芝テック

 東芝テックの錦織弘信社長は、「JVが生み出す競争力があるエッジデバイスを活用しながら、ワークフローや働き方変革といったDXを促進し、データマネージメントソリューションをより拡大していきたい」と語り、「音声でコントロールパネルを操作できる使い勝手の高さや、バーコードスキャンとの連携によるソリューション提供などが、東芝テックの複合機が評価されている部分である。バーコードプリンタを活用した工場での在庫管理やSCMとの連携、RFIDと複合機を融合したソリューションの拡大により、オフィスと現場をつなぐ独自のソリューション提案につなげていく。顧客基盤が東芝テックの財産である。タッチポイントを生かしたアプローチを進めていく」と語った。

東芝テックの錦織弘信社長

 東芝テックは、国内での事業展開に留まらず、海外でも59社の拠点を展開。全世界で稼働している複合機は約140万台に達するという。また、小売店に導入されているPOSは、約314万台に達し、全世界のシェアは約23%と首位。とくに、日本でのPOS導入シェアは約5割に達しており圧倒的だ。さらに、全世界に1380人のソフトウェアエンジニアを擁しており、今後は、米国を中心に、3割増となる約1800人体制にまで拡大させるという。

 錦織社長は、「2020年に社長に就任し、単なるベンダーから、ソリューションパートナーに代わりたいと言ってきた。ハードウェアを提供して、保守メンテナンスを提供するだけでなく、顧客が持つデータを利活用し、ソリューションを提供しづけるパートナーになることを目指している。競争力のあるハードウェアに、ソフトウェアの力を加え、素早く、きめ細かいカスタマイズにも対応していく。将来的には、POSを導入しているユーザーが、リコーの複合機を利用している場合にも、それをつなげたソリューションを提供することも考えている」とする。

スリム化と強い事業構造への変革を進めるリコー

 一方、リコーは、2021年度にカンパニー制を導入し、ハードウェアの開発、生産を行うリコーデジタルプロダクツと、ハードウェアを活用したデジタルサービスを提供するリコーデジタルサービスに、カンパニーを分割。ハードウェアの技術蓄積を見つめなおした上で、徹底的にスリム化した強い事業構造への変革を目指している。

リコーの大山晃社長

リコーの大山晃社長

 リコーの大山晃社長は、「リコーは、デジタルサービスの会社への変革を進めており、デジタルサービスを支える独自のエッジデバイスの強みが重要になる。そこにおいて、JVは大きな意味を持つ。強いエッジデバイスと、強いモノづくり力が、リコーのデジタルサービスカンパニーとしてのさらなる飛躍に欠かせない」と語る。

 リコー独自のエッジデバイスやPFUのスキャナー、JVから提供される複合機や新たなエッジデバイスなどを活用し、同社のサービス提供基盤「RSI (RICOH Smart Integration)」プラットフォームを通じて、デジタルワークフローによる価値を提供するという。

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