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大手医療機器メーカーの技術を応用

デノン、個人最適化技術を搭載した完全ワイヤレスの新ブランド「PerL」

2023年06月20日 19時30分更新

PerL ProはSnapdragon Sound対応でロスレス伝送にも対応

 PerLシリーズの特徴は自動で使え、優れた精度を持つ個人最適化機能だが、上位機種のPerL Pro(AH-C15PL)は音質面でも最先端かつハイエンドの仕様となっている。振動板はベースモデルのPerLが樹脂製であるのに対して、PerL Proはチタン素材を使用した3層構造。加えて、アダプティブ・ノイズキャンセリング機能、骨伝導マイク内蔵、マルチポイント接続、ワイヤレス充電、ハイゲインモード(+6dB)なども搭載。

PerL Proの仕様

 5バンドのEQ機能によって、個人最適化した再生音をさらに自分好みに調節できるほか、ヘッドホン向けの空間オーディオ(3D仮想サラウンド再生)技術「Dirac Virtuo」の利用ができるなど、全体にPerLを上回る機能を持つ。外音取り込み機能の聞き具合やタッチ機能も細かにカスタマイズできる。

 さらに、クアルコムの“Snapdragon Sound”にも対応。Bluetooth接続時でも44.1kHz/16bitのロスレス再生(aptX Lossless)や最大96kHz/24biのハイレゾ再生(aptX Adaptive)が可能となっている。aptX Voiceによるワイドレンジで高音質の通話(最大32kHz)や低遅延再生(48ms)も特徴だ。

 一方のPerL(AH-C10PL)は、ここまでの高音質機能は持たないものの、特徴である個人最適化機能は利用できる。

スペックの比較

パッケージ内容

 試聴してみた感想としては、個人最適化の効果は高い。筆者の場合、同年代の平均と比較して高域や中域の聞こえはいいものの、低域が弱めに聞こえ、かつ左右の耳で音のバランスが違うという計測結果が出た。ここは以前からなんとなく感じていたところではあったが、視覚的にそれが分かるのは興味深い。そこを補正した状態で聞くと、まずボーカルが中央にしっかり定位するなど、音のフォーカスが明確になるのに加えて、音に包まれている感じが増し、より広い空間にいる感覚が得られた。抜け感の向上なども含めて、音楽のディティール感や全体像がよくわかるようになった。

計測後の画面。正円に近いほど、年代別の平均値に近い特性となる。

 例えとして適切かどうかは分からないが、同じステレオ再生でも部屋のレイアウトの都合であまりセッティングにこだわれない環境で聴くスピーカーでの再生音と、壁の反響も含めて、左右対称、均等な距離に配置したスピーカーをベストなリスニングポジションで聴く再生音の差と言ってもいいかもしれない。

 ああ、なるほどイヤホンの音ってこういうものだと思っていたが、音は本来こう聞えているべきなのだなぁという気持ちがしみじみわいてくるのが感慨深い。

アプリ画面。パーソナライズのオン/オフに加えて、低音量の調節、空間オーディオ再生のオン/オフなども可能となっている。

 PerL Proは個人最適化を書けない素の状態でもかなり品位の高い音で、トーンバランスの面でも解像感の面でも高水準。一般的な完全ワイヤレスイヤホンよりも頭が抜けた再生音と言う印象ではあるが、個人最適化のオン/オフ、そしてDirac Virtuoのオン/オフによって得られる差はかなり大きい。

 ベストを言うなら、スペック的にもPerL Proを選びたいが、個人最適化による変化はかなり大きいので、PerLでもその恩恵は十二分に感じられるだろう。最近、話題に上る機会が増えてきた個人最適化機能だが、音源に含まれる情報を本当に聴くとどうなるか、正確な音に近づきたいと思っている人にとって、PerLは魅力的な選択肢になるに違いない。

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