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長年取り組んだから到達できたKSシリーズの音

本当に音の洗練度が増した! クリプトンの新ハイレゾUSBスピーカー「KS Gシリーズ」

2023年05月12日 20時00分更新

音質調整の効果は確かに感じる

 KS-11とKS-33はともにデンマークのTymphany社製のフルレンジユニットを採用。コーンケーブ型のフルメタルコーンは質が高く、小口径フルレンジならではの定位の良さが感じ取れる。ユニット的にはGシリーズも同じものを使用しているが、緻密な音質調整を経て、傑作ユニットの潜在能力をより高く引き出せたとする。

KRIPTON KS Gシリーズ

Gシリーズは、フロントにgのシルク印刷があしらわれている。

 ダイアナ・クラールの「California Dreamin'」を使ったデモを聴くことができた。KS-11とKS-11Gの比較では、一聴して抜け感の向上が違うと感じた。中域に寄ったウォームな表現がワイドレンジな雰囲気となり、子音など細かい音の表現も立つ。またボーカルと伴奏の音の対比が明確になり、音が横方向にさらに広がる。ただ、ダンプドバスレフにしないことで、低域の表現には差が出たが、高域は同じだし、周波数特性のウェイティングも変えていないという。バランスの重要性を改めて実感できた。渡邉氏によると「抜け感の改善によって、ステージイメージが明確になるので、定位の奥行き感も向上する」のだという。

 試聴した中ではKS-11とKS-11Gの差が最も大きく、KS-33とかなり近い音の再現ができていたように思う。

 KS-33Gはすでに述べたような周波数特性の調整を加えているが、低域の存在感や支えが良くなり、芯の据わった音の再現が印象的だった。KS-33は全体にクールな感じの表現だったが、低域とその悪影響をなくす上の帯域の調整によって、密度感があってニュートラル、素直なモニターライクな音の完成度が高まったと思う。シングルコーンでこれを実現するのは難しかったとのことで、チューニングの困難さを垣間見たような気がした。

 ほかの2機種はUSB接続での試聴だったが、KS-55HGは基本的な音調を変えていないということで、Bluetoothコーデックの違いによる差を聞いてみた。新モデルでは唯一の2ウェイ機だ。押し出しアルミ材で作ったエンクロージャーは円形でさらに底面を斜めにカットしてスラントさせるという手の込んだつくり。フルデジタルアンプは各ユニットに独立して搭載している。クロスオーバーもデジタル領域での処理となるため、位相ずれなども原理的に生じない。

 まず感じたのはLDACではないBluetooth再生でも相当に高い水準の音が聴けるという点だ。ただ、LDACはビットレートに余裕があることもあり、高域などに感じるちょっとした荒れや付帯音などが減り、より整った再現となるのが分かる。LDAC伝送自体は、Android 7搭載など比較的古いスマホでも利用できるので、再生のハードルがそれほど高くないのもいい。

 ちなみに、ウォークマンでのデモもあったが、ソース機の違いによる差もあるようなので、ワイヤレスでもさらに高音質を追究したい場合にいろいろと試せるのも面白いところだ。

先駆者ならではの貫録を感じる、洗練された音

 最近ではブックシェルフスピーカーにアンプや通信モジュールを追加して、ワイヤレス再生対応としたモデルが各社から盛んに発表されているが、KRIPTONとして取り組んでいるのはこうした既存モデルを無線化したものではなく、デスクトップ再生を主体に、小さな筐体で大きなスピーカーに匹敵する音、感動する音、住環境に合いライフスタイルに合った音を提供することなのだという。

 特にデスクサイズの小型筐体と、定位感などその筐体の特徴を生かした音作りにこだわっている。当面はこうしたデスクトップ再生のスタイルを中心に展開していくということだが、長期間続くシリーズであるという点も納得できる音が、さらに進化した点を実感できた。

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