「Quest 3専用タイトル」は登場する?
もうひとつの注目はゲームタイトルです。
Quest 3の発表後に、オンライン上で開催されたメタの新作ゲームを紹介するイベントで、過去に大型タイトルとして投入されたアクションRPGの続編「Asgard’s Wrath 2」が発表されました。本当に実際にこの映像が出せるのかという一抹の不安はあるものの、Quest 3基準で開発されているタイトルには見えます。性能向上の恩恵をしっかりと受けており、今までよりも迫力のあるゲーム内の映像が紹介されていました。Quest 2、Quest Proにも対応するため、どれぐらいハードにより体験に差が出るのかは比較される対象のゲームとなってくるでしょう。
ゾンビシューターとして人気を得た続編の「Arizona Sunshine 2」などのタイトルをずらっとそろえてきましたが、動画はQuest 3で撮影したものではなく、PCと接続することでかなり映像が豪華になるPC版に見えるので、Quest 3の性能向上の真価はまだまだ見えないという印象ではありました。
Quest 3独占タイトルはおそらく来年以降になるだろうと予想します。2021年にオープンワールドゲームとして人気を得た「グランド・セフト・オート・サンアンドレアス」が移植されることが発表されていたのですが、その後続報がありません。元々が「プレイステーション2」向けのソフトではあったのですが、それでもQuest 2ではスペック的に相当厳しいのではないかと考えていました。ただ、Quest 3のスペックなら実現可能ではないかと考えます。そのため、Quest 3専用タイトルとして出てくる可能性が高まったと考えています。この辺は、9月27日のMeta Connectで情報が出てくるのかもしれません。
ただ、メタはゲーム系のビジネスのエコシステム作りが、本当にうまくない印象があります。
現在はゲーム会社がメタに企画を通して承認されないと公式ストアの「Oculus Store」で販売ができません。メタもVRタイトルの品質を保つために、年間リリースが100タイトルくらいに意識的に制限をかけています。また、企画審査が通っても、3ヵ月間の品質の事前チェックも必須です。それ以外のタイトルはストア外アプリ「App Lab」で自由に販売できて、成果が出れば正式ストアに移れるという仕組みにはなっているのですが、現実的に販売は非常に難しいです。資金力の乏しいインディーズやベンチャーにとっては非常に厳しいスキームなんですよね。
この構造が昨年のタイトル不足につながったのではないかと個人的には見ていて、Quest 3も、またすぐにタイトル不足の問題に直面するのではないかと懸念しています。メタは自社で市場をコントロールしたいという意欲が根強いんです。この戦略についても特に変更が入る兆しは、今回の発表からは感じ取れませんでした。Quest 3登場によって、多くのデベロッパーにとって魅力的な市場に感じられるのかは、若干疑問を感じる点です。
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