週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

「外折り式」になったかもしれないOPPOの折りたたみスマホの歴史を見た

2023年04月03日 12時00分更新

OPPOは積極的に折りたたみスマホを開発するメーカー

 OPPOは今年2月にバルセロナで開催された「MWC Barcelona 2023」で縦折り式スマートフォン「Find N2 Flip」のグローバル展開を発表しました。すでに中国では横折り式の「Find N2」とともに発売されているモデルで、この2機種の投入によりOPPOは中国の折りたたみスマートフォン市場でシェア1位の座を獲得しています。

中国で販売中のFind N2(左)とFind N2 Flip(右)

 しかし、この2つのモデルが登場する前までは、別のスタイルや形状も検討されていたようです。中国・深センにあるOPPOのショールームを訪問したところ、Find N2シリーズ以前に検討された折りたたみスマートフォンの試作機がいくつか展示されていました。これらは動作する試作機か、あるいはモックアップであり不動品であるかは不明です。

製品化される前のOPPOの折りたたみスマホ試作モデル

 OPPOの折りたたみスマートフォンは2021年12月に発表された横折り式の「Find N」が最初のモデルとなります。本体を開くと7.1型のディスプレーを搭載したやや小型のモデルですが、開発当初は他社同様に、8型弱のディスプレーを搭載する製品として開発されていたようです。2018年4月時点での試作機は、本体サイズはFind Nよりも大きいことがわかります。ちなみにサムスンが折りたたみスマートフォンを初めて世の中に見せたのは2018年11月のこと。OPPOもすでにこのころから折りたたみスマートフォンの開発を進めていたようです。

他社とほぼ同じサイズの折りたたみモデル試作機

 またファーウェイの「Mate X」シリーズと同じ、ディスプレーを外に折りたたむタイプのモデルも試作していたようです。2018年8月時点ででき上がっていたモデルは、ディスプレーの裏側の片側にデュアルカメラを搭載しており、この部分がストッパーとなって折りたたんだディスプレーを留める構造になっています。

ファーウェイと同じの外折りタイプも開発されていた

 2019年6月時点では外折りの構造もしっかり曲がるように進化。背面側の端のストッパー部分も幅がやや広くなっているように見えます。しかし、結局OPPOは外折り式の製品化はやめ、また他社の横折りスマートフォンと同じサイズのモデルも投入しませんでした。

外折り式をさらに進化させていったが、結局この構造、このサイズは製品化は中止に

 一方、2019年3月には各社の横折り式と縦折り式とのちょうど中間サイズくらいのモデルの開発も進んでいました。「U型」とOPPOは呼んでいるようですが、ある程度のコンパクトさと大きい画面を両立させようとしたのでしょう。結局この横開き式はU型よりも縦に長くなり、Find Nとして市場に投入されます。

横折り式と縦折り式の中間サイズの「U型」

 縦折り式は2020年1月に今のFind N2 Flipの原型らしきモデルが開発されています。アウトディスプレーはカメラの横に小さく配置される計画だったようです。2020年2月に発売されたサムスンの初代縦折り「Galaxy Z Flip」はアウトディスプレーがありませんでしたから、このサイズでも画期的なものだったのです。

小さいながらもアウトディスプレーを搭載した縦折り試作機

 その1ヵ月後、2020年2月の試作機はアウトカメラが大きくなり、アウトディスプレーもさらに大きくなっています。なお、こちらもアウトディスプレーは実際には搭載されておらず「これくらいのものを内蔵する」というアイディアが表示されているだけですが、閉じたままでもある程度のことができるようにするという考えはこの頃からあったのでしょう。

アウトカメラとアウトディスプレーを大型化

 アウトディスプレーはスマートウォッチの画面サイズくらいでしょうか。アナログ時計を表示できるだけでもスマートフォンの背面を楽しくカスタマイズすることができるわけです。

スマートフォンの背面にスマートウォッチサイズのディスプレーが搭載される予定だった

 そして最終的に発売になり、現在中国で「最も売れている折りたたみスマホ」になったFind N2 Flipがこちらです。やはり大きなディスプレーはインパクトがありますし、表示できる内容も多いため実用性も高いですよね。デザインと使い勝手に優れたFind N2 Flipが売れまくっているのも納得できます。

最終的に3.26型の大型アウトディスプレーを搭載したFind N2 Flip

 横折式のFind Nは2022年12月に「Find N2」となりマイナーチェンジ。本体はより薄くなり、アウトディスプレーが大型化されました。Find N2は開いた状態でも片手で楽に操作できる点が特徴的で、ミニタブレットとも呼べる大きさです。このクラスのモデルはOPPOだけが製品化しており、ライバル不在の中でどれだけユーザーを増やすかが気になるところです。

7.1型ディスプレーのFind N2

 折りたたみディスプレーは今後三つ折りタイプも登場するでしょうし、サイズのバリエーションも増えるでしょう。2023年はどんな製品が出てくるのか、楽しみにしましょう。

山根博士のオフィシャルサイト

「スマホ好き」を名乗るなら絶対に読むべき
山根博士の新連載がASCII倶楽部で好評連載中!

 長年、自らの足で携帯業界を取材しつづけている山根博士が、栄枯盛衰を解説。アスキーの連載「山根博士の海外モバイル通信」が世界のモバイルの「いま」と「未来」に関するものならば、ASCII倶楽部の「スマホメーカー栄枯盛衰~山根博士の携帯大辞典」は、モバイルの「過去」を知るための新連載!

 「アップルも最初は試行錯誤していた」「ノキアはなぜ、モバイルの王者の座を降りたのか」──熟練のガジェットマニアならなつかしく、若いモバイラーなら逆に新鮮。「スマホ」を語る上で絶対に必要な業界の歴史を山根博士と振り返りましょう!

→ASCII倶楽部「スマホメーカー栄枯盛衰~山根博士の携帯大辞典」を読む

ASCII倶楽部は、ASCIIが提供する会員サービスです。有料会員に登録すると、 会員限定の連載記事、特集企画が読めるようになるほか、過去の映像企画のアーカイブ閲覧、編集部員の生の声を掲載する会員限定メルマガの受信もできるようになります。さらに、電子雑誌「週刊アスキー」がバックナンバーを含めてブラウザー上で読み放題になるサービスも展開中です。

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう

この連載の記事