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MSIが開発中の新型VGAクーラーをCOMPUTEXでお披露目

2023年06月07日 13時00分更新

 COMPUTEX TAIPEI 2023のMSIブースで、開発中の新型ビデオカードクーラーをいくつも見かけた。新GPUが出るたび発熱量が右肩上がりに増えていくビデオカード。その冷却を担うクーラーの開発にもMSIは余念がない。

 近い将来、製品に実装されるかは分からないが、興味深い展示内容だったので、これら試作クーラーを紹介していこう。

1mm厚の極太フィン
「Dynamic Bimetallic Fins」

 特許取得済みの冷却機構が「Dynamic Bimetallic Fins」だ。一般的なフィンの厚さは0.25~0.35mmなのに対し、このクーラーでは1mmとぶ厚いフィンにすることで放熱性能を高めている。早ければ次に発売されるハイエンドビデオカードからこのクーラーを搭載するという。

新型空冷クーラーのキモとなる「Dynamic Bimetallic Fins」

発熱量が大きいGPUとビデオメモリー周りに銅を使用することで熱伝導率を高めている

空冷と水冷を融合させた
「FushionChill」

 「FushionChill」は、空冷と水冷のハイブリッドクーラーなのだが、簡易水冷をビデオカード内に無理やり押し込んだと言ったほうが正しいかもしれない。現行の空冷クーラーよりも10度冷えるという。ただし、現状ではクーラーだけで4スロット程度の厚みになってしまうため、実用化のためにはさらなる研究が必要とのこと。

空冷と水冷のハイブリッドクーラー「FushionChill」

簡易水冷をビデオカードのサイズに収めるのがコンセプト。見た目は空冷クーラーそのもの

ラジエーターのフィンに特徴があり、上半分がGPUの熱を吸って温まった冷却液、下半分が冷えた冷却液が通るのだが、温まった冷却液が通るところは風通しを良くするためにフィンの間隔を広くしている

ヒートパイプをベイパーチャンバー化した
「MSI DynaVC」

 空冷クーラーでの採用を検討している新技術が「MSI DynaVC」だ。これはベイパーチャンバーの仕組みをヒートパイプに転用したもの。

 「GeForce RTX 4090 SUPRIM X 24G」に搭載されている空冷クーラーではベイパーチャンバーが吸った熱をヒートパイプに移して、それをヒートシンクで放熱しているが、新開発のDynaVCではベイパーチャンバーが管状に伸びて直接ヒートシンクに熱を伝える構造になっている。

 ベイパーチャンバーの中の冷媒が管の先端まで行って冷却されて戻ってくる循環ができるので、ヒートパイプを経由するよりかは冷却効率が上がるという。

「MSI DynaVC」を搭載した新型クーラーの試作機

ベイパーチャンバーとヒートパイプではなく、パイプを含めこれ全部がベイパーチャンバーになっている

 開発中のビデオカードクーラーを一挙に3タイプも公開したMSI。これら試作機の完成度からして、ビデオカード市場での覇権を本気で狙っているように思える。オーバークロック向けユーティリティの「MSI Afterburner」でその名を轟かせた同社が、次のターゲットとして捉えたのがクーラーなのだろう。ビデオカードの冷却能力で他社を圧倒すれば、シェア拡大はもちろん、オーバークロックモデルの幅が広がるからだ。MSIから今後発売されるハイエンドビデオカードは要チェックと言えそうだ。

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